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    2007

10.25

「あなたの呼吸が止まるまで」島本理生

あなたの呼吸が止まるまであなたの呼吸が止まるまで
(2007/08)
島本 理生

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どこまで内容に触れて良いのやら、すごく気遣いのいる作品だ。一応気をつけますが、ネタバレしてるかも。この作品は不評な意見が多いみたいですが、自分は面白く読めましたし、島本さんの好き度も上がりました。

舞踏家の父と暮らす12歳の少女、野宮朔。将来の夢は、作家になること。母は舞踏に情熱をそそぐ父に嫌気がつのり、家を出てしまった。その父は夜遅くまで戻ってこないこともしばしば。朔は父が家へ戻るのを待つのに、渋谷のロフトで見つけた、外国の童話の本みたいな表紙のノートに、ラジオを聴きながら物語を書くのが、毎晩の密かな楽しみだった。朔は学校でも友達と呼べるのは、鹿山さんただ一人。そして田島君へのほのかな思い。
そんな朔は父の知り合いの佐倉さんと二人きりで話し、年上の優しさに触れた彼女は、この人だったら私の寂しさを、きっと分かってくれる。助けてくれると思うが…。

主人公が小学生なので語りが作文調だったのが、とても良い雰囲気を作っていました。少女の母に捨てられた寂しさや、居て欲しいときに居ない父への思いなど、彼女の孤独への恐怖がこちらに伝わってきました。

少女は父と二人暮らしなので、父についてよく大人の集まりに顔を出している。だから、考え方や口調が大人っぽくなって、同級生たちの低度の低い会話や考えに馴染めずに、鹿山さんと田島君としか話すことが出来ない。家でも学校でも孤独を感じている少女は、すごく切なーいのである。

そんな少し大人に近い少女だが、性に関しては子供らしく無知で、ほとんどと言ってよいほど理解をしていない。そこを優しくて好感を持っていた大人に突然裏切られて、彼女はどん底に落とされてしまう。この部分が好き嫌いの別れている部分なのだが、自分は小説だと割り切って読めました。どろどろ系を描く作家なら最後まで行くのだろうが、手前で止めていたのが島本さんらしいと言えばらしい、とさえ思ってしまった。

その結果少女は壊れていくのだが、彼女の心の揺れや誰にも言えない辛さは、読んでいて同じように辛かったです。しかし、そこから自分で立ち直ろうとする、少女の姿が健気でいじらしい。だけど、少女に与えた側の大人は、どうしようもない馬鹿でクズ。本の帯に復讐と書いてあったが、もっと大きな鉄槌を加えても良いように思いました。

父親も馬鹿な大人で、もっと少女と時間を過ごすべき。自分の勝手な舞踏のイメージが、全身白塗りでクネクネなんだけど、少女を放りっぱなしにするまで熱中するのは、如何なものかと思う。せめて連絡ぐらいはしろと叫びたい。

とにかく少女が可愛そうなお話なんだけど、田島君の優しさに少しは救われました。彼のことを、もっと好きになれば良かったのに。寂しさに付け込まれる少女。それを埋めてやったんだと思い込んでいる馬鹿な大人。その悪いことをしたと気づいていない大人にムカついたけど、こういう大人がいることも確か。

少年少女のみなさん、大人の甘い言葉には気をつけましょう。

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島本理生
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comments

あのラストがなければ、自分は受け付けられない小説だったと思います。あれ以上キツいラストだと、自分にとって更に受け付けられなくなったかも。
そして辛いけど、どこか淡々としているような文章が印象に残りました。

リベ:2007/10/25(木) 19:21 | URL | [編集]

この本、評判よくないんですか?
私も好きでした。
朔ちゃんの丁寧な語り口調が良かったですよね。

なな:2007/10/25(木) 21:15 | URL | [編集]

りべさん、感情移入したみたいですね。
自分はどうやら第三者の目線で読んだみたいです。
だから、キツイとかはあまり感じませんでした。
作文のような文章は良かったと思います。

しんちゃん:2007/10/26(金) 10:25 | URL | [編集]

ななさん、そうみたいです。
SNSでは駄目という意見がほとんど。
ななさんとは面白く読めた仲間ですね。

今後の賛否の意見も楽しみです。

しんちゃん:2007/10/26(金) 10:29 | URL | [編集]

ワタシは島本さん初読み。
選ぶ本を間違えたかな?と思ったけどそんなことない!
他の作品はわからないけど繊細でとてもよかった。
胸をはってTBしまーす(笑)。

ユミ:2007/11/09(金) 15:36 | URL | [編集]

ユミさん、初読みがこれですか。
なら、「大きな熊」もいけるかも。
お薦めしちゃいます。機会があればぜひ。

しんちゃん:2007/11/09(金) 17:17 | URL | [編集]

しんちゃん、こんにちは!
島本さんの描写の上手さ、美しさに今回も惹かれていました。
そして少女の揺らぐ気持ちを繊細に描いたことも。
アレに関してはこの世の中いかにそういう大人が多いか、ってことに嘆くと同時に怒りを感じているここ最近でしたので、見事に自分のその感情と一致させてしまいました。
島本さんすごいなぁ。新作も早く読みたいですー。

リサ:2008/01/17(木) 20:48 | URL | [編集]

リサさん、こんばんは。
アレはともかくですが、可愛らしい文章でしたね。
あの文章なので、少女の揺らぐ気持がストレートに伝わる。
軽くないストーリーですが、惹かれますよね。

しんちゃん:2008/01/18(金) 19:14 | URL | [編集]

島本さんのうまさが、すごくわかりました。
でも・・主人公の年齢が娘と近いせいかついつい重ねてしまって、
痛々しすぎていたたまれませんでした。

june:2008/02/01(金) 22:37 | URL | [編集]

juneさん
島本さんのうまさがUPしてますよねー。
やっぱ身近に同じ年代がいると投影してしまう。
それはしょうがないですよね。わかります。

しんちゃん:2008/02/02(土) 12:46 | URL | [編集]

小学生の子どもに、こんなことをする大人が許せないです。
でも朔は、自分ひとりで立ち直る道を見つけて、けなげでした。

花:2008/02/10(日) 21:10 | URL | [編集]

花さん
拒否反応がでましたか。それも分かります。
それだけではない他で読ませる部分に、上手いと思いました。

しんちゃん:2008/02/10(日) 23:53 | URL | [編集]

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あなたの呼吸が止まるまで 島本理生


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