「さよならワルガキング」笹生陽子
2008年01月10日 (木) | 編集 |
さよならワルガキングさよならワルガキング
(2001/12)
笹生 陽子じびき なおこ

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おかんのさいふに手をつけた。ぬすんだ金は三百円。ワルガキングのトレカのふちは玉虫色にきらきら光って、めっちゃきれい。うまいことやったつもりでいたけど、その日のうちにおかんにばれた。三百円をぬすんだバツに、塾へ行かなきゃならなくなった。まじめにやる気がまるでなしで、心のそこからやさぐれてたら、自習室にとじこめられた。そこで出あったマスク男になつかれた。おまけに弟子にしてくれ、だって。

普通に児童書です。勉強嫌いなやんちゃ坊主の森くんと、生まれながら病弱な少年の橋本くんが出会う。隣に住むワルぶった兄ちゃんに、いろいろと悪いことを吹き込まれる主人公。金持ちなら人間貯金箱にしてしまえ。そうか、その手があったのか。しかしマイペースな橋本くんと一緒にいても、タイミングが上手くつかめずにいる。そこでまた隣の兄ちゃんが悪魔の言葉をささやく。そんなこととは知らない橋本君は、無邪気に太平洋が見たいと言う。二人で海へ向かうが、その途中で橋本くんが発作をおこす。そして主人公は本当の強さとは何かに気付く。というお話です。

子供の頃の男の子って、ワルに憧れるのは普通だと思う。喧嘩の強さに憧れたり、ワルぶった近所の兄ちゃんに憧れたり、もう一つ上をいけば、バイクに興味を持って暴走族に憧れたりする。チャリでコーナーを攻めるぐらいならかわいいものだが、誰かが始めた万引きがきっかけで、お前もやってみろ、万引きも出来ない弱虫か、となるパターンが多いと思う。

本書は児童書なので、そうなる悪事の寸前で、著者の意図でそうならないような展開になっている。大人が読むと豪腕なんだけど、それはしかたがないと思う。だけど、そういう世界もあるとちらっと見せて、ワルにもワルの上下関係があって、ワルってそんなにカッコイイもんじゃない。ワルぶるのはしんどいものだと、わかりやすく描かれている。

ほんとその通りなんだな、これが。一年早く生まれただけで、絶対服従の過酷な世界。すごく理不尽で、アホみたいな世界。これら世界に踏み込まなければ安全というわけではないが、ワルに憧れて、ワルになろうとするとしんどいだけ。先輩から法外なお金を要求される場合もあるし、身体に傷を負う場合もある。でもワルになったら、ごめんなさい、勘弁して下さい、が通じない世界。まったく言葉が通じない無茶が通る世界。

本書は本当の強さが描かれている。喧嘩が強いのが本当の強さじゃない。周りから怖がられるのも強さじゃない。ほんとの強さとは何かを考える読書にピッタリかも。

コメント
この記事へのコメント
おお、笹生陽子さんだ。
おばちゃんのいた本屋では毎年店員お薦め文庫フェアやってて、
みんなで推薦文書いて小冊子までだしてました。
ある年のフェアで一番売れたのが
えへん、
おばちゃんが推薦した
笹生さんの
「 ぼくらのサイテーの夏」
でした。

新刊でませんね。
2008/01/10(Thu) 23:52 | URL  | ナカムラのおばちゃん #RMh.E7kQ[ 編集]
おばちゃん
笹生さんはいいよね〜。
大好きな作家さんです。
マイベストは「きのう、火星に行った。」です。

文庫はどんどん出てますが、新刊は出ませんね。
2008/01/11(Fri) 12:04 | URL  | しんちゃん #-[ 編集]
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