2008年01月22日 (火) | 編集 |
![]() | ロンド・カプリチオーソ (ミステリ・フロンティア 41) (2007/12) 中野 順一 商品詳細を見る |
デビュー作「セカンド・サイト」の続編です。
「タクト…泣いてた。一つだけ約束して。しばらくのあいだ、新宿西口には近寄らないって」バーでピアノ弾きをするタクトは、触れた相手の未来を瞬時に読み取ってしまう、特殊なビジョンという予知能力を持つ恋人の花梨からそう忠告を受けた。だが、単調で何の刺激もない毎日の繰り返し、この泥濘から引っぱり出してもらえるなら、どんな酷い目に遭ってもいい、と刺激なしでは生きていけない性格から敢えて西口に向かったタクトは、そこで一人の女性、トモミと出会った。
それがきっかけなのか、次々と厄介な事件に巻き込まれ始めた。世界的指揮者の父に500万を強請る腹違いの弟かもしれない男からの電話、アキラと共に心を許し合った仲間のコウジが不審な行動、二人組みのチンピラから襲撃を受ける。ヤクザの柳田もなにやら魂胆がありそう。そして突然の友の死。すべての背景に存在するものとは何なのか。花梨のビジョン、アキラの情報力を借りて、行動派のタクトが新宿の街を縦横無尽に駆け回る。
前作よりも数段面白かった。自分は本格ものでもキャラ読みしてしまうアホな読者だが、そんなキャラ読み読者にはピッタリの作品だった。後先考えずに突き進む主人公、彩りを与える花梨、魅力あるアドバイザーのアキラ、謎の女性のトモミ、怪しいヤクザの柳田、そしてゲイのマスター。
ミステリとしては、うーん、どうだろう。読みやすい文章だし、若者らしい淡白さと適度な熱さはある。だけどオチとしてはアンフェアな感じがした。これについては詳しく書くことが出来ないが、盛り上げておいてそんなのありかよ、と思った。もっと納得いく展開が欲しかったというのが正直な感想。
でも読んだことがないけど、石田衣良氏のあのシリーズが好きならハマるかも。今の若者が深く考えずに突っ走る疾走感とでもいうのかな、そんな勢いは楽しめると思う。というか勢いだけで読ませる作品なのかもしれない。
内容紹介で書いたことがすべて解決しなかった。本書のこの終わり方って、続編を指示していると取っていいのかな。少しフラストレーションが溜まった本書だが、続編があるのなら、そちらで埋めて欲しいと思った。あるのかないのかわからないが、続編を含めて次回作に期待したい。
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