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    2007

12.28

「私の男」桜庭一樹

私の男私の男
(2007/10/30)
桜庭 一樹

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腐野淳悟は、わたしの養父だ。彼がわたしを引き取って育て始めたのは十五年も前のことで、わたしは小学四年生で、震災でとつぜん家族をなくした。淳悟は遠縁に過ぎなかったけれど、養子縁組をし、養父になってくれた。八年前、淳悟が三十二歳のとき、わたしたちは東京にやってきた。そしてわたしは二十四歳になって、明日、結婚しようとする。ただ確信できていることは、今年四十歳になる養父こそが、私の男だということだけだった。

私の男。離れられない。そばにいたい。もう、離れないといけない。でも、できるだろうか。わたしと養父は、世間においていかれながら、二人きりで並んで歩き続けてきた。わたしが九歳のときから、二十四歳の今日まで。まだ時効になっていないあの八年前の事件からも、一緒に逃げ続けているのだった。

2008年の現在から、2005年、2000年、1996年、1993年と、過去にさかのぼってゆく。そこで徐々に明らかになっていく、花と淳悟の二人だけの秘密。血の繋がった絆。そして罪。

ちょっと凄いよこの作品は。ネタバレを恐れて萎縮してるけど、ほんと凄いの。読む前はドロドロを覚悟していたけど、まったく不愉快を感じなかった。この二人の関係は正しくない。歪んでいる。許せない方もいるだろう。だけど、二人の過去を辿ることで、何となく納得してしまう不思議な作品なのだ。

ざらざらとした世界で、覗いてはいけない過去を読んでいくのだが、すごく吸引力がある文章で、ページを捲る手を止めることが止められない。禁断の恋、禁忌の世界を描いているので、普通なら気持ちの悪さを感じるだろう。しかし、高校生、小学生の花を読む事で、そんなしこりが解けていく。

何故こんなにも依存するようになったのか。何故こんなにも安らぎを覚えるようになったのか。何故こんなにもかけがいのない存在になったのか。何故こんなに…。すべては二人の結びついた過去が紐解かれていくことで明らかになっていく。見えなかったざらりとした物が見えてきたとき、読者はどう感じるのか。何を思うのか。著者が問いかけてくるのだ。

哀しみや切なさ、愛おしさが溢れ、心臓がぎゅっと締め付けられるようで息苦しい。二人は生きるために、ずっと寄り添ってきた。生きるために罪を犯してきた。しかし悪い人とは思えない。むしろ可哀想な人たちだ。やるせなさを感じつつも、何ともいえぬ危うい美が、ここにあった。構成の妙が光る絶品の一冊だった。


TBさせて貰いました。「今日は何読んだ?どうだった??」

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桜庭一樹
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comments

正しくない、歪んでいる、理性ではそう分かっているのに
不思議とイヤじゃなかったんですよね~。
こうならざるをえなかったことに納得し、そしてどうしようもなく哀しいなぁという気持ちになってしまいました。

エビノート:2007/12/28(金) 20:42 | URL | [編集]

こんばんは。
読み進めるほどに息が詰まるみたいでした。
やりきれない、哀しい気持ちが残りました。

藍色:2007/12/29(土) 01:23 | URL | [編集]

本当に「凄いよ」と言いたくなる作品でした。
嫌悪感を抱かずにはいられない内容なのに、そういうことはちっとも感じなくって。逆に、そうなってもおかしくないよな~と納得しちゃう、させられちゃっていたような・・・。
読み進むうちに、どんどんはまり込んで読んでしまいました。

すずな:2007/12/29(土) 08:06 | URL | [編集]

エビノート さん
イヤになりませんでしたね~。
なぜこうなってしまったのか、に納得しちゃうんですよね。
これまでと違う桜庭さんですが良かったです。

しんちゃん:2007/12/29(土) 11:36 | URL | [編集]

藍色さん、こんばんは。
どんどん息が詰まるみたいでしたね。
言葉が出なくなってしまう、みたいな。
ラストを読んで、また冒頭を読むと
さらにむむっと唸ってしまう。

しんちゃん:2007/12/29(土) 11:40 | URL | [編集]

すずなさん
ほんとすごかったですね。
桜庭さんの本は出るたびに驚かされます。
ラノベ作家なんて言えなくなっちゃいました。

しんちゃん:2007/12/29(土) 11:43 | URL | [編集]

しんちゃん、こんにちは!
しんちゃんの感想読んだらまたあの読後に感じた切ないような愛おしいような不思議な感情が溢れてきました。
桜庭さんの世界はどこまで広がっていくのだなぁ、と改めて驚かされましたわ。
今後がますます楽しみです!

リサ:2007/12/30(日) 18:42 | URL | [編集]

リサさん、こんばんは。
驚きの世界でしたね。くらくら~って感じ。
ほんと、新作がでるたびに世界が広がっていく。
底が見えない桜庭さんってすごいよね。

しんちゃん:2007/12/30(日) 19:29 | URL | [編集]

見事でしたね。最初の待ち合わせの描写でぐぐっと引き付けて、事が明らかになる頃には二人の間に何の言葉を挟めようかとなってくる。いやあ桜庭さんは今年、大化けですな。

たまねぎ:2007/12/31(月) 15:18 | URL | [編集]

たまねぎさん
ちょっと桜庭さんがすごくなってきましたね。
凄みがでて末恐ろしい作家になってきた。
今後もっとも目が離せない作家かも。

しんちゃん:2007/12/31(月) 21:06 | URL | [編集]

本当にすごかったです。
実力のある作家さんだと思ってましたが、まさかここまでとは…

ただ、すごいけれど貸す人は選ばないといけないかもなあと思ってみたり。内容読まないで嫌悪感抱く人もいるでしょうし…でもいい作品なので読んでもらいたいし。ジレンマです。

まみみ:2008/01/08(火) 14:52 | URL | [編集]

まみみさん
これは驚きの作品でしたね!
物言えぬ衝撃をうけましたよ。

でも確かに読み手を選ぶ作品ですね。
はたして直木賞は・・・。

しんちゃん:2008/01/08(火) 19:23 | URL | [編集]

コメントありがとうございました♪
ブログでも向こうでもこれからも宜しくお願いします。

リンク貼ってよろしいでしょうか?

今までの桜庭さんと比べると、その変わりようが
本当に凄かったです。
ただ、これだけの作品を作り上げてしまった桜庭さんの
今後が少々不安に思います(余計なお世話)。

できれば次の作品はいつもの桜庭さんに戻って欲しいな
と思っています。

リベ:2008/01/14(月) 18:41 | URL | [編集]

りべさん、ちゃーす。
もち、OKですよ。

凄みを感じさせる作品でしたね。
毎回これじゃあ読むのが疲れるので
1/5ぐらいの割合でいいかもね~。

しんちゃん:2008/01/14(月) 19:18 | URL | [編集]

こんばんは。
最後まで読んで最初に戻ると
書かれていない花の心情に「ふむふむ」となりますよね。
「構成の妙が光る」ピッタリの言葉です。

なな:2008/01/18(金) 23:34 | URL | [編集]

ななさん、こんにちは。
そうですよね。ラストから冒頭を読んでふむふむです。
構成の妙が直木賞受賞ですね。いやー、おめでたい!

しんちゃん:2008/01/19(土) 13:01 | URL | [編集]

こんばんは★
ただただ圧倒された作品でした。
まさに真骨頂といった感じでしょうか。
世間では評価が分かれているようですが、
私はとても好きな作品です。

もつれからみあった鎖で繋がれたような二人。
闇の深淵を見たような、眩暈がしそうな読後感を抱きました。
しかし、しんちゃんさんの仰るとおり、
嫌悪感などは決して浮かんでこなかったです。

『桜庭一樹読書日記』にこの作品執筆中の様子が綴られているのですが、
あぁ、納得。でした。
爆発せんばかりのオーラが漂っています。
そして爆発の賜物がこの作品なんだぁ、と感動しました。
今後も追っかけていきたい作家さんです♪

Rutile:2008/01/25(金) 18:31 | URL | [編集]

Rutileさん、こんばんは。
圧倒的な迫力に言葉を失ってしまいました。
ラノベの延長から大いに飛翔しましたよね。
背徳な描写に好き嫌いはあるかもです。
でも面白かったよね~。

こうなってしまった、というのがわかる。
共感ではなく、漠然とわかってしまう鎖でしたね。
次回作も楽しみです。

しんちゃん:2008/01/25(金) 19:35 | URL | [編集]

すごい内容に圧倒されてしまいました。
でも、嫌悪感を感じさせないのは、作者の筆力でしょうね。

花:2008/02/26(火) 16:37 | URL | [編集]

花さん
これは口がぽかんと開いたままでした。すごいですよね。
どんどん耽美な世界に引き込まれて、圧倒されっぱなし。

しんちゃん:2008/02/26(火) 19:30 | URL | [編集]

普通なら嫌悪される二人の関係が何故かとても純粋に思えてしまい、深く私の心に突き刺ささってきました。
不思議と二人の関係を納得してしまうんですよね。本当圧巻で、こんなに引き込まれたのは久しぶりでドキドキしてしまいました。

masako:2008/04/25(金) 23:42 | URL | [編集]

masakoさん
そうそう、痛ましいはずなのに、なぜか純粋に思えてしまう。
歪んだ寄り添いあいなのに、許してしまえる二人でした。
受賞後第一作の「荒野」も読むのが楽しみですね。

しんちゃん:2008/04/26(土) 20:25 | URL | [編集]

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