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    2007

12.30

「骸の爪」道尾秀介

骸の爪骸の爪
(2006/03)
道尾 秀介

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「背の眼」の続編です。

滋賀県の南端、三重県と接するあたりの山間に、暮ノ宮という小さな町があり、瑞祥房はその町に古くからある仏所だ。ホラー作家の道尾は取材に訪れるが、ホテルの予約が手違いで取れておらず、翌日取材する予定だった瑞祥房の宿坊に泊めてもらうことになった。その夜、昼間に見学した工房にカメラを忘れた道尾は、懐中電灯を借りて一人工房へ向かう。そこで道尾は何かを感じた。訴えかけるような男の声。季節外れの蛇。唐突に聞こえてきた息づかい。そして道尾は見た。二十年前に行方不明になった韮澤隆三という仏師が、最後に彫ったという仏像。その千手観音が口を大きくあけて大笑いしている。その頬のあたりが、ひくひくと動いたのだ。慌てて逃げる道尾だが、先ほど聞こえた男の声、「マリ…マリ…」という声の響きに導かれ、辿りついたのは木づくりの社。その社の中には仏像が安置されていた。懐中電灯が点かなくなった道尾は、暗闇の中、カメラで仏像の写真を撮っておくことにした。翌日、社から聞こえてきた声、「マリ」について聞いてみると、瑞祥房の人たちの態度が一変。道尾は追い出されてしまった。

道尾は旧友の真備庄介に仕事を依頼しようと、真備霊現象探求所を訪ねる。そして、自分が瑞祥房で体験した出来事を語り、不気味な声に誘われて、暗闇の中、シャッターを切った写真を真備に見せる。その写真には、仏像の頭から真っ赤な血が流れていたのが写っていたのであった。やがて真備の調べで、二十年前に韮澤隆三が行方不明になったのと共に、房主・松月の妹も一緒に消えていたことが分かる。それと、松月の妹の名前が茉莉だということも。道尾は真備、助手の北見凛と共に、再び瑞祥房へ向かう。

真備さん、ちょっと地味になってやしませんか。それにユーモアも控えめ。民族学も抑え目だし、薀蓄も減っている。これは色モノになるのを嫌って、純粋な本格路線に変更したと捉えればいいのだろうか。前作の方が好みだったが、一作品としては面白かった。

相変わらず、複線がたくさん散りばめられ、事件解決に至るまでも、二転三転するドンデンガエシ。これで終わりだと思ったら、その後までやってくれる。この方は本当にミステリが好きなのだろう。ただ、サービスはとてつもなく多いのだが、その広げた風呂敷をたたむことに、ページ数を使いすぎているように思えた。真備によって犯人が明らかになる。その後、真備がたどった推理過程を披露するのだが、その説明する描写が長すぎるのだ。ここでやっと、あれが複線だったのか、と読者は気付くのだが、その複線が多すぎて、中々事件解明の過程が収束しない。少しサービスを過剰しすぎなのかも。

だけど、ミステリとしては抜群に上手い。誰々を犯人だろうとミスリードさせるのも上手いし、あるものの隠匿の仕方も上手い。動機や人間関係、過去の出来事のからめ方なども、なるほどと唸らせるものがあった。読者を飽きさせることなく、400ページ弱を一気に読ませる文章もさすがだ。まあ、その後の道尾さんの活躍を見れば明らかだけど。

本書に限っていえば、作家としての若さゆえか、作品のまとめ方に荒っぽさが感じられた。でも、それを差し引いても面白いんだけどね。

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道尾秀介
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comments

はじめまして。
『じっちゃんの誤読日記』なるブログをやっているじっちゃんです。
花梨さんのところから飛んできました。

おっ、まずビックリ。私と同じテンプレ使われてますね。
しかし、私よりいろいろ工夫されてますね。

私のブログのレビュー第一号が『骸の爪』なんです。
最近トラバがうまく行かないのでurlを書いておきます。
よろしければ、お読みください。
http://jitchan.blog67.fc2.com/blog-entry-6.html

しんちゃんさんとほとんど同じ感想なのでとっても共感です。
>その後、真備がたどった推理過程を披露するのだが、
>その説明する描写が長すぎるのだ。
特にここんとこは共感です。
私のレビューでも同様の感想を書いています。

>だけど、ミステリとしては抜群に上手い・・・(以下略)
ここんとこも。

う~ん、しんちゃんさんとは気が合いそうだな(笑
これから時々お邪魔しますので、よろしくお願いします。

それにしてもスゴイ読書量ですね。
「カテゴリ」見ただけでクラクラします。
私のご贔屓の作家も(あるいはその逆も)
たくさんありますので、これから拝見するのが楽しみです。

じっちゃん:2008/01/05(土) 05:59 | URL | [編集]

じっちゃん、はじめまして。
拝見させてもらいました。

何から何までソックリですよね!
思うこともそうだし、背景も同じだし。
ほんと気が合いそうですね。

読書量はよく言われます。読みすぎと言えるぐらい^^;
気に入った作家さんの作品は、全部読みたくなります。
で、気付けばこんなカテゴリに。

こちらからも訪問させてもらいますね。

しんちゃん:2008/01/05(土) 11:57 | URL | [編集]

>読書量はよく言われます。読みすぎと言えるぐらい
小さい頃から本は読まれる方だったんですか?
私も子供の頃からよく本を読みました。ただし。
私の家庭は貧乏だったので、
他所んちに行ってはそこの家の本を読んだり(笑、
学校の図書室で本を借りたり、
児童図書館に通い詰めて、
本を読んだりしていました。

じっちゃん:2008/01/05(土) 18:30 | URL | [編集]

じっちゃん
中学生の頃に、時代物を読み始めました。
司馬遼太郎、池波正太郎、隆慶一郎、白石一郎など。
そのあとはホームズ、ポワロという定番にはまり
岡嶋二人、高橋克彦で日本のミステリの面白さに開眼しました。
で、気がつけば和物専門の活字中毒が出来上がってました。

昔は図書館の利用が多かったです。
そこで何度も同じ本を借りるので
えーいっ、買ってしまえ、と買いだしてからは
借りるし買うしという読書形態になりました。

しんちゃん:2008/01/05(土) 20:14 | URL | [編集]

中学生のときから「司馬遼太郎、池波正太郎、隆慶一郎、白石一郎など」ですか。そりゃスゴイ。

高橋克彦は私も好きです。ミステリだけでなく歴史小説も。

私は今はほとんど図書館で借りることはないです。
借りて読むのが苦手で。

じっちゃん:2008/01/06(日) 05:50 | URL | [編集]

じっちゃん
ちょっと渋い中学生ですよね。
高橋さんの文庫本を全部持ってるのが、実は自慢なんですよ。
いいですよね~、東北三部作。
蝦夷の魂が熱い!

「骸の爪」の会話じゃないですね(笑)

しんちゃん:2008/01/06(日) 13:20 | URL | [編集]

私も前作の方が好きでしたけど、こちらも確かに、読ませてくれましたね。
伏線が当時から健在だったんですね。現在はそれに磨きがかかったって感じでしょうか。
大きなストーリーとしては切なくて読み応えあったんですけど、しんちゃんの言うとおり、事件解明の収束が進まなくて、読みづらさは感じました。
でも恐かったので、夜読めなかったのも、時間のかかった原因なんですが。(爆)

じゃじゃまま:2009/09/01(火) 10:34 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
内容はまったく記憶にないです。
でも最新刊は真備シリーズの第三弾みたいですね。
これを読めば少しは思い出すかしら^^;

しんちゃん:2009/09/02(水) 20:34 | URL | [編集]

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「骸の爪」道尾秀介


「骸の爪」道尾秀介(2006)☆☆☆☆★ ※[913]、国内、現代、小説、ミステリー、ホラー、本格推理、伝奇、仏像 「背の眼」で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビューした、道尾秀介のデビュー三作目。間にぼくには合わなかった「向日葵の咲かない夏」という

2007/12/30(日) 14:38 | 図書館で本を借りよう!~小説・物語~

骸の爪/道尾秀介


JUGEMテーマ:読書 読書期間:2008/7/20~2008/7/21 [幻冬舎HPより] ホラー作家の道尾は、取材先で闇に響きわたる不気味な声を聞くとともに、頭から_を垂れ流す仏像を目撃した。彼は霊現象探求所を営む友人・真備に相談し、真相の解明に乗り出すが……。

2008/07/31(木) 00:45 | hibidoku~日々、読書~

骸の爪 道尾秀介著。


≪★★≫ 作家道尾は親戚の披露宴の後、手違いからホテルが見つからず、元々取材予定であった仏像の工房・瑞祥房に泊めてもらうことになった。 そこで道尾が見たものは、笑う仏像と頭から血を流す仏像。 そして仏師が一人、また一人と行方不明になり、「マリ」という声を

2009/09/01(火) 10:27 | じゃじゃままブックレビュー

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