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    2007

10.15

「さようなら、コタツ」中島京子

さようなら、コタツさようなら、コタツ
(2005/05/19)
中島 京子

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部屋の数だけ人生はある。さまざまな人間模様を描いた7つの物語です。

「ハッピー・アニバーサリー」
その夜を、由香里は園子と、由香里の父親である松田清三と三人で過ごした。二人だけの記念日に突然転がりこんだ清三。そして酔いがまわって半分崩れそうな姿勢で眠ってしまった清三だが、そこに聞こえてきた娘たちの会話と怪しげな気配。そして見てしまった女同士のキス。翌日目覚めた清三が眺めた娘たちの寝姿に、父親は何を思う。

母さん!と清三が心のうちで呼ぶ、その混乱ぶりが笑える。しかし、いくら父親が寝ているといっても、そんな所でやってはいかんよ。


「さようなら、コタツ」
由紀子は十五年間使っていたコタツを捨てた。あれがあった十五年もの間、部屋では何も起こらなかった。そして新たにセミダブルサイズのベッドを買った。三十六歳の誕生日の今日、山田伸夫が部屋に料理を食べに来る。

嬉しさのウキウキと、妹の説教を思い出しグズグズ。この二つの感情が面白い。揺れる妙齢の女性心理がリアルでした。オチも中々のものだった。


「インタビュー」
イラストレーターの恭平は、インテリア雑誌の実例特集の取材に協力することになった。そこで恭平の住む家にやって来た女性記者と男性カメラマンだが、記者が興味を持ったのは、出て行った妻の妙子が買った物ばかりだった。

何事にもうるさい女性記者と、写真一枚を見つけて全てを悟った無口な男性カメラマン。帰る車中で女性が漏らした言葉に、温厚なカメラマンが返した返事が秀逸。見事。


「陶器の靴の片割れ」
もうじき結婚する洋平は、結婚で初めて家を出る千春の夢見がちな部屋設計にうんざりしていた。そんな洋平は最近やたらと昔の恋人の夢を見る。そこへ夢に出てきた昔の恋人が、洋平の前に現れた。

未練がましい男ってバカね、と思うと共に、こうして女性は男を尻に敷くのかとゾッとした。男性と女性では、読んだ感想が違うだろうなあ。


「ダイエットクィーン」
もうすぐ取り壊される築三十五年のアパート。そこに住む郁美と泰司の部屋に、マナが避難してきた。隣に住むマナの母親が男を部屋に入れ、あれを隣にまで響く激しい声で楽しむ。そんなマナだが、自分の体の変化を持て余す年齢で、部屋に来る男がいずれという危機感を持っていた。

少女マナが健気なのだが、このバカな母親の男なら、という危ない雰囲気が絶妙。それになんとなく気づくが、郁美と泰司はどうすることも出来ずに、この母子と別れてしまう。この突き放しっぷりは余韻を引きずる。マナの自衛を応援したい。


「八十畳」
相撲部屋の大広間で数人の人物たちが考える。十五歳の少年が3日前に逃げ出した。逃亡の理由は自分のシゴキのせいではないかと考える者。俺はなんで逃げなかったんだろうと考える者。同期入門の失恋の痛手と比べて考える者。Etc。

趣向は面白いと思う。だけどインパクトがないし、オチらしいものも見当たらない。肩透かしを感じてしまった。


「私は彼らのやさしい声を聞く」
十条のおじさんはときどき露子を死んだ大叔母さんの名前で呼んだ。けれど、おじさんの記憶が混乱していたのかどうか、露子にはわからない。だけど、惚けを見方につけることで、露子をおじさんの家に通わせることに成功したのだった。ある日、しばらくおじさんの家に行っていないという妹と、おじさんちで落ち合うことになった。

これはネタバレしないと書けない。まあ、ありそうだけど、ファンタジックでシュールな作品だった。


好みはあったものの、水準の高い短編集でした。自分のお気に入り作品を上げておこう。
「ハッピー・アニバーサリー」「さようなら、コタツ」「インタビュー」「ダイエットクィーン」
七戦中、四勝一敗二分。

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中島京子
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comments

こんにちは。
以前、誉田さんの本でTB&コメントをしたmintです。
中島さんの作品では「桐畑家の縁談」が気に入っているんですが、この短編集も良かったです。
「ハッピー・アニバーサリー」の困惑したお父さんや、
表題作の由紀子さんのリアルな心境、
「インタビュー」に登場する3人の心情など、人物描写がうまいなぁと思いながら読みました。

mint:2007/11/09(金) 11:41 | URL | [編集]

mintさん、こんばんは。
中島さんの描くダメな人たちって、共感出来る部分が多々ありますよね。
同じく「桐畑家」のダメな主人公が大好きでした。
今後もダブル中島からは目が離せません。

しんちゃん:2007/11/09(金) 17:14 | URL | [編集]

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『さようなら、コタツ』


今日読んだ本は、中島京子さんの『さようなら、コタツ』です。

2007/11/09(金) 11:35 | いつか どこかで

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