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    2008

01.04

「猫泥棒と木曜日のキッチン」橋本紡

猫泥棒と木曜日のキッチン猫泥棒と木曜日のキッチン
(2005/08)
橋本 紡

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お母さんが家出した。呆れはしたものの、わたしたちはそのまま暮らし続けた。お母さんがいなくなっても、ちっとも困ったりはしなかった。なにしろお母さんはお母さんのくせになんにもできない人で、家のことをやっていたのは、ほとんどわたしだった。お父さんを頼ろうにも、そんな存在はとっくの前に消え去っていた。わたしは死んだ猫を見つけると、家に持って帰る。庭に埋める。そんなことをしても叱る大人は、もういない。その猫の埋葬がきっかけで、健一君と出会った。姉のみずきは十七歳で、種違いの弟のコウちゃんは五歳。毎週木曜日には健一君が夕食を食べにくる。それはニセモノの家族だけど、みずきは安らぎを感じた。みずきと健一はある日、すでに息絶えた子猫の死骸の中から、かろうじて生きている子猫を見つけた。それが物語の始まりだった。

親が子供を捨てるなら、子供が親を捨てることもある。みずきは見事に親を捨てている。家計をやり繰りして、小さい弟と一緒にたくましく生きている。だけど、なにかを喪失している。少し痛さを感じる少女だが、彼女の視点がみずみずしい。そこにみずきに好意をよせている健一君が現れる。その健一君の目線でも描かれることで、より物語の世界が膨らむ。

しっかり者だけど不思議系少女。足にハンデを抱えるが現実的な少年。リアル感のない少女とまともな少年が作る世界が面白い。どちらかに偏ると、不安定で居心地が悪い世界になってしまう。その点、本書は二人のバランスが素晴らしかったと思う。絶妙というやつですかね。

やがて、二人はいつ死ぬかもしれない子猫を拾い、その子猫の死を看取る。そのことで、生きること、行き続けることを考え、みずきは喪失していたなにかを、猫を救うという行動へベクトルを向ける。この衝動ははっきり言って理解できない。だけど橋本作品特有の、心の一部が欠けた人物が動く行動性としては面白い。

猫の避妊をせずにえさを与える猫おばさん。その結果、子猫が生まれると無責任に捨てる猫おばさん。捨てられた子供が、捨てられた子猫の死に触れて、その元凶である親猫たちをまるまる七匹も盗んでやろうと計画する。考え方は子供っぽいが、中々面白いことを考えたものだ。

家族に飢えた少女の痛さがありつつ、少年の少女を思う心に温かさをもらい、猫泥棒に痛快を感じた。しかし、鳥頭の読者には、本書が何を言いたいのかよくわからなかった。だけど、生きていくって素晴らしいことだと思った。猫好きとしては、もう少し猫を大事に扱って欲しかったけど。

TBさせて貰いました。「今日は何読んだ?どうだった??」

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橋本紡
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comments

橋本さんらしいものとか、きらめく欠片は随所に見られるんだけど、総じて読むとわけがわかんないですよね。わたしはいまだによくわかってないんですが……
橋本作品は決して嫌いじゃないんですけど、よく中途半端な終わり方するんでモヤモヤすることが多かったりします。

まみみ:2008/01/04(金) 14:48 | URL | [編集]

まみみさん
わかんないですよね~。
母親が帰ってきてだから何?という感じ。
きらきらした部分はあるんだけど、ちと消化不良でした。

しんちゃん:2008/01/04(金) 19:04 | URL | [編集]

こんばんは。
実はこの作品と「金曜日…」以降橋本さんの物語を読んでいません。
たくさん出ていて、いろんな方のブログで見かけるんですけどね…

なな:2008/01/05(土) 21:10 | URL | [編集]

ななさん、こんばんは。
それはちょっと勿体無いかも。
お薦めしたい作品があるので
この後訪問させてもらいます。

しんちゃん:2008/01/05(土) 22:18 | URL | [編集]

あけましておめでとうございます。
ことしもよろしくお願いします。

しんちゃん、今年も凄いスピードで読んでいるね。
今年もブログを楽しみに読まわせてもらいます。
去年のイチオシの本は何ですか。

モンガ:2008/01/06(日) 12:38 | URL | [編集]

モンガさん、おめでとうございます。
今年もよろしくです。

はい、読んでますねえ。笑えるぐらいに。
うーん、イチオシですか。

思いつく作品は
「スロウハイツの神様」辻村深月
「守護天使」上村裕
「夢をかなえるゾウ」水野敬也
ですかね。

しんちゃん:2008/01/06(日) 13:30 | URL | [編集]

しんちゃん、こんばんは!
橋本さんらしい、といえばらしい作品だったな~と記憶しています。
親はなくとも子は育つ、とは言いますがそれでもやっぱり親は責任を持って産み落とした子をそばに置いて愛しみ育てねば、って思いますね。
なかなか難しいこともありますけど…。
そういう目に見えない、形にできないぼんやりしたものを描くのが上手いな、っていつも思います。

リサ:2008/01/07(月) 00:55 | URL | [編集]

リサさん、こんばんは。
お~、さすがに親目線ですね~。
だけど子供は勝手に育ったように錯覚する。
あれれ、今思えばそういう作品だったのかも。
気付くのが遅かったです(汗)

しんちゃん:2008/01/07(月) 19:35 | URL | [編集]

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