2007
![]() | クローバー (2007/11) 島本 理生 商品詳細を見る |
我が強くて思い込みが激しくて負けず嫌い。顔はそこそこだがモテる努力を惜しまない双子の姉、華子。地味で真面目で善意の人。姉に振り回されている双子の弟、冬治。双子の姉弟は大学に通うために両親の元を離れ、二人で暮らしていた。そこに現れたのが、華子にベタ惚れでとにかく打たれ強い公務員の熊野。そして、冬治に分りやすい好意を寄せる、非常に優秀だが挙動不審な大学で同じ研究班の雪村さん。冬治、華子、熊野、雪村のクローバー、彼らの四人の恋、絆、迷い、決断を描いた青春恋愛小説。
これって少女マンガというような双子のお話だと思って読み始めた。しかし、そんな思いをよそに、どうせ自分なんて、と思うそれぞれの人物たちが葛藤している。なんか分かるんだよ。自分に自信が持てず、かたくなに卑屈になってしまうんだ。傍から見ればそんなに思い込むことじゃない。だけど、自分って駄目だと自己嫌悪して、その場に立ち止まってしまう。そういう考えを持つのは若さですかね。しかし、双子を中心にして、とにかく明るくて賑やかで楽しいのが前半部分。
そして、雪村さんに好かれたものの、過去を引きずる弟くんが、雪村さんの好意にノーを言ってしまう。しかし、華子の仕業で垢抜けない雪村さんが、飛びっきりのいい女に変身。その結果、気になってあたふたする弟くん。しかし、ノーの意思表示をしてしまった手前、雪村さんには声をかけられない。過去の失恋経験を引きずる弟くんだが、やがてクローバーの葉っぱたちと話しをするうちに、自分の気持ちを正直に打ち明ける。これが中盤。
そんなあれこれがありつつも、結局は落ち着く場所に落ち着く。しかし、そのあと弟くんが自分の将来についてぐずぐず悩む重い話になっていく。これがすごくしんどい。一度は決断した進路だが、状況が変わって過酷な決断を迫られる。姉弟のこれまでの慣れた生活。長距離恋愛を覚悟した生活。お金がかかるが希望だった大学院に進む生活。夢を諦めて社会人になってお金を稼ぐ生活。弟くんが選んだ生活には触れませんが、こんな結末もありかな、と思ってみたりもする。
そんなこんなで、前半と後半で、内容も雰囲気もテーマも違う。よって評価がしにくいのである。前半の明るい雰囲気は好きだが、後半のぐずぐずは好みでない。あとがきで島本さんも触れていたが、途中で別物の作品に変わってゆく。その辺りがなんか不安定に感じてしまい、単純に好きと言い切れない。わりと好きだった雪村さんも、最後の方ではしんどい女になっていたし。自分にとっては少し期待ハズレだったかも。がつんとくるパンチ力がないし、中心になる人物もしぼれてない。かなり甘さが目立った作品だった。
もっとブラックに走ると思っていた島本さんが、「一千一秒の日々」に戻ったような作品。だけど、行き当たりばったりを感じてしまうまとまりがない作品だったと思う。
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