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    2007

11.20

「チューリップの誕生日」楡井亜木子

チューリップの誕生日 (ピュアフル文庫 に 1-2)チューリップの誕生日 (ピュアフル文庫 に 1-2)
(2007/09)
楡井 亜木子

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「バンドをやってみろ。ユーリにはベースが向いているな」
日本で最初のパンクバンドだといわれている「黒いキューリ」のヴォーカリストで、さまざまな伝説を持ち、現在は最も過激なライブハウス「キューリとミカン」のオーナーで、帝王として君臨している三原さんの一言で、大人の女性ばかりのロックバンド「チェルシー・ガール」に加入した高校一年生のユーリ。

十五歳の少女は、学校に行きながら週に三回か四回ライブハウスに出演する生活を過ごし、いつも寝不足で本当に忙しい生活とはどんなもんかを知る。少女が働いていることも、それが皆の憧れている仕事であることも、クラスメイトは知っている。彼女たちは、少し離れた所で輪を作るようにして、少女に接している。そしていつの間にか大人の世界にいることに慣れてしまったことで、同じ場所で同じ光景を見ている同じ年のクラスメイトなのに、少女にはもうバンドメンバーよりも遠い存在になっていた。

学校と仕事に追われ自分を見失いかけていた少女は、ある日、二十三歳のフジシマに出会い、二十一歳と偽って接するうちに、フジシマといることでしか安心感を持てないようになっていた。

突然大人の世界で毎日を過ごすことになり、一生懸命着いていこうと頑張っていると、周囲にいる同年代の子たちよりも早く大人に染まってしまった少女。そこで感じるのは孤独。しかしバンドメンバーとは年齢的に差があって、頼ることは出来ても同じ目線で語り合うことは出来ない。そこで感じるのも孤独。そんな孤独に明かりを灯したのが、フジシマとの出会い。

ただ一緒にいて、酒を飲んで、体を重ね、少女の帰りを待つだけの無職男。しかし少女は男といることで安らぎを感じ、メンバーとも共通の会話が出来るようになり、自分が大人になったと大きな勘違いをする。大人の世界と高校生という現実の狭間で翻弄されながらも必死に自分を持とうと食らいつく少女が痛ましい。だけど頑張れと応援したくもなる。

少女が加入したバンドのメンバーであるエミさんがすごくカッコいい。そしてライブハウスのオーナーである三原さんがとにかく渋い。彼ら魅力ある人物の中でも飛びぬけて良かったのが、単身赴任中の少女の父親だ。長期間離れ離れになっているからか、娘の成長に戸惑いながらも、純粋に娘のやっていることを応援してくれる。それに飲み屋に連れて行き、一緒に酒を飲みながらやり取りする会話が痺れるのだ。まあ、少女が未成年なので褒められたことではないが、こんな理解ある父親には憧れる。

楡井さんのとても綺麗な文章が、不安定な少女に命を与え、ひりひりした緊張感ある雰囲気を作っている。そして自分を大人と勘違いしてしまった少女の心をポキリと折ってしまう最後。それゆえに彼女の心の叫びもずしんと心に響きました。冒頭からラストまで一気読みをしてしまった、すごく素敵な青春小説でした。お薦め!

「夜が闇のうちに」が続編のようなので、こちらも読むのが楽しみだ。

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楡井亜木子
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チューリップの誕生日/楡井亜木子


チューリップの誕生日 (ピュアフル文庫)/楡井 亜木子 ¥567Amazon.co.jp 【ユーリには、ベースが向いているな―――。 伝説のパンクバンドのヴォーカルだった三原のひと言で、 大人の女性ばかりのロックバンドに加入した高1のユーリ。 学校と仕事に追われ自分を失...

2008/11/30(日) 21:57 | 狭間の広場

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