2008年01月31日 (木) | 編集 |
![]() | 林檎の木の道 (創元推理文庫 M ひ 3-6) (2007/04) 樋口 有介 商品詳細を見る |
高二の暑い夏休み、広田悦至は以前つき合っていた宮沢由美果が、千葉の御宿の海に身を投げて自殺したと知らせを受けた。事件当日、渋谷から彼女の呼び出しを断っていた悦至。渋谷にいたはずの彼女が、なぜ千葉の海に。だれもが自殺したと納得している由美果の事件を、再会した幼なじみの友崎涼子とともに調べ始めると、由美果の遺留品の中に、封を切っていない下着があったことを知り、彼らは事件が殺人だったと確信する。次第に明らかになる事件の全貌。自分たちの知らなかった由美果の本当の姿。切なくも爽やかな青春ミステリ。
主人公の広田悦至とヒロインの友崎涼子が、二人とも面倒な性格で変わり者。悦至は高校生とは思えないほどスカしていて皮肉屋でもある。涼子はしつこくて怒りっぽくてぶっきらぼうな少女。だけど二人をペアにするとこれが面白い。他作品と性格が被らないように、計算して人物が作られたのだろう。そして脇を固める人物たちも面白い。友達のマツブチくん、祖父さん、祖父さんの彼女の孝子さん、バナナ好きのお袋、お袋の彼氏の笹村さん。みんな個性的だが特にマツブチくん、祖父さんの二人に魅力があった。
柚木シリーズ以外の作品を読むのはこれで二冊目だ。これが前に読んだ「風少女」と、ストーリーの展開がまったく同じ。まず同級生の女の子が死んで、主人公がかわいい女の子と一緒に亡くなった彼女を知る人物たちから話を聞いてまわり、自殺だと思われていた彼女が身近な人物に殺されていたことが明らかになる。それらとともに本当の彼女がどんな人物だったかを知ってゆく。
まったく捻りがない同じストーリー展開だけど、これが面白く読めてしまうからあら不思議。それは主人公がヒロインや他の女の子を見る目線が少しエッチで、異性を意識する描写が瑞々しいからだ。今も昔もかわらない健全な若者らしく、ミニスカートの裾から見えるふとももが気になる。こういう見えそうで見えない焦らしが見事で、ここにチラ見の美学があるのだ。
本書の設定が真夏の暑い日で、とにかく暑そうで彼らの汗が伝わってくるのだが、あいにくと今は冬で寒い。これだけは読む時期を完全に間違えた。だけど夏を演出する小道具や素材などの扱い方が絶妙だった。こういうなに気ない文章や描写が、人物たちに色気を感じさせ、作品をより面白くさせる。そしてその色気に甘酸っぱさがあって、懐かしくもあり淡い気持ちにもなれる。
最後に少しだけもったいなかった点をあげて終わりにする。主人公が住む自宅ビルの屋上は、以前は和風庭園だったのだが、母の意向で現在はバナナ園になっている。そこで黒いデメ金を飼おうと、一度埋まってしまった池をスコップでせっせと掘り返している。その池も復元し、お祭りで黒いデメ金も手に入れた。しかしそこでプツッと切れて終わってしまう。池に二人でデメ金を放流する場面が欲しかった。その描写があれば、もっと夏が完成していたのに、とコタツに足を突っ込みながら思った。
TBさせて貰いました。「今日何読んだ?どうだった??」
この記事へのコメント
これも、面白そう♪
夏にぴったりの本なのね。
今年の夏に借りて読もうかな(^^)
夏にぴったりの本なのね。
今年の夏に借りて読もうかな(^^)
2008/02/01(Fri) 00:08 | URL | まる #-[ 編集]
まるさん
面白かったですよ。冬向きじゃなかったけど。
夏が舞台の本は、やっぱ夏に読まなくちゃ。
とほほ。
面白かったですよ。冬向きじゃなかったけど。
夏が舞台の本は、やっぱ夏に読まなくちゃ。
とほほ。
2008/02/01(Fri) 12:05 | URL | しんちゃん #-[ 編集]
同じパターンというのなら、『雨の匂い』以外はどれもみな似たような話ですが、それでも樋口さんが書くと、会話の部分など主人公と女の子の関係の描写が楽しくて、どんどんひきこまれて読んでしまいます。
ディックさん
そうなんだ。ほとんど同じパターンなのか。
でも面白いので、どんどん読んでいきたいです。
そうなんだ。ほとんど同じパターンなのか。
でも面白いので、どんどん読んでいきたいです。
2008/02/02(Sat) 12:40 | URL | しんちゃん #-[ 編集]
しんちゃんさん
トラックバックとコメントありがとうございました。
実は凉子は好みのタイプではないのですが、それでも、読みながらそのチラリと見えそうな太ももに惹かれたのはぼくも同じです。
しんちゃんのおっしゃるように、この本は夏に読みたいですね。
樋口さんの季節感の描写の巧みさも、本書の読みどころの一つだと思います。
トラックバックとコメントありがとうございました。
実は凉子は好みのタイプではないのですが、それでも、読みながらそのチラリと見えそうな太ももに惹かれたのはぼくも同じです。
しんちゃんのおっしゃるように、この本は夏に読みたいですね。
樋口さんの季節感の描写の巧みさも、本書の読みどころの一つだと思います。
touch3442さん
凉子はしんどい女の子でしたね。
好みじゃないけど太ももはねえ。
ほんと作品内は暑かったです。
知らずにこんな季節に読んじゃいました。
凉子はしんどい女の子でしたね。
好みじゃないけど太ももはねえ。
ほんと作品内は暑かったです。
知らずにこんな季節に読んじゃいました。
2008/02/03(Sun) 12:28 | URL | しんちゃん #-[ 編集]
こんばんわ!
>コタツに足を突っ込みながら
という最後の一文に笑ってしまいました。
そういえばこれ、あつーい夏のお話でしたね。
読んでるとこっちまで暑くなってくるんだけど、池を作っていてながれる汗とか、なんだか気持ちよくなってきます。読んでやった気になる。一緒にすっきり!(笑)
>コタツに足を突っ込みながら
という最後の一文に笑ってしまいました。
そういえばこれ、あつーい夏のお話でしたね。
読んでるとこっちまで暑くなってくるんだけど、池を作っていてながれる汗とか、なんだか気持ちよくなってきます。読んでやった気になる。一緒にすっきり!(笑)
2008/02/07(Thu) 00:23 | URL | マメリ #-[ 編集]
マメリさん、こんにちは。
夏の描写はピカイチに輝いていましたね。
人物たちの汗がこちらに伝わってきました。
それだけに時期ハズレの読書が悔しいです。
夏の描写はピカイチに輝いていましたね。
人物たちの汗がこちらに伝わってきました。
それだけに時期ハズレの読書が悔しいです。
2008/02/07(Thu) 12:48 | URL | しんちゃん #-[ 編集]
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林檎の木の道
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