「リリイの籠」豊島ミホ
2008年02月20日 (水) | 編集 |
リリイの籠リリイの籠
(2007/12/14)
豊島 ミホ

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仙台の女子高を舞台にした7つの連作短編集。

「銀杏泥棒は金色」
美術部に所属する春は、嫌いなものが人よりも多い。そんなある日、県展に出品する絵のモチーフを、自分の好きなものにするように木梨先生に勧められた。好きなもの、好きなもの、好きなもの、と考えるけれど思い浮かばない春。そこに銀杏の枝を折って盗む少女が視界に入ってきた。それが加菜との出会いだった。

「ポニーテール・ドリーム」
講師として学校に勤めだして一年が経ったえみ先生は、自分では気付いていないが、ファッションにはとてつもなく疎かった。そこへ生徒たちの行き過ぎたスカート丈には、先生たちが指導するようにという通達が来た。校則違反の要注意人物である由貴を呼び止めて注意するえみ先生だが、逆に先生の服装はおばさんくさいと説教されてしまった。

「忘れないでね」
不可解な作用で弾かれた輪の外にいる子と組んで、これまで転校というイベントを切り抜けてきた、転校少女の美奈。それが家も落ち着き転校はなくなったのに、これまでのクセで、虚勢を張ってはじゃぐオレンジ頭の真琴に声をかけたが最後、スッポンに噛み付かれたように懐かれてしまった。受験が近づき、真琴の存在が重くて逃げたく思う美奈だが。

「ながれるひめ」
姉の務め先であり、母校である私立校で教育実習をすることになった大学生の藍。まったく心構えがなかった藍は、モタモタしてしまってしょんぼり気味。そこに、ちゃんと先生をしている姉の姿を見て、自分の不甲斐なさにイライラ。しかも、背中を見てきた姉にツラク当ってしまった。学校では他人を装えと言っていたその姉が、昼食時に声をかけてきた。

「いちごとくま」
女の子を信用できない里加は、みんなから愛されている美枝の後ろへ着いてまわるポジションに落ち着くことにした。くまのような体格で、みなからくまっちと呼ばれて愛されている美枝だが、いつも自然体でなんか良いな、と思うようになった里加。その美枝に彼氏ができたことで、彼女が見せ物扱いをされていたことを知ってしまった。

「やさしい人」
落川歩は同級会の幹事をすることになり、案内状の返事の多さにうんざりしていた。そこへ、当時は遠くて近いという微妙な距離があった木田芙見から連絡があった。二人だけが知る一つの思い出を持った二人は会うことになるが、もっと仲良くなりたいと思っていた当時の思いを伝えられないまま、時間が来て別れてしまった。

「ゆうちゃんはレズ」
二年の新木結生はレズ、という噂は知っていた。しかし、明子はその噂の輪に入ることなく、輪の外にいるがゆえに結生へ声をかけるようになった。いつしか、「ゆうちゃん」「明子先輩」と呼び合うようになった二人だが、それが結果なのか、好きです、と生涯で一度目の愛の告白をゆうちゃんからされてしまった。

個人的に好きだったのは、「ポニーテール・ドリーム」「忘れないでね」「ながれるひめ」「いちごとくま」かな、ってほとんどやし。豊島さんの描く人物は、きらきらした表面上だけではなく、生っぽい人の嫌な部分が描かれているので好きだ。上辺の言葉でさらりと話し、実はあいつ嫌い、みたいなチクチクした声に出さない棘がリアルなのだ。それに派手な子にスポットをあてるのではなく、クラスでも地味な子、野暮ったい先生などが、一瞬でパッと華咲く瞬間が美しい。それとは逆に、自分がと思っていた人物が、一気に立場が逆になって落ちしまうお話もある。人付き合いとは相手があって成り立つもの。そこら辺の描写がすごく長けていると、いつも読むたびに感心してしまうのである。

コメント
この記事へのコメント
私は「やさしい人」が一番のお気に入りでした。まあ、全部好きだけど(笑
しんちゃんはどうしてタイトルが『リリイの籠』なのかわかりましたか?私は全然わかんない。。。
2008/02/20(Wed) 17:09 | URL  | あさと #-[ 編集]
>クラスでも地味な子、野暮ったい先生などが、一瞬でパッと華咲く瞬間が美しい
に、うんうんと頷いてしまいました。
豊島さんの作品のそんなところに惹かれちゃいます。
豊島さんの『檸檬のころ』も、高校を舞台にした連作短編集です。もし未読ならば、ぜひ。おススメです♪
2008/02/20(Wed) 20:48 | URL  | エビノート #-[ 編集]
あさとさん
それ、年配者の意見っぽいかも。過去にぐっときだしたら…。
自分はそこにまだ反応しませんでした。若さを強調か(汗)
タイトルの意味はよくわからないですが、女子高生はイメージできますな。
2008/02/20(Wed) 22:43 | URL  | しんちゃん #Zk/lHUeI[ 編集]
エビノートさん
同じような感想を書いていたでしょ。
「檸檬のころ」は積んでいます。というか、未読は全て積読本です。
買って安心は卒業したい。いや、卒業せねば。
2008/02/20(Wed) 22:48 | URL  | しんちゃん #-[ 編集]
表紙もタイトルも(タイトルの意味はわからないんですけど、いかにもって感じがします)中身も、全部女の子ー!って感じで、おもしろかったです。
そして、豊島さんは地味な人を描くの上手いですよね。「檸檬の頃」も地味な人にスポットを当ててますが、大好きです。もしやまだ積んでたりします??
2008/07/14(Mon) 23:11 | URL  | june #-[ 編集]
juneさん
ギクッ!!その一言は地雷でした(汗)
でも読もうと準備をしていたところです。
なんかいいわけ臭いけどマジで。
地味な人は、最近エッセイを読んで納得できました。
2008/07/15(Tue) 11:50 | URL  | しんちゃん #-[ 編集]
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