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    2007

11.23

「氷の海のガレオン/オルタ」木地雅映子

氷の海のガレオン/オルタ (ピュアフル文庫)氷の海のガレオン/オルタ (ピュアフル文庫)
(2006/11)
木地 雅映子

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自らを天才だと信じて疑わないひとりのむすめがありました。斉木杉子。十一歳。わたしのことです。くだらないわたしのあだ名は、おすぎばあさん。結婚前からパパとママが決めていた、この響きのいい、古風な名前のセンスが理解できるような子供はひとりもいない。

少女は両親が集めた家の図書室の本を沢山読むことで、言葉を学んできたのだが、それが学校ではまったく通じないことに気づき、それ以来、自分は天才だからと思いこむことで、自分を守ってきた。クラスメイトのひとつひとつの低脳な事柄があるたびに、心の中で毒づき、それゆえに学校で居場所が見付けられない少女。少女の兄や弟も彼女と同様で、やがて彼らは、自分たちが変わりもんではないかと不安に思うようになる。

周囲に馴染めない子供や、グループを作って自分たちのワクからはみ出した子を排除しようとする子供たち、とかなり痛いところを突いた作品だ。主人公は前者で、後者の子たちから必死に自分を守ろうとする。彼らと違って自分は高尚だから、とわざと人目につくように難しい本を読み、画集を開いて、同級生たちと距離を取ろうとする。だけど本心では孤独を感じていて、自宅の庭にあるナツメの木に名前をつけて、そっと話かけている。

理由は違うが、グループに入れなくて孤独を恐れる少女が、彼女に付きまとってくるのだが、彼女はタスケテという心の叫びを感じながらも、自分とは人種が違うからと無視し続ける。本書では、少女が普通の人たちと違う、となっていたが、普通ってなんだろうと考えた。考え方が多数なら普通なのだろうか。人と同じなら普通なのだろうか。そこに個性はあるのだろうか。

主人公の異質さは、自分ではどうにもならないところからきている。それは兄や弟も同じで、社会に上手く適合できない。要領の悪さなどではなく、もっと根本なところで異質なのだ。ここでは家族の血が問題になっているが、やがて不安が募って彼らは学校で問題を起こす。そんな彼らの姿を見て母親が荒治療を施すのだが、その結果、彼らは社会に協調するのではなく、さらに孤高の人になっていく。それが他の作品とは違って本書の異質な作品ぶりなところだろう。自分の子供時代とはまったく違う少女だが、共感できる読者も多いだろう。だけど、それよりも本書を読んだ今の子供たちの意見が聞きたい。

文庫版収録の「オルタ」も、学校に馴染めないアスペルガー症候群という自閉症の女の子を、母親目線で描いている。この症状は、誰かが何かをしてくるのには理由があるはず。けれどやられた本人は、自分のこころの内側に世界を探す。嫌われているからなのか。自分が悪いのだろうか。少女は相手の心を読まずに、自分が何かをしたのかと問う。何故と。そしてぼーっと精神的解離をしてしまう。こちらもドキリとする内容で、沢山の物事を考えさせられた。でもこちらは子供には理解出来ないかもしれない、大人向きの作品だろう。

両作ともYAの枠を超えたすごい作品だと思う。こういうのは好きだ。

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木地雅映子
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comments

自分は「ガレオン」より「オルタ」の方が心に残っています。
これは"大人視線"だったからかな?

「悦楽の園」はさらに深いところをえぐってくる物語なので、この話が気に入ればきっとしんちゃんも気に入ることだと思います。

リベ:2007/11/23(金) 18:55 | URL | [編集]

りべさん
「オルタ」の冒頭は混乱しました。
少年のおかしな行動が主筋かと勘違いし
オルタは空想世界の人物だと思ってました。

群集心理は読んでいて居心地が悪いっすね。
だけど少女たちの心の動きは面白かったです。
「悦楽の園」は、今読んでる本の次に読みます。

しんちゃん:2007/11/24(土) 08:22 | URL | [編集]

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木地雅映子(きじ・かえこ)【氷の海のガレオン/オルタ】


自宅に図書室を持つ両親のもとに育った斉木杉子は11歳。 本と父と母の言葉に培われてきた「言葉」が、学校では通じない。杉子は読書にふけってクラスメートとの間に壁をつくる一方で、息苦しさを癒す場所を探し求める。

2007/11/24(土) 11:30 | ぱんどらの本箱

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