「NHKにようこそ!」滝本竜彦
2007年10月11日 (木) | 編集 |
NHKにようこそ! (角川文庫)NHKにようこそ! (角川文庫)
(2005/06/25)
滝本 竜彦

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この世の中には陰謀が存在する。ごくまれな確率で、本物の陰謀を悟ってしまった人間が存在する。それは誰だ?俺だ。大学を中退し、仕事もせずに「ひきこもり」。友人の数は、ゼロ。睡眠は一日十六時間。ひきこもり継続期間は、今年で早くも四年。このままでは、廃人だ。このままでは、人間失格だ。そのとき、ふいにテレビがこんな事を呟いた。「NHKは皆様の受信料によって運営されております」。そうか。ついに謎が解明された。俺はすべての真相を悟った。すなわちNHKとは、日本ひきこもり協会の略だった。悪の組織NHKの陰謀だったのだ。そんなひきこもり男の住むアパートに、日傘を差して、清楚な雰囲気を漂わせた美少女、岬ちゃんが現れた。そして岬ちゃんの、「あなたは私のプロジェクトに大抜擢されました」の言葉で、ひきこもり男は?

自分でひきこもり脱出を目論んでエロゲー製作に励むが、読者を大爆笑させてあっさり断念。その結果、「ひきこもり脱出と、そのサポートに関する契約書」にサインをして、ハンコを押してしまった男は、岬ちゃんのわけのわからないカウンセリングを受けたり、会話の練習をしたり、あげくには岬ちゃんの正体を突き止めようと、岬ちゃんの属する宗教団体の集会に参加する。

とにかくユルイ。共感なんてこれっぽっちも出来ないが、なんとなく笑える。一種の中毒みたいなものかな。でも前作の「チェーンソー」の方が面白かった。あっちは、わけのわからないバトルを繰り返しているだけだが、絵理ちゃんが可愛かった。同じように本書の岬ちゃんも不思議系少女だが、いまいち萌えなかった。一生懸命、「早わかり精神分析」などを参考にした、とぼけたカウンセリングや、ちらりと見える火傷の傷跡など、興味をひこうとしているのだが、あまり乗れなかった。なんかひきこもり男よりも弱さが見えてしまった。そこらは最後まで読めば明らかになるんだけどね。

それよか同志の山崎とのアホなやり取りが面白かった。ここには書かないが実にくだらない。だけどそのくだらなさに妙にパワーがあって、なんかわからんが、気がつけば好きってなっていた。これが一番の楽しみどころだろう。

ひきこもり男の死にたい病も途中から普通に感じたし、ずっとひきこもりは正直に言うとだれる。まあそれが若者に人気がある秘密かもしれないが、年齢的にはちょっとキツさを感じた。面白いんだけど、もういっちょってとこかな。

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