「ベリィ・タルト」ヒキタクニオ
2007年11月07日 (水) | 編集 |
ベリィ・タルト (文春文庫)ベリィ・タルト (文春文庫)
(2005/06/10)
ヒキタ クニオ

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神宮の花火を見るために大勢の人が集まったあるマンションの一部屋。そこで小さな芸能プロダクションを経営している元ヤクザの関永は、ダイヤの原石のような少女リンと出会った。アイドルになってみないか、という関永の誘いに乗ったリン。グラビアからデビューしたリンは人気が上昇しだす。そこへ金の匂いを嗅ぎつけた大手プロダクションが横槍を入れ、リンを巡った大争奪戦が始まった。

初っ端の面接でリンは素っ裸にされ、身体の隅々まで入念なチェックを入れられる。それに基づいて、専務の小松崎の指導で理想体型を作るために有酸素運動にはげみ、オカマの美容師・仁には徹底的にメイクや肌の手入れの仕方を叩き込まれ、若者訛りのあるしゃべり方を吉沢さんに訓練させられ、社長の関永にはビビるような言葉と優しい言葉をかけられ、アイドル・吉川リンが作られていく。

女性に役立つだろうメイクの仕方などの薀蓄がたくさん散りばめられているが、説教くささがなくて厭きさせない。それに脇を固める小松崎や仁のキャラが立っているから、すらすらと読めてしまう。とくに関永と小松崎の会話が秀逸。それに野良猫のようなリンが、健気に頑張る姿が可愛らしい。だけど、リンの母がすごくイラつかせる。こういう人種は死ななければ治らないのか。

リンの移籍を持ちかけられた関永は、リンの時代を切り裂く瞬間を見てみたい、と大手プロダクションの話を突っぱねる。しかし、そう簡単に諦めない大手プロの専務は、ヤクザを使った脅しをかけ、さらにリンの馬鹿な母親を使って正攻法でも攻めてくる。関永と小松崎、それに仁も加えて、リンを守ろうと奮闘していく。真剣に守られているのを実感したリンが、どういった感情を抱くのかはあえて書きません。それに結末も。

前半での温かい雰囲気と、中盤からの派手な抗争、そしてラストでの争奪戦の壮絶な結末。それらを疾走感ある文章でぐいぐいと読ませます。リンの吸引力に巻き込まれた関永は、はたして幸せなのだろうか。まだ十七歳のリンという少女に、振り回される大人たちの悲喜交々が、可愛らしいやら切ないやら。

年齢がいくつであっても魅力ある女性って怖い。さり気なくネタバレしている自分もまた怖い。

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2007/11/09(Fri) 23:04:51 |  ミケランジェロの小部屋