「GO」金城一紀
2007年10月12日 (金) | 編集 |
GO (講談社文庫)GO (講談社文庫)
(2003/03)
金城 一紀

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日本で生まれ、日本で育ったけれど、朝鮮籍を持つ在日朝鮮人である杉原は、韓国籍に変えると共に、民族学校ではなく日本の高校へ行くことを決めた。そして、元ボクサーのオヤジに鍛えられた杉原は、二十三戦無敗の男として校内に君臨していた。そんな杉原が恋に落ちた。問題はたった一つ。その魅力的な相手は日本人の女の子だった。

単純な恋愛ものではなく、根底に在日という差別が横たわっている。これがかなり重いです。自分の周りにも同業者や仕事仲間にそういう人たちでいて、普通に付き合いをしています。だけどどこか物の考え方の違いや、お金に対する執着心のずれを感じます。別に差別をしているつもりはないけれど、その人たちの生まれ育った環境の違いから、同じ日本に住んでいても違うんだなあ、と漠然と思っていました。

本書に戻りますが、杉原が桜井さんに在日だと打ち明けたあと、桜井さんは急激に距離を開けます。正直に言うとがっかりもするけどわかる気もする。大阪は在日と呼ばれる人たちが多いし、日本人の中でも差別を受けた日本人たちが多い。かつての士農工商から蔑まれた人たちで、上辺だけは差別はないといっているが、実際は未だに差別が残っているし、その地域に住みたがらない人たちも多い。

本書とは関係ありませんが、自分の従兄弟がそういう家庭に生まれ育った女性と結婚し、親子の縁が切れてしまった。自分らの世代では差別意識は薄れているが、親たちの年代には濃厚に差別が残っている。だけど親子の縁は切れてしまったが、従兄弟はエライなあと。

重いテーマなんですが、軽やかな文体でスピード感もあって、読みやすいし面白い。在日朝鮮人と在日韓国人の違いが理解出来たり、彼らの思想教育がどんなものかも本書を読んで知った。ただ、ラストの場面での杉原の心の叫びは、ずしんと響いてくるんだけど、単純にわかってしまってはダメなような気がした。在日と呼ばれる苦しみを、日本人である自分などに、簡単にわかったと言われるのを拒否されるような、そんな重みを感じる言葉でした。

オヤジや正一、加藤など、個性ある人物が出てきましたが、彼らをかっこいいや面白いとかで、さらっと終わらせるのは勿体無い。だからこれまで書きませんでしたが、人物たちにも魅力がある作品でもありました。いろいろ考えさせられましたが、読んでよかったです。

コメント
この記事へのコメント
おもしろいだけでなく、いろいろと考えさせられたし、私も読んでよかったと思ってます。
しんちゃんの方では、結構身近なことなのですね。こちらはあまりなじみがないので、この本を通して初めて知ったことがたくさんありました。理解はできなくても、知ろうとすることは大切かもしれないって思いました。
2007/10/14(Sun) 19:54 | URL  | june #-[ 編集]
juneさん、身近すぎると考えないこともあります。
なんかそれが当たり前になってしまうのです。
それが良いのか悪いのかわかりませんが
今回読んで少しは考えてしまいました。
2007/10/15(Mon) 10:58 | URL  | しんちゃん #-[ 編集]
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GOひたすら爽快で楽しかったゾンビーズシリーズと比べると、在日韓国人に対する差別の問題が色濃く中心にあるためか、少し重いです。とても考えさせられました。でも重いテーマを扱っているのに不思議な軽やかさがあって、スピード感があって爽やかで、やっぱりおもしろ....
2007/10/14(Sun) 19:50:29 |  本のある生活
GO ■やぎっちょ書評 会社の人に貸してもらった本です。念のためもう一度宣言しておきますが、やぎっちょは「本を貸してくれる人」なら誰でも好きです。愛です。ピースです。 で、この本。 実はちょっと避けてたんですよねぇー。個人的には在日とか国籍とか、そんなの...
2008/02/09(Sat) 21:57:20 |  \"やぎっちょ\"のベストブックde幸せ読書!!