2007年11月18日 (日) | 編集 |
![]() | 監禁 (講談社ノベルス フL- 1) (2007/06/08) 福田 栄一 商品詳細を見る |
その紙切れはリサイクルショップに運び込まれた事務用机の引き出しの奥に入っていた。美哉は紙切れをゴミ袋に捨てようとしたが、その裏に何か文字が書き殴られているのに気付き、やがてその意味を知ると、ぞっと全身の毛が逆立つような感覚に襲われた。そこには、「助けてくれ カンキンされている 警察にれんらくを」と書かれていた。
勤めていた小さな電機会社の先輩社員を口論の末に殴り倒し、独身寮を飛び出して一ヶ月になる泰夫は、三日間野宿した公園で、老婆に相談に乗って欲しい、と声をかけられた。千瀬と名乗った老婆は、このままだと姪夫婦に殺されてしまうかもしれない。一緒に住んで姪夫婦のたくらみを暴いて欲しいと言ってきた。
棗の母親に結納の席に来てもらおうと、義人と棗は実家にいた母を訪ね、そこで一泊する二人だが、明後日に祖父の誕生祝いが行われるということで、棗は残ることになり義人は別れて一人帰る。そして祖父の誕生日の夜、屋敷が全焼する火事が起こり、泊まっていた家族五人が焼死して、棗の行方がわからなくなってしまった。
時系列の違う三つの物語が進行し、やがて繋がっていくという、パズラー要素が前面にでたミステリです。山場といえるような大きなうねりはありませんが、三つのストーリーがどれかに偏ることなく丁寧に描かれている。この作品の持ち味は、読んでいくと、ここが繋がっていたのか、と徐々にリンクしていき、最後にバシッとピースが嵌まる気持ちよさだろう。こういった計算された作品の構成は福田さんの真骨頂ともいえる。それに、とにかく読みやすい。これも福田さんの特徴だ。
監禁というキーワードだが、読み始めは何のことやらさっぱり分からない。しかし後半になってくると、監禁というタイトルの意味が納得できるようになる。三つのストーリーがそれぞれに別の監禁に関わるのだが、それがやがて一つの事件に繋がっていく。そして冒頭や章の合間に挟まれていた意味が不明だった語りの文章が、読み終えたあとにぶわっと意味を持って生きてくる。これも福田さんの作品構成の妙だろう。
ワクワク感やカタルシスはあまり期待できないが、上手いなあと思えてしまうのは、福田作品では毎度のことである。この端正さがいま一つ伸びない欠点だろうが、今後も読んで行きたい注目株であることは間違いない。
この記事へのコメント
福田さんの作品は佳作はあるけど、「こりゃすげー」となる作品ってないですよね。
そのかわり安心して読むことができる作家さんだと思います。
序盤から不穏な空気が流れるミステリーでしたがちゃんと収まるところに収まったあたりが、福田さんの特徴がよく表れていたと思います。
そのかわり安心して読むことができる作家さんだと思います。
序盤から不穏な空気が流れるミステリーでしたがちゃんと収まるところに収まったあたりが、福田さんの特徴がよく表れていたと思います。
2007/11/18(Sun) 20:34 | URL | リベ #-[ 編集]
りべさん
褒めちぎることが出来ないんですよね。
上手くまとまってるのですが、華がないつーか。
これが特徴といえるのかもしれませんが、もう一皮むけて欲しいです。
褒めちぎることが出来ないんですよね。
上手くまとまってるのですが、華がないつーか。
これが特徴といえるのかもしれませんが、もう一皮むけて欲しいです。
2007/11/19(Mon) 08:59 | URL | しんちゃん #-[ 編集]
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