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    2007

11.27

「悦楽の園」木地雅映子

悦楽の園悦楽の園
(2007/10)
木地 雅映子

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革命家だと聞かされていたパパと一度だけ会い、そして妥協はしないと約束をした。15歳で妊娠して、出産して、死んだママがパパに妥協しなかったのなら、自分も妥協しない。そう思いながら、異質な女系家族に生まれた相原真琴は13歳に成長した。

周りと協調した「ふつう」が求められる学校生活。そんなものはごめんだ、とフト思いたった真琴は、化け物の絵しか描けない落ちこぼれの南くん、隣のクラスの不良少年といわれる染谷と、欲情むき出しの彼らに疲れながらもつるむようになる。特殊な立ち位置の優等生、学校一キモいチビ、茶髪のヤンキー。ヘンな三人組は、やがて校内でかなり目立ち、そして浮いていく。

前半部分はラノベのような学園小説になっているが、中盤あたりからは木地作品の「オルタ」の進化系のようなお話になってゆく。ある女性から、周りに知られていないが、南くんが発達障害の子だと教えられ、母の再婚相手から虐待されている南くんを真琴は救いだす。そしてわけあって不登校児のたまり場になった自宅に匿い、誰もが頭が上がらない女系家族の長であるひいおばあさんが一手に預かることになる。

そしてこれまでおかしな行動を取っては、クラスのみんなにヘンな眼で見られていた南くんが、特殊な才能を持った選ばれし子だと知り、彼が帰ってきたときの居場所を作ろうと、真琴は染谷の助けを借りながら、普通の人たちに戦いを挑む。

世間でいう普通というカテゴリで中央にいて、踏ん反り返っている人たちについて考えさせられる。一緒に個性を消してグループを作り、そして変わった人が目障りだからと、衆を頼んでひとりひとり潰す。こんなのが面白いのだろうか。それらをイジメともいうし、無意識の群集心理ともいう。

少女たちはこれらに戦いを挑んでいくのだが、これが何とも奇妙な展開なのだ。詳しくは書かないけれど、一種の集団催眠のような洗脳作戦にでる。普通にしがみついて安全な位置にいたい人に、相手の心理を掴んで誘導するのだが、このときの主人公の悪役ぶりは少し怖い。だけど、わりと好きな暗躍でもあった。

終盤になってくると、南くんと会えないもやもやから、真琴は幻想世界に迷い込み、あとはラストのオチに向かってむふふな世界に入っていく。本書の最後のようなベタ甘は大好き。爽やかで、甘酸っぱくて、ニヤリなのだ。

この作品は三部構成になっているのだろう。前半のラノベテイストで読者の心を掴み、中盤から木地作品特有の周囲から浮いてしまう障害の有様を提示し、そして終盤で読者をぐらぐら揺らした上でエンターテイメントなラストを迎える。「ガレオン」や「オルタ」から、さらに進化した、超ド級の大傑作だと思った。恐るべし、木地雅映子。

この作品が他の方たちにも受け入られることを、切に願う。

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木地雅映子
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comments

真琴が「カーストの外に出た」あたりから最後まで、もう一気読みでした。
これだけの要素を詰め込みながらもバランス良く過不足なく描かれるなんて、このまま埋もれてしまうには本当に惜しい作家さんだと思います。

また胸にぐさっとくる言葉(「友達は麻薬だ」など)も多く心に残りました。
あー、この本を読んで良かったと心から言えるほど素晴らしい作品でした。

リベ:2007/11/27(火) 20:38 | URL | [編集]

りべさん
終盤はすごかったですよね。
りべさんの言うとおり、埋もれるのはもったいない。
あまり期待出来ませんが、新刊が出てほしいっすね。
ここはジャイブに頑張って貰わなくては。

しんちゃん:2007/11/29(木) 16:26 | URL | [編集]

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