2007
![]() | 冠・婚・葬・祭 (2007/09) 中島 京子 商品詳細を見る |
タイトルの「冠・婚・葬・祭」のとおり、成人、結婚、葬式、お盆に纏わる、それぞれの人間模様を描いた4つの短編集です。すべての短編が面白かったです。
「空に、ディアボロを高く」
菅生裕也は、勤めていた地方新聞社を辞職することになった。そして二年暮らしたこの土地と今日でさよならという日に、自分が書いてしまった誤報道記事がすごく気になりだした。あの日、成人式の行われる会場で中止になってしまったストリートパフォーマンス大会。そのイベントだと勘違いしてしまったジャグリングをしていたあの大道芸人のことを。
「この方と、この方」
菊池マサ枝六十八歳は、三十年間、知る人ぞ知る優秀なお見合いおばさんとして生きてきた。しかし、もう世間は自分を必要としないことを感じ、密かに引退を決めていた。そこへ偶然にも彼女のところへどうしても見合いが必要だという二枚の見合い写真が持ちこまれた。マサ枝は気が進まないものの最後のお見合いを引き受けることにした。
「葬式ドライブ」
佐々木直之は、半日のドライブを一緒に過ごしたおばあちゃん、宇都宮ゆかりさんの葬儀に参列した。直之がおばあちゃんと出会ったのは三ヶ月前。会社の上司の命令で、付き合いのあった工務店の創業者の告別式に、グループホームに入所しているおばあちゃんをお連れしてお世話したのがきっかけだった。
「最後のお盆」
母がなくなって早くも三年が経った。母の生家である古い日本家屋は娘三人が相続し、次女の皐月夫婦が管理していたけれど、夫の海外赴任が決まり土地も屋敷も手放すことになった。そこであの家も見納めだから、夏休みを利用して最後にみんなで集まって、昔やったお盆をやることに決まった。だが、いざその伝統行事をやってみるとなると、その頃幼すぎてやや鮮明だが心もとない。いちばんよく覚えているはずの長女の史江は、嫁ぎ先の新盆があるので来れない。二組の姉妹夫婦は、手探りでお盆をすることになった。
「空に、ディアボロを高く」は、二十歳の子の若さや、夢への熱意に触れて、前向きに生きようと決意する青年。なにより二十歳の子のエネルギーが気持ちよかった。 「この方と、この方」は、かつて上手くいったことも、時代がかわると一筋縄で行かない。ダメ人間に振り回される、お見合いおばさんのあたふたする姿が面白かった。 「葬式ドライブ」は、おばあちゃんの知られざる人生を青年だけが知ってしまった。だけど、どうする事も出来ずに、そっと心にしまう青年が素敵。 「最後のお盆」は、いまはもう亡くなってしまった人々の面影が立ち現れる伝統行事。姉を見て母を思う。そしてちょっぴり不思議があって、お盆ならありそうと思わせる何かがあった。
やっぱ中島京子さんはいいわ。なんか読んでるとほっとする、そんな一冊でした。
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