2008
![]() | ナイチンゲールの沈黙 (2006/10/06) 海堂 尊 商品詳細を見る |
東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に発生する癌―網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は、子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に、患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。《本の折り返しより》
最近内容紹介をよくサボっているが、まあ気にしないで。この作品に関しては言いたいことがたんとある。しかし、それらすべてを書けば悪口だらけになってしまう。それがみっともないことだと思っているし、ここは褒めるブログなので、趣旨が違ってしまうから、まずは順当に褒めてみる。
さて本書で良かった点だが、東城大学医学部開闢以来の横着者である猫田看護師長は外せない。千里眼の異名を持ち、彼女の老獪な策士ぶりから目が離せないのだ。そしてレギュラーである田口と影のドン藤原看護師や、同期でジェネラルの異名を持つ速水部長や、MRI研究分野では第一人者である島津とのやり取り、もちろん白鳥調査官とのアクティブな会話も楽しめる。今回はそれらにプラスアルファで、入院中の子供たちがからんでくるのだが、彼らの会話が愛おしかった。5歳のアツシくんが、熱中している特撮ヒーローのキャラについて熱く語るのだが、かわいいのなんの。それにカエル宇宙人(ケロロ?)の軍人口調を真似た話し方が、もうめちゃめちゃかわいーいのだ。それに自分の死を受け止めた16歳の由紀ちゃんなんてもう言葉が出なくなる。
もう一つ良い点は、短い章割りで読者を飽きさせないところ。場面はころころ変わるのだが、その都度、本館1F・不定愁訴外来やオレンジ新棟2F・小児科病棟などと、場面を親切に教えてくれている。だから、小児科病棟ならあの人たちが出るのだな、と人物が多くても混乱することはなかった。でもこれはシリーズ全作にも当てはまるのだが。
あとどうしても触れずにいられないのが、残念だった点。それは白鳥の存在が霞んでしまうキャラ萌え二号の登場である。デジタル・ハウンドドッグこと加納警視正のキャラは、どう考えても読者受けを狙った不必要なものだと思えてしまった。それに歌で映像を見せてしまうという非現実的な設定もナンセンスだし、コロンボもどきの探偵と犯人の対決はしょぼいし、相変わらず拙いミステリのできなどと、ちょいっとマイナスな部分もあった。
でもまあ読みやすさはそのままだし、人物の派手さも好みだし、終始イライラさせた女医にも鉄槌が下ったし、医療現場のあれこれも知ることができたし、なにより読後感が良かった。なんやかんや書いたけど、水色も面白く読むことができた。よーし、次はきらきらの青色だー。
補足。赤色も黒色も手に入れたどー。
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