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    2008

02.02

「夜の朝顔」豊島ミホ

夜の朝顔夜の朝顔
(2006/04)
豊島 ミホ

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なんにもない田舎で暮らす小学生の少女センリ。家族はじいちゃん、ばあちゃん、キンおじさん、お父さん、お母さん、ぜんそく持ちの妹チエミ。そんなセンリの小学生時代を描いた連作短編集。

「入道雲が消えないように」
小学校一年生の夏休み。友達と海などへ遠出をしたいセンリ。だけど、からだが弱いチエミが寂しがるので、いつも我慢させられる。しかしお盆になれば、洸兄たちイチノセキの一家がやって来る。わーい。でも洸兄とはいつまで会えるのやら。ぐすんっ。

「ビニールの下の女の子」
山をひとつ越えた向こうの町で女の子がひとりいなくなった。センリたちと同じ二年生だ。友達の塔子ちゃんが前置きなくこういった。死んじゃったのかなあ。その日の下校途中に竹やぶの中に捨てられたゴミ袋を見つけた。ぞぞ~っ。

「ヒナを落とす」
三年生の新学期の登校途中で、玩具のシノくんが落ちた鳥のヒナを拾った。センリは離任した前の担任の先生の言葉が引っかかる。シノくんの良いところは、やさしい。センリも、やさしい。でも私はやさしくなんかない。センリは逃げ出したかった。卑怯モノ~。

「五月の虫歯」
歯科検診の結果、今年は隣町にできた新しい歯医者に通うことになったセンリ。そして、もう四年生でしょ、終わったら横の公園で遊んでなさい、と置き去りにされた。治療後、公園でアザミという女の子に話しかけられ仲良くなった。そして別れ。えっぐぅっ。

「だって星はめぐるから」
眠りのふちで歌が聞こえる。この歌の歌詞は暗号? 学校では万引きを誇るカツラちゃんと彼女の悪口をいう茜ちゃんたちが大げんか。茜ちゃんがカツラちゃんをシカトするように求めてきたが、センリは勇気をしぼってさからった。えらいっ。

「先生のお気に入り」
バレンタインを前にはしゃぐ茜たち。あげるわけないでしょ、だってセンちゃんだもん、と侮蔑のこもった茜の言葉。その茜が、先生にチョコをあげたいので、みんなは手を引けと紙切れを回してきた。小学校に入って五年で、初めて一人で家に帰るせんり。やる~。

「夜の朝顔」
六年生にもなって寝ぐせを直さないのはお姉ちゃんだけ、と指摘されて学校へ行くと、たしかに自分だけだった。気になって寝ぐせに手を持っていくと、夢の中にでてきた杳一郎に笑われた。好きなんでしょ、櫛で髪をといてくれたチコちゃんに赤面するセンリ。甘~い。

甘酸っぱさがぎゅっと詰まっているのかと思ったが、さすがに豊島さんは一筋縄ではいかない。少女期の不安や痛さ、切なさ、さりげない残酷さがあふれていて、きゅっと身が引き締まる。その典型的な存在が茜ちゃんにあった。低学年の頃から物をはっきり言い、年齢とともにどんどん高慢になって、女のずるさを使い出す。とても早熟な女の子だ。この子の発言や目線が気持ち悪くてざわざわしまくった。子供の頃、みんなの前で大きな声でキモイと叫んでいたあの子が、茜と同じだったと今ならわかる。こういう子って、本人に悪気がないだけにタチが悪い。

本書の主人公の少女は、自分の感情を表現する言葉が足りない。この言葉にならないもどかしい思いや居心地の悪さが、実に巧みに表現されていた。内容紹介の最後に、お遊びで一言加えてみたが、そう声を出してしまいたくなるほど、少女の心理描写が絶妙だった。作品自体も絶品で、閉塞的なコミュニティで、わが身を庇いながらいかにして生きていくかがリアルだった。上手いですね、豊島ミホは。

文章が長くなってしまったので、今日はここまで。とは言っても続きはありませんが。

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豊島ミホ
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comments

こんばんは。
豊島さんの描く主人公ってこういう子が多いですよね。
すごく上手いと思います。

なな:2008/02/03(日) 18:42 | URL | [編集]

あの頃って、楽しいことばっかりじゃなく嫌なことも沢山あったなぁ~と、懐かしく思い出せた一冊でした。
茜ちゃんのような子に振り回されて、嫌だ~と思いながら逆らえなかった私には、センリの勇気が眩しかったです。

エビノート:2008/02/03(日) 20:03 | URL | [編集]

ななさん、こんばんはー。
ほんと豊島さんはこういう子が多いですね。
「ダ・ヴィンチ」に連載していた子供たちも
毎回読みながら上手いなと思ってました。

しんちゃん:2008/02/03(日) 22:09 | URL | [編集]

エビノートさん
茜ちゃんのような子っていたよね。
幸いなことに茜タイプとはノータッチでした。
そっか、振り回されたんだ。大変でしたね。

しんちゃん:2008/02/03(日) 22:13 | URL | [編集]

私も甘酸っぱい話なんだろうなと思いながら読み始めたんですが、やっぱり豊島さん、一筋縄ではいきませんね。
子供なりに感じながらもすっかり忘れていた痛い部分をほじくり返されたような作品でした。でも、この本でぐわっとつかまれた気がします。

june:2008/02/06(水) 21:11 | URL | [編集]

juneさん
一筋縄でいきませんでしたね。やはりか、豊島さんって感じ。
いい子じゃない本心が描かれていて、そこにむむっときました。
そういうイタさが、この作品の良さだと思いました。

しんちゃん:2008/02/07(木) 12:35 | URL | [編集]

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