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    2007

12.22

「一千一秒の日々」島本理生

一千一秒の日々一千一秒の日々
(2005/06/16)
島本 理生

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「風光る」「七月の通り雨」「青い夜、緑のフェンス」「夏の終わる部屋」「屋根裏から海へ」「新しい旅の終わりに」「夏めく日」を収録した、生真面目だったり頑固だったり、どこかウカツで変に不器用な人たちの連作短編集。

「風光る」
半同棲のような生活をしている、付き合い四年目の男女がいる。哲の「晴れたら次の土曜日に遊園地へ行こう」の言葉に、女性の胸はなぜか嬉しさよりもざわざわと大量の虫が通り抜けていくような音をたてた。

別れの予感を覚えながら、お互いにそのことに触れずにデートする姿が切ない。島本さんのキレイな文章が、揺れる心を上手く表現していて、そこにリアルを感じた。

「七月の通り雨」
大学の劇団が週末に行った千秋楽の夜、「初日から毎日あなたを見たくて通ってました。俺と付き合ってください」と、面識のなかった遠山から突然告白された瑛子。彼女は高校時代からのたった一人の友人、真琴さえいれば、男の人を必要としていなかった。

女が女に惚れるってよく分からないが、瑛子と真琴ならありかなと思える。遠山の大人っぽい振る舞いはキザなのだが、嫌らしさがなくて好印象だった。ただ、こんな男は信用できない。

「青い夜、緑のフェンス」
ダイニングバー・蜂の巣で働く自分に自信のない針谷は、中学生の頃から知っている、生意気で失礼な一紗になぜかなつかれて、彼女の傍若無人な行動に振り回されることにウンザリしながらも、ほっとけなくて友達関係を続けている。

針谷君と一紗ちゃんの関係がもどかしいのだが、なんか雰囲気がいいのだ。それに一紗ちゃんがモロ好みだった。針谷君はアホだね~、と思いつつ、ラストの爽やかさにニヤリと笑ってしまった。


「夏の終わる部屋」
飲み会で出会った操と一夜を共にした長月は、彼女と付き合うようになった。だけど、異状に長月に執着したり、実家のことを頑なに隠したりする操に、ある日長月はひとりになりたい気分になる。その後、彼女は束縛する実家から逃れたくて、長月に黙ったまま、前の男の家で一緒に暮らしていたことを、長月は知ることになる。

操の意味不明な行動もラストを読めば納得できる。しかし長月の立場になれば、操の態度にイラついたり疲れるのもよくわかる。彼女は結局のところは長月のことを信頼していなかったのだろう。可哀想な女性だが、利用された長月はもっと可哀想。

「屋根裏から海へ」
生真面目が取り得の加納は、一年ぶりの電話をきっかけに元彼女の真琴と友達関係になった。一方で加納は、沙紀という家庭教師をする少女の姉が、遠距離恋愛の男と上手くいかずに苦しんでいるのを知る。精神的に弱ってるときに甘えたくないという真琴と、まったく逆の沙紀。二人の女性と関わりながらも、加納は自分を大事にしようとする。

やぼったい加納くんだけどすごくいいヤツだ。それに真琴もしっかりと自分を持っているので魅力的。それに引き換え、沙紀さんの精神的な病は読むのがしんどい。こういうタイプの女性はいつまでたっても、同じような浮気性の男と付き合い、同じように悩んでいそう。

「新しい旅の終わりに」
かつて恋人だった加納君と、成り行きから二人で旅行することになった真琴。一度付き合ったと言っても、デートの後で真面目に家まで送ってもらう関係だった二人。しかし、いろんな杞憂をよそに、真琴の口からでるのは、ふられた哲の話ばかりだった。

ネタバレになるからあまり言えないけど、すごく良かった。こういう関係って実際は無理だと思うけど、この二人ならあってもおかしくない。なんてったって相手が加納君だし。

「夏めく日」
高校時代の瑛子と、先生同士の結婚ゆえに移動が決まった石田先生との、放課後のひと時。

単純に女って怖いと思った。とてもいい雰囲気だと思っていたら、最後の1ページでゾッとさせられた。最近の島本さんにあるブラックさの原点だろうか。こういうのは大好きだ。

ちょっと変わった連作短編集だった。各編によって主人公は違うのだが、それぞれのお話で何らかの形で登場しているのだ。こういう設定の作品は、あまり読んだことがないが、結構面白いと思う。まず第一に飽きない。それに人物の性格がわかりやすいし、交友関係も捉えやすい。それにストーリーの膨らみかたも変わっていて面白い。最近の島本さんと比べると、文章に若い部分があるし、パンチの効きも弱いのだが、これはこれで良かったんじゃないでしょうか。個人的には「青い夜、緑のフェンス」が一番好きだったかな。次いで異質な「夏めく日」が良かった。

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島本理生
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comments

随分前に読んだんだけど、針谷君と一紗ちゃんは覚えてました。
いろんな所に「あぁ、そんな事あったよなぁ」って思う場面があって、なんだか懐かしい気持ちに。

なな:2007/12/22(土) 21:16 | URL | [編集]

何本かTB送ってるんですが反映されないですねー。相性の問題でしょうか。。

だいぶ前に読んだので内容忘れてるんですが、針谷くんはいいと思いましたよ!普通のいい子も好きです。悪い男ばっかりすきなわけじゃないです!(←脱線気味)

まみみ:2007/12/22(土) 23:14 | URL | [編集]

こんばんは!
短篇ごとに主人公が変わっていく設定が新鮮でした。
まだ文章が初々しいというか若いですね。
淡く水彩画のようで、等身大なところも魅力的です。

雪芽:2007/12/22(土) 23:23 | URL | [編集]

ななさん
針谷君と一紗ちゃんは印象に残るよね。
こういう関係ってちょっと憧れます。

しんちゃん:2007/12/22(土) 23:49 | URL | [編集]

雪芽さん、こんばんは。
若さのある文章だけど、読ませましたねぇ。
可愛らしい人物たちに魅力を感じました。
可愛いくって、好きな作品でした。

しんちゃん:2007/12/23(日) 00:04 | URL | [編集]

私も針谷君と一紗が一番印象に残ってます。
でもしんちゃんの記事を読んで思い出しました。
加納君と真琴の話も好きでした。
島本さんの話にはよくダメ男が出てくる気がするんですが、
針谷君みたいな愚直な男の子のよさが書いてあると
何だかうれしかったりします。

june:2007/12/23(日) 19:51 | URL | [編集]

juneさん
針谷君と一紗ちゃん良かったですよね。
それ以外の人物たちも可愛かったー。

愚直な針谷君のような人物はめずらしかったですね。
こんな作品を描いていた島本さん、益々好きです。

しんちゃん:2007/12/23(日) 23:45 | URL | [編集]

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