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    2007

11.21

「1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター」五十嵐貴久

1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター1995年のスモーク・オン・ザ・ウォーター
(2007/10)
五十嵐 貴久

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わたしの家は、ダンナの幸輔、わたしこと美恵子44歳、ムスコの真人の三人家族。今まで大きな問題もなく、平和で穏やかな毎日だった。しかし1995年は最悪の年だ。一月の阪神・淡路大震災。三月の地下鉄サリン事件。そしてムスコの高校受験失敗。中学生浪人になったムスコは何を考えてるかわからないし、ダンナは家庭のことは干渉しないがポリシーだし、母親の悩みはつきないのだ。

そんなわたしが、フトしたことがきっかけで、コンビニのバイトを始めた。そこで毎日がつまんないという理由で万引きをする雪見34歳を捕まえ無罪放免し、その話を腐れ縁の幼なじみであるかおりに話すと、雪見をいきなり呼び出し、何故かカラオケをして意気投合。そしてかおりの「バンドがしたい」という一言でバンドを組むことになり、メンバー募集のチラシをコンビニにはると、ギターとベースをやっていたという新子46歳がやってきた。ずぶの素人3人と経験者一人の、当面の目標は、ディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を演奏すること。彼女たちは楽器を買うことから始めるのであった。

ホップ・ステップ・ジャンプでいうところの、ホップがやたらと助長すぎる。美恵子の主婦の悩みや、かおりの性格の問題点や、雪見との出会いなどが描かれているのだが、こちとらバンド物を期待しているので、はっきりいってイライラが溜まる。そして中盤あたりになって、やっとバンド物らしくなってくる。

彼女たちがやりたい曲は、誰もがイントロを聞いたことがある「スモーク・オン・ザ・ウォーター」という有名な曲だ。《ジャッジャッジャー ジャッジャジャジャーン》というあれ。聞けるところがあったので、リンクしておきます。「ここ」のベスト版の10曲目がそうです。ポチッとどうぞ。

ギターを担当することになった美恵子は、最初のうちは弦を押さえる指の痛さに泣いていたが、バイト仲間である石川くんの親切な教えもあって、ゆっくりながらも上達していく。キーボードを担当することになったかおりは、ピアノ経験者ということもあって上達も早い。ベースの新子は経験者なので弾けて当然。問題なのはドラムを担当することになった雪見で、リズム感がまったくない上に、置き場所や値段の問題があって安易に購入できないことだった。

これらは初心者なら誰もが通る道なので、自分も経験者なのですごく懐かしい。譜面をよめないし、コードも上手く押さえられない。さらに右手と左手の動きの違いに戸惑うのだ。ドラムに関しては本当にその通りだ。置き場所がまずないし、置けたとしても防音対策が大変。それにタムタムやスネアという太鼓、シンバル、バスドラムと、手足の動きがばらばらで、尚且つ一定のリズムをキープしなければならない。

やがて彼女たちもスタジオを借りての初音合わせをするが、雪見はカウントしか取れないし、美恵子は出だしのタイミングがわからない。さんざんな出来だったが、帰り際に美恵子はボーカルまですることを命じられ、彼女たちのバンドは曲りなりにもスタートする。

これもすごく懐かしい。個人でいくら練習しても、みんなが自分のことだけで精一杯で、周りの音を聞く余裕がなく、ごちゃごちゃの騒音にしかならない。バンドになると音楽にならないのだ。それらがやがて音になり音楽になって、バチッと決まったときは快感なんだけど、そこまでの苦労は経験者にしかわからないだろう。

彼女たちもある程度演奏できるようになると、人前でやってみたいとか、レパートリーを増やしたいとか、いろんな色気がでてくる。そんな色気がでてきた時に、他の曲を挑戦するとヘタなバンドになる。そこを新子さんがビシッとまとめていたのは、やるねえと感心してしまった。

その後、バイト仲間の石川くんが通う高校で、神戸の震災復興支援のチャリティー・ライブを開催することになり、参加自由ということなので、彼女たちはやるっきゃないと申し込むのだが、その石川くんが通っている高校というのが、美恵子のムスコが受験に失敗した学校で、これまでダンナやムスコにも、内緒でバンドをしていたことを打ち明けるときがくる。あとは読んで確かめてください。ダンナさんがとにかくカッコイイんだ。

大好きなバンド物の作品だということで長々と書いたが、自分と重なる部分が多々あったので、普通の方より楽しみが多かったと思う。その辺をしょっぴいても、読んで損はない、とお薦めしちゃいます。いやー、楽しかった。

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五十嵐貴久
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comments

しんちゃん バンドやってはったんやったら
これはツボだったかも(笑)
30overには懐かしくて、楽しめる作品でした。
おおっ。「ディープ・パープル」の曲のリンクがっ。
素晴らしい!!
あとマクドでの描写は笑えた。ぷぷ。
ラストは爽快だったね~。

naru:2007/11/21(水) 19:05 | URL | [編集]

そうそうダンナさんのあの言葉、カッコよかったですよね。
五十嵐さんは本当に間口が広い作家さんですね。次もどんな本が出るのか非常に楽しみです。

リベ:2007/11/21(水) 19:07 | URL | [編集]

こんばんは。
楽しかったですね~。
バンド経験者ならではのレビュー、熱く読みました。
担当楽器はギターですか?
どんな曲の演奏をされてたんでしょうか?
イカ天に応募されたかも?
興味津々です。

藍色:2007/11/22(木) 03:35 | URL | [編集]

naruさん、ばっちりツボでした。
年代的にも被るので、楽しめました。
うちらもバイトで稼いだお金はバンドにつぎ込んでました。
だから石川くんの気持ちがすごく共感できる。
バンドを組むには、けっこうお金がいるんですよ。

しんちゃん:2007/11/22(木) 09:24 | URL | [編集]

りべさん、カッコよかったですよね。
家庭にノータッチだったダンナの、株があがった一言でした。
初期の作品はイマイチだったけど、最近の五十嵐さんはいいっす。

しんちゃん:2007/11/22(木) 09:27 | URL | [編集]

藍色さん、おはようございます。
楽しかったです~!
担当は主にギター、助っ人でベースでした。
メジャーから離れた曲を演奏していたので、伝えるのが難しいです。
でもXのコピーはしましたけど。

しんちゃん:2007/11/22(木) 09:31 | URL | [編集]

こんにちは!
ギターの弦を押さえる指の痛さとか、
そうなんだぁという部分もあって興味深く読みました。
経験者のしんちゃんには懐かしい部分、分かる!という部分がたっぷりだったんですね♪
1995年って私の感覚ではほんの数年前だったので、もう12年前になるんだ~とちょっとビックリでした(^_^;)

エビノート:2007/11/23(金) 12:05 | URL | [編集]

エビノートさん、こんにちは。
初心者の細かな苦労に触れていたので、当時を思い出して懐かしかったです。
楽器の入門書では、こんな事を教えてくれないっすよ。
すごく親切なバンド小説だと思いました。

小室全盛の時代って、かなり前に感じますね。
年くったなあ。は~。

しんちゃん:2007/11/23(金) 16:55 | URL | [編集]

しんちゃん☆こんばんは
タイトルと表紙に惹かれて読んだのですが、すっごく良かったです!
前半がタルイというご意見が多いようですが、それあっての後半の盛り上がりという気もします。
ロックギターの教則本に必ず入っているこの曲、ロック好きなら必ず通る道ってことかな?
ロック好きの友人たちに奨めまくります!

Roko:2007/12/06(木) 23:23 | URL | [編集]

Rokoさん、こんにちは。
バンド物を期待したから、前半が長く感じたのでしょう。
作品としてはよく出来てると思いました。

ギターは弾けるけど、教則本は見たことないっす。
普通は手に取るのかな。

しんちゃん:2007/12/14(金) 09:48 | URL | [編集]

こんにちは。
話のホップの部分は置いといて(笑)、4人のメンバーが集まるあたりからおもしろくなりましたね。
音合わせで、みんな自分のことで精一杯で周りの音を聞く余裕がないって、すごくよくわかります。

コンサートでの演奏シーン、よかったです。



mint:2008/01/11(金) 12:03 | URL | [編集]

mintさん
ホップが長かったですよね。
ステップからは期待通りの作品で満足でした。
もちろんジャンプは言うまでもない。ニヤリ。

しんちゃん:2008/01/11(金) 12:09 | URL | [編集]

こんばんは。
ホップ長かったです(笑)
でもがんばった分だけ後が感動でした。
ダンナ、ずっと存在感薄かったのに最後にすごくかっこよかったですね。
存在感薄くて理解がある。理想のダンナですわ。

なな:2008/01/28(月) 21:57 | URL | [編集]

ななさん、こんばんは。
ホップが長すぎでしたよね~。と軽く流そうかと思いましたが
その発言は本音だと確信。
そうか、存在感を消すのか。そして理解か。ってオイ!
身も蓋もないやないの。ななダンナがんばれ。妻に負けるな。

しんちゃん:2008/01/28(月) 23:10 | URL | [編集]

私はバンド物と知らずに読み始めたので、石川くんの存在が親子の関係に変化でももたらすの?もしかして息子がバンドに目覚めて一緒に一騒動?とか想像しながら読んでました。
最初がゆったりで先が見えないだけに、まさかオバサンバンドとは思わず、言い出した時にはお前かい!と突っ込み入れてました。新子の実践主義はなかなかよかったですね。

たまねぎ:2008/02/11(月) 13:02 | URL | [編集]

たまねぎさん
ジャケを見てバンド物を期待したのに、なかなかバンドが始まらない。
なんだかなーの前半でした。中盤からは面白かったですけど。

しんちゃん:2008/02/11(月) 20:18 | URL | [編集]

こんばんは~。
私は、最初からお母さんの(再)青春ものという風に読んでいたので、序盤の展開も結構楽しめましたがバンドものを期待しているとちょっと退屈かも知れないですね。
高校の頃、学校の授業でギターをやり、指が痛いとか、ああいうの体験したので「そうそう…」とか思いながら読めました。

たこやき:2008/07/19(土) 18:26 | URL | [編集]

たこやきさん、こんばんは。
ギターの弦が痛かったのが、指皮が厚くなってなんでもなくなる。
こういう細かいところが単純にすごいな~と思いました。
期待の持ち方は失敗だったかも。

しんちゃん:2008/07/19(土) 21:48 | URL | [編集]

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