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    2007

11.09

「悪果」黒川博行

悪果悪果
(2007/09)
黒川 博行

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防犯係の刑事はヤクザの犯罪を取り締まるのが仕事であり、どれだけの情報を持っているかでその手腕が分かる。日頃から組事務所に顔を出してようすをうかがい、ときには個人的な相談に乗って情報を拾う。組員との付き合いにどこで一線を引くかは各人の裁量に任されている。情報が命であり、相手が上司であれ同僚であれ、不用意にたれ流していたら自分の首を絞めることになる。情報は独占してこその値打ちであり、持ちネタが多ければ多いほど、この世界では上手く立ち回れる。ここに、ヤクザもシノギをして食っている、そのヤクザを取締るマル暴担がシノギをしてどこがわるい、と思っている刑事がいた。

大阪今里署のマル暴担当刑事・堀内は、犯歴データを流した見返りに、淇道会が賭場を開いているという情報を掴み、独自に内偵をした上で、賭場に突入し二十八名を現行犯逮捕する。堀内は、経済タブロイド誌を主催発行し、金になることならなんでもするという坂辺を使い、逮捕した賭け客の専門学校経営者をゆすり始めた。堀内は職権で得た個人データを密かに集め、その情報を坂辺に流し、坂辺はその情報を元にスキャンダル記事を書き、それを持って広告という名目で金を引き出す。堀内は坂辺と企業脅迫で得た儲けを折半にする裏の仕事に染まっていた。

前半は賭場への一斉捜査・逮捕までを描いた警察物として楽しめる。マル暴刑事の堀内が、喧嘩自慢の伊達とコンビを組み、ネタを独占、内偵していき、逮捕の段階になってやっと披露する。そして逮捕、取調べとなるのだが、普通の警察小説と違って黒川小説では、警察の裏金作りや癒着、横領や隠蔽と、警察の腐敗した裏面が同時に描かれているのだから、読者の興味をさらに広げる。

それに、シノギに走る堀内は褒めた人物ではないが、ポッケにないないしながらも、ネタを拾うための付き合いなどに金がいると、実に生々しい現状を披露している。その堀内と対比するように、彼のよめはんが、マルチ商法まがいのリッチウェイに完全に洗脳されているのも面白い。自分が下っ端ネズミだとは気づかずに、金を稼ごうとしている姿は哀れだが滑稽。堀内はよめはんと別会計にし、借金のカタになりそうな、知らぬまに連帯保証人になりそうな、銀行の通帳と銀行印、実印など、それらすべてを隠している。

なんて茶目っ気のある人物を、黒川さんは巧みに作りあげるのだろう。これだけで悪い主人公にも、愛嬌というか憎めなさを感じさせて、嫌悪感を取り払っているのはさすがだ。それに金のかかる女にいいようにあしらわれたりと、これぞ刑事というありがちなイメージを、いとも簡単に崩してしまっている。刑事だって生の人間、そういうリアルが本書には随所に散りばめられ、人間臭さがぷんぷんと漂っている。

中盤以降は、堀内が突然ヤクザにボコられて警察手帳を拉致られ、心あたりのない預かり物と交換することになってしまう。しかし、やられっぱなしではなく、コンビを組む伊達と共に、それをシノギにしようとタフさを発揮、という巻き込まれ系のストーリーになるのだが、ドタバタした内容についてはあえて触れません。あまり書きすぎると読む楽しみを奪ってしまうからね。

警察の光と闇、そこで働く男の光と闇。これまで誰も描いてくれなかったリアルがここにはある。それがとても新鮮で、これを読んだ警察関係者の意見が気になってしまう、お薦めの一冊です。

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黒川博行
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comments

警察小説に出てくる警察屋さんって、
どこまでホントなんだろう?って、
ときどき思っちゃいますよね( ̄∇ ̄;)

でも、まぁ、一匹狼がいるからこそ
警察モノの小説は面白い♪♪♪

つたまる:2007/11/10(土) 01:16 | URL | [編集]

つたまるさん、黒川さんの警察モノは良いっす。
痒いところに手が届くってやつです。
ノリのいい関西弁も最高~。
この本は関西では売り上げ1位なんですよ。
身贔屓ですかね(笑)

しんちゃん:2007/11/10(土) 16:33 | URL | [編集]

へ~。大阪で売上1位か。
とても気になるわ。
チェック、チェックv-237

まる:2007/11/13(火) 20:40 | URL | [編集]

まるさん、図書館予約もえらい人数になってます。現在229件。
予約順位が上位だったので、すぐに読むことが出きました。
やっぱ東京は少ないのかな。

しんちゃん:2007/11/14(水) 11:52 | URL | [編集]

大阪で売上1位とは凄いですね。でも読んだ人は警察署の前を通る時は複雑な気持ちになりそうな(汗)
そして関係者の感想は聞いてみたいです。そういえば親戚にOBが……でもやっぱり聞けない。

たまねぎ:2008/03/01(土) 00:23 | URL | [編集]

たまねぎさん
大型書店では黒川さん専用の棚もあります。
めっちゃ身贔屓する大阪の書店(笑)
関係者のお話は気になりますよねー。

しんちゃん:2008/03/01(土) 12:14 | URL | [編集]

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悪果  黒川博行


さすがに警察小説もお腹いっぱいになってきました。この『悪果』を読む前までは、まだまだいけますって勢いだったんですが。それだけこの本は濃いです。実にねちっこい。 大阪を舞台にマル暴担、暴力団犯罪対策係の二人の刑事の姿を書いた本なのですが、この二人の軽妙な...

2008/03/01(土) 00:37 | 今更なんですがの本の話

黒川博行 『悪果』


悪果/黒川 博行 ¥1,890 Amazon.co.jp 癒着、横領、隠蔽、暴力・・・日本の警察の暗部を描き出すノワールの傑作! 大阪今里署のマル暴担当刑事・堀内は淇道会が賭場を開いているという情報を掴み、金曜日深夜、賭場に突入し二十八名を現行犯逮捕する。堀内は、...

2008/08/05(火) 23:33 | 映画な日々。読書な日々。

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