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    2007

12.18

「魔王」伊坂幸太郎

魔王魔王
(2005/10/20)
伊坂 幸太郎

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「魔王」と「呼吸」の姉妹篇二作を収録。

「魔王」
子供の頃に両親を交通事故で亡くし、安藤は弟の潤也とその彼女の詩織ちゃんと三人で暮らしている。《考えろ》と昔から頭の中で言葉を繰り返す安藤は、衆議院解散がほぼ確実になり、急激に人気が膨らんだ野党の党首・犬養に独裁者の匂いを感じ、その犬養に簡単に踊らされていく国民を見て、このままではこの国がファシズムに向うのではないか、と危機感を募らせる。そして、国内でアメリカへの反感が異状に高まってゆく中、安藤だけが魔王の存在に気づいてしまう。恐れを感じた安藤は、突然身に備わった特殊な能力である腹話術を使って、一人立ち向かおうとする。

「呼吸」
先の「魔王」から五年がたち、詩織と潤也も結婚して仙台に移ってきた。詩織はプラスチック製品のメーカーで派遣社員として働き、潤也は知り合いのツテで環境調査をする会社で働いている。そして潤也は昔からくじ運が良かったのだが、何かと運が良くなりはじめ、一番顕著だったのはじゃんけんだった。その潤也の能力がどれぐらいの力なのか、二人は探ってゆく。その頃世間では、国民投票による憲法改正が話題を占めていた。

これは異色な作品だ。まず兄妹が持った能力から触れていこう。安藤の名づけた腹話術とは、安藤が内心で唱えた台詞を、標的にした人物に念を送ると、その人物は同じ台詞を叫んでしまう、という代物。その能力を発動するには条件があって、まず安藤が見ている人物で、有効距離が歩幅で三十歩程度、そして人間限定という、よく考えれば少ししょぼい能力だ。弟の潤也の能力は無敵のじゃんけんと、ある確率まで的中させる運の良さ。こちらの能力の方が身近で実用的な能力だ。

「魔王」でのメディアを使った大衆に対する誘導や、簡単に操られていつの間にか乗ってしまう人々。植え付けられた思想や、人が集まったときの群集心理と、かなり怖かった。これと似たことが数年前にあって、チルドレンなんて呼ばれる人たちが誕生した。他にも名前は出さないがボクシング関連でも数ヶ月前に一斉バッシングがあった。これらニュースに対して、我が物顔で発言する厚顔な人物たちが、自分は大嫌いだ。当然のように意見を押し付けるテレビも大嫌い。だからと言うわけではないが、自分はテレビをほとんど観ない。そんなメディアに伊坂さんが警笛を鳴らしたメッセージだと、自分は受け取ったのだが、このような読み方をしたのは自分だけだろうか。

「呼吸」での潤也と詩織がテレビを観なくなったので本を読むようなったとあったが、自分も同じように本ばかりを読む。テレビなんてほんといらねえ。他にも政治や住民投票のずるさなどが詳しく語られていたが、目からウロコとはまさにこれらのことだろう。ストーリー的には中途半端に終わったように思ったが、雑誌「ダ・ヴィンチ1月号」によると、来年夏に、五十年後が描かれた続編が出るらしい。よってそちらを楽しみに待つことにしよう。

伊坂さんの本だからという理由で予備知識なく手に取ったが、簡単に流される日本人の有様がリアルで、日頃思っていたことと重なる部分が多々あったので、共感しながら読むことができた。そして、こつこつ溜めたお金を潤也はどのように使うのだろうか、来年の夏が待ち遠しいのである。


作品リンク
「死神の精度」:千葉
「グラスホッパー」:ガブリエル・カッソ

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伊坂幸太郎
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comments

いろんな意味で、この物語の先を早く知りたいです。
夏まで待ち遠しいですね。

ふらっと:2007/12/18(火) 20:59 | URL | [編集]

こんばんは!
メッセージ性が強い作品でしたよね。
この中で伊坂さんが警鐘を鳴らしていた未来に、どんどん近付いている気がするのはちょっと怖いです。
流されないようにしないと・・・と思いました。
続編、楽しみですね~五十年後、どんな世界になってるんだろう?
気になる~~。

エビノート:2007/12/18(火) 21:36 | URL | [編集]

私も「魔王」を成り立たせちゃってる一人なのかな・・とか、
考えさせられることが多かったです。
だから腹話術のしょぼさに、ほっとさせられたようなところもあったりして。
50年後、どうなってるんでしょうね。兄の戦いが無駄になってないといいんですけど・・。

june:2007/12/19(水) 22:10 | URL | [編集]

ふらっとさん
待ち遠しいですよね。
その頃までこの内容を覚えてるかしら。
もう少し内容を書いとけば良かったかも。

しんちゃん:2007/12/20(木) 12:59 | URL | [編集]

エビノートさん、こんばんは。
メッセージ性が強が強かったですね。
ほんとリアルで怖かったです。
簡単に流されないように気をつけましょうね。

続編はおじいさんになってるのでしょうか。
気になる~。

しんちゃん:2007/12/20(木) 13:03 | URL | [編集]

juneさん
いっぱい考えさせられましたね。
確かに能力のしょぼさにほっとしました。

どこまで現実感のあるお話か、想像できませんが
伊坂さんなので、何かやってくれるでしょうね。

しんちゃん:2007/12/20(木) 13:08 | URL | [編集]

続きが出るんですか?しかも50年後!
まさかの政争小説なのか、はたまた力を受け継いだ息子が出てくるのか。うーっ気になる。

たまねぎ:2007/12/21(金) 21:21 | URL | [編集]

たまねぎさん
知ってる情報をおすそ分けします。
漫画雑誌モーニングに連載の「モダンタイムス」がそうです。
楽しみですね

しんちゃん:2007/12/21(金) 23:36 | URL | [編集]

 群集心理に流されないことの難しさと大事さを
 あらためて考えさせられた1冊でした。
 伊坂さんの中では作風が異色の(?)重さでしたが、
 妙に印象に残っている本です。

miyukichi:2007/12/29(土) 16:56 | URL | [編集]

miyukichiさん
日本人の気質が上手く取り入れられてましたね。
お~怖って感じでした。
かなり異色な作風でしたけど、こういう風刺ものは好きでした。

しんちゃん:2007/12/29(土) 22:59 | URL | [編集]

続きである「モダンタイムス」から読んだので、納得のストーリーでした。
流されるこわさを感じますね。
それにしても、50年後はああなっているとは…。

たかこ:2009/07/17(金) 09:37 | URL | [編集]

たかこさん
そういう読み方もありね(笑)
その後を知っていて読む「潤也と詩織」はどう映るのでしょうか。
ちょっと気になりました。

しんちゃん:2009/07/17(金) 17:24 | URL | [編集]

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