2007年11月08日 (木) | 編集 |
![]() | コッペリア (講談社文庫) (2006/07/12) 加納 朋子 商品詳細を見る |
小劇団に所属している聖は、お金をたっぷり持っているパトロンがいるがゆえに、額に汗して働くことなく好きな芝居に専念している女優。彼女には、娘を亡くしてから人形に魅入られた生活をしている遠い親戚の伯母さんがいる。その伯母さんの家を訪ねた彼女は、如月まゆらという人形師の個展案内のダイレクトメールを発見し、見に行ってみることにした。そこで彼女は自分とそっくり同じ顔をした人形と出会った。
幼い頃から人間嫌いだった了は、人形やマネキンにしか心を惹かれない少年だった。彼が人形師・如月まゆらの家を知ったのは、高校生の頃だった。そこでまゆらの作った人形に魅了された彼は、まゆら自らの手で破壊された人形を持ち帰り、修復し再生する。しかし、まゆらにオリジナルの人形を見せられ、完全に打ちのめされた。そして…、あれほど恋い焦がれた人形が、今、生きて動いて大学生になった了の前に現れた。
加納さん初の長編です。人形愛に偏った人物ばかりで、気持ちが悪くて共感できる人物が皆無。だけど、独特な世界が違和感なく読めて、自分としては面白く読めました。これまでの作品ように、ほのぼのとしたキャラで読ませるのではなく、加納さんによって作られた雰囲気や世界観で読ませていく作品です。現実と過去が入り混じった、人形に魅入られた様々な人物たちの軌跡が、複雑に絡んでいくのは上手いと思った。少しややこしいけど。
ただ、疑問に思うことが一つあった。半分ぐらい読んだところで、ああっ、と明かされる真相。確かに立派なミステリです。(ちょっと理解するのに時間がかかったが) しかし、ミステリとしての一番の驚きを中盤に持ってきていたことだ。加納さんの特徴としては、最後に大きな山を持ってきて、ミステリの驚きと温かな余韻を感じさせるのが上手い作家だ。この作品でも確かに余韻はあったが、ミステリの驚きは中盤にしかなく、それ以降はサスペンスに近い作風へと変貌していた。だから、ミステリとしてはやや物足りなくて、連作短編向きなのかな、と勝手な判断をしてしまう。
暗めの世界だが、爽やかなラストは加納さんらしい。だけど、やっぱり加納さんには、ほのぼの系の連作短編をこれからも書いて欲しいと思う。個人的な好みですが。それに人形って髪が伸びるイメージがあって怖いのだよ。これも個人的なイメージですが。
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☆☆☆・・ 私とそっくり同じ顔をした人形が、じっと私を見つめている。 その人形は官能的な肌と壊れた心をもっていた。 天才的な人形作家、人形を溺愛する青年、 人形...
2007/11/08(Thu) 18:21:52 | +++ こんな一冊 +++
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