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    2008

01.09

「バックステージ・パス」楡井亜木子

04.jpg

バックステージ・パス / 楡井 亜木子


VOCAL:SHOW、GUITAR:HASHI、BASS:KEISUKE、KEYBORD:ALICE、PIANO、SATOKO、DRUMS:EDDIE、あるバンドのメンバー、それぞれの物語。

「#1音符の香り」
趣味でバンドの写真を撮っている志帆子は、原宿のライブハウスで初めて彼を見た。ギターのハシこと中井裕二。彼はメンバーと目があっても、笑いかけたりはしない。相手が持っているメロディーを取り出し、自分のものと重ね合わせて確認しているような深刻な顔つきを変えない。彼の小さな頭の中は、本当に譜面だけでいっぱいなのかも知れないと志帆子は思う。

「#2妖精の住み処」
シンセサイザーを担当するアリスこと平英晴は、すべてが不安定だった。一年半ほど前、彼はショウに頼みこまれて、一晩の約束でシンセサイザーを弾いた。そして、指に妖精が降りてきた。妖精が大騒ぎしながらキーを捜して飛び跳ねた。こんなすごいステージは初めてだとアリスはバンドに加入した。そんなアリスは、性格の悪い女ばかり好きになってしまう。

「#3もうひとつの鞄」
サトコはバンドでピアノを弾く。バンドに求められているのは、サトコがつくり出す音だ。メンバー全員が、バンドに関して同じだけの権利と責任を、揃いのリュックサックのように背負っている。が、皆は無意識に求めている。サトコが程よく女であることを。揃いのリュックサックとは別に、小さな鞄がサトコの肩にはかけられている。人目を引くカザリがいくつもくっ付いていて、サトコの動きを牽制させたり目立たせたりする鞄だ。

「#4零時間」
エディこと井戸藤裕には、どんな曲にも対応できる正確なリズムマシーンが埋めこまれている。エディは、自分の記憶が時々途切れることがあるのを知っている。さほど長い時間ではないが、気にかけずに済むほど短くもない。医者や家族や友人が病んでいると指摘した場所に、もしもその機械が埋められているとしたら、もうリズムを生み出すことが出来ない。ドラムセットを前に、戸惑って瞬きを繰り返すだけだ。記憶を失うことよりも、エディはそれを恐れていた。

「#5早咲き」
啓介がショウのバンドに参加して、一年が過ぎた。ショウがエディの同級生で、啓介と十二歳違うことを知ったのは、バンドに正式に加入することになった後だった。啓介は人々の持つ目に見えない定規が信じられなかった。長い定規を持つ人々は尊大で説教が好きで臆病で、啓介を含めた短い定規の持ち主は、無鉄砲で狭量で小心だった。長さの違う定規を持つ者は、同じ状況にあっても互いに認め合えないものだった。

「#6棘」
麗には、ショウの神経を磨耗させる存在が感じられる。澱んだ体臭で湿ったライブハウスの空気は、ショウをごりごりと削る無数の棘を含んでいる。身体を動かし、息を吸いこんで声を吐き出すたびに、集まってきた棘はショウを削る。彼の身体は、周囲にびっしりと生えた棘に怯えていることがある。麗は、ショウの痛みを味わっているのかも知れない。彼が痛みに打ちひしがれて提出するものを吸いこんで、甘く温かい水を身体中に巡らせる。

「#7エゴイスト」
匂いも音もない、漠然とした気配だった。やがて、ショウは気づいた。一人の時に背後で膨らむ気配は、跪く巨人の影だった。目も口もない黒紫の巨人は、重さを増しながら強引に関節の向きを変えてショウの行動を支配した。「そうか。そういうことか・・・」ショウは思わず呟いた。影の気配が薄くなり、身体は動きを取り戻した。梅澤祥一はショウとして、、ヴォーカリストとして、リーダーとして、バンドを結成し、事務所を興して何年経っただろうか。もう、限界なのかもしれない。

はー、延々と内容紹介を書いてしまった。つうかこんなに長いのを誰が読むのだろう。自分なら絶対に読まないな。というわけで、ざっと思ったことを書いて終わりにしよう。

お気に入りの人物は、ハシくん。カリスマ・ギタリストで孤高な感じが渋くてかっこいい。エディは自分より若い人妻が気になり、言い寄られて…、というストーリーも面白かった。サトコは一番普通かな。これは安心して読むことが出来た。ショウの物語は、崩壊と思わせながら再生するお話だ。ラストを締めくくるにはこれしかないでしょう。そして作中に、チェルシー・ガールという女ばかりのバンドが出てくる。これは著者のデビュー作「チューリップの誕生日」で、主人公のユウリが所属しているバンドだ。こういうオマケは結構嬉しい。

熱いバンドものではないが、しっかりと一人一人の物語を読ませる作品だった。こういう作品は好きだ。だけど図書館では書庫に保管され、申請しないと手元に届かない。(大阪府立図書館の場合) 楡井さんの本を全部読んでやるぞー!と鼻息の荒い読者であった。

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楡井亜木子
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comments

はじめまして。
私は、楡井さんの「はじまりの空」を一昨日
読んで、すっかり楡井さんのとりこになってしまいました。
楡井さんの作品を私も全作品読んでみたいと
息巻いているところです。
バックステージ・パスも読みたいのですが、
私の市の図書館では保有しておらず、
とっても残念です・・・。
でも、なんとかして、読んでみようと思っています。

しんちゃんさんは、たくさん本を読んでおられるようなので、
もしよければ教えていただきたいのですが、
有川浩さんと、楡井亜木子さんにはまっている私に
薦められる作家さんっていますか??
自分でも探しているのですが、もしお勧めあれば
よかったら教えてください。

けい:2008/01/26(土) 21:03 | URL | [編集]

けいさん、はじめまして。

推測ですが、甘くて、ピュアで、ユーモアがあるものですかね。

有川さんで思いついたのは坂木司さんの「シンデレラ・ティース」です。
あと風野潮さんの「マジカル・ドロップス」や
越谷オサムさんの「階段途中のビッグ・ノイズ」かな。
金城一紀さんのゾンビーズも面白いですね。
「レヴォリューションNo.3」「フライ,ダディ,フライ」「SPEED」の順。

楡井さんでは佐藤多佳子さんの「黄色い目の魚」です。
他には藤野恵美さんの「ハルさん」が面白かったですね。
王道では森絵都さん。

ユーモアでは上村祐さんの「守護天使」に大爆笑しました。

調子にのってたくさんあげすぎたかも♪
けいさんの読書の参考になれば嬉しいです。

しんちゃん:2008/01/27(日) 12:11 | URL | [編集]

ありがとうございます☆

こんなにいっぱい作家さんを教えてもらえて、
とってもうれしいです。

「はじまりの空」と同時に、図書館で
佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」を
借りてきていたので、佐藤さんは名前だけ
知っていたのですが、他の作家さんは、
知らなかったので、楽しみに読もうと思っています。

また、こちらのページにおじゃまさせて
いただこうと思うので、よろしくお願いします。
いい本があったら教えてくださいね。

けい:2008/01/27(日) 22:13 | URL | [編集]

けいさん
いえいえ、どういたしまして。
また気軽に遊びにきてください!

お互いに楽しい読書ができるといいですね♪

しんちゃん:2008/01/28(月) 12:40 | URL | [編集]

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