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    2008

02.22

「風に顔をあげて」平安寿子

風に顔をあげて風に顔をあげて
(2007/12)
平 安寿子

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二十五なら、女の子でなぜ悪いと言い張れる。でも、三十で女の子はまずいよなあ。主人公は二十五歳フリーターの風美。バイトの数はこなした。けれど、それが自分の中でどんな力に変換されているのか、不明なのだ。暗い先行きをどうするか、何も思いつかなくて途方に暮れているくせに、「ま、いーか」で見て見ぬふりをしている。彼氏の英一はボクサーの卵。なのに素人のパンチを食らって自信喪失。突然部屋に転がりこんできた弟の家出理由は、母にホモだとばれたから。父に逃げられた母は、弟の進路だけは自分の思い通りにしたいと子離れできず。サラリーマンの友達小池さんは、部長への昇進が原因でぐったり気味。他人の心配してるフリして、本当は、自分のことが一番心配だった。姉弟のままならない日常を描いた成長物語。

この本すげえ面白~い。そして好きだーー!大人の小池さんは、若いうちはそれでいいと言うが、このままではいられない。しかしどうすればいいか分からない。何をしたいのかもまったくない。だけどこのまま三十になるのはもっと嫌。けれど今が楽なのでそのまま流されてしまう。こういうダメな人には妙に共感できてしまう。そこに、輝いていたはずの彼氏が実はへたれのボーヤだとわかり、ホモをカミングアウトした弟の先行きや、自分勝手な母の問題がからんできて、ストーリーはより膨らんでいく。

弟がホモだと知った姉のあたふたぶりがすごく面白い。お互いに出方を探すようなやり取りから始まり、何か着たいのがあったら貸してあげるよ、という言葉をぐっと飲み込み、弟を理解したい応援したいと思う一方で、ホモへの偏見がある。自分の身の周りにはそういう人がいない。ひょっとしてあの人は、でも怖くて確かめられない、という人もいない。だから無責任に面白がれるのだが、実際のところはどうなのだろう。やっぱ笑ってはいられないだろうし、理解するまでの葛藤は大変なのだろうか。こればっかりは経験値がないのでよくわからない。

そして脇を固める人物たちにすごく魅力があった。ゲイバー・マスターの藤本さん。ミシン一筋三十年以上の三益さん、オーガニック惣菜の屋台をする林さんとパートナーのアッコさん。彼ら素敵な人たちと出会うことで、姉弟は前向きに頑張って生きていこうとなっていくのだ。社会に出て一番大切なのは、どれだけ素敵な人たちと出会えるか、ということかもしれない。尊敬や信頼はもちろんだが、自分の向上心を高めてくれる存在を得ることができるか。これら出会いは年をとってからでも変わらないと思う。気をおけずに付き合える人との出会いには、まったく年齢が関係ないからだ。ほんと人との出会いは大事にしたいものだ。

読後感は最高に清々しい。そしてタイトルの意味も、なるほどなあと腑に落ちる。この作品は今年のマイベストに入るだろう一冊だ。ほんとに気持ち良い作品で、おもわずにっこり。イチオシのお薦めです。


TBさせてもらいました。「今日何読んだ?どうだった??」

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平安寿子
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comments

脇役陣がとてもよかったですね。
あんな人たちに出会えたことが、風実の宝ですね。

ふらっと:2008/02/22(金) 18:02 | URL | [編集]

こんばんは。しんちゃん。
斬新さには、少々欠けた気がしましたが、平さんらしい描き方だなーっと思いながら読みました。
共感できましたよね。

ゆう:2008/02/22(金) 19:32 | URL | [編集]

ふらっとさん
そうそう、脇の人たちが温かかったです。
あんな優しい人たちと出会いたいなー。

しんちゃん:2008/02/22(金) 19:43 | URL | [編集]

ゆうさん、こんばんは。
こういうダメな人たちの物語は大好きです。
妙に共感してしまって人ごととは思えなくなります。

しんちゃん:2008/02/22(金) 19:46 | URL | [編集]

こんばんは。。

しんちゃんさんの感想を読んでいるだけで
とっても読みたくなりました!
近いうちに読んで感想を書こうと思います。

平安寿子さんの本は登場人物のキャラクターが
素敵ですよね☆

acco:2008/02/22(金) 19:56 | URL | [編集]

こんばんは
平さん大好きです。
いつも小難しい小賢しい小説を書かはらへんところが
おばちゃんのお気に入りです。

ナカムラのおばちゃん:2008/02/22(金) 22:34 | URL | [編集]

こんばんは。
>社会に出て一番大切なのは、どれだけ素敵な人たちと出会えるか、ということかもしれない
脇を固める人たちが魅力的でしたね。
しんちゃんのレビューになるほどなぁと頷いてしまいました。
「本を…」のしんちゃんの写真、この本の挿画になってましたね。

なな:2008/02/22(金) 23:37 | URL | [編集]

accoさん、こんにちは。
すごく面白く読めた作品でした。ぜひぜひ。
accoさんにも気に入ってもらえたらいいな。

しんちゃん:2008/02/23(土) 11:54 | URL | [編集]

ナカムラのおばちゃん、こんにちは。
平さんはちょっとした悩みをさっらっと描きますよね。
そこが上手いなと感心しながらも、共感 しちゃうとこです。
いいよねー、平さん。

しんちゃん:2008/02/23(土) 11:58 | URL | [編集]

ななさん、こんにちは。
いやー、思ったことを書いただけっすよ。
素敵な表紙なので、あっちで使うことにしました。
これに気付くなんて、ななさん鋭い!

しんちゃん:2008/02/23(土) 12:03 | URL | [編集]

こんにちは。
悩む風実の姿がリアルでした。
藤本さんや三益さんなど魅力ある人たちと出会うことで刺激を受けて成長していく姿がさわやかでしたね。
誰かと出会うって素敵なことですね。


mint:2008/02/25(月) 09:00 | URL | [編集]

SNSの写真が変わっているなぁと思っていたらこの本だったのですね!平さんってずっと気になっている作家さんなのに読めてなくて・・・(どこかで平さんは、賞と縁がなくてもったいないと評されているのを読んで気になってました)しんちゃんの感想を読んでいたらすごく読みたくなりました。探してこようと思います♪

板栗香:2008/02/25(月) 10:40 | URL | [編集]

mintさん、こんにちは。
すごく素敵な出会いばかりでしたね。
それに未来へ一歩踏み出す姿が眩しかったです。
いやー、いい本と出会えたな。うん。

しんちゃん:2008/02/25(月) 11:59 | URL | [編集]

板栗香さん
内容も表紙も素敵なので、ちょいと拝借しちゃいました。
アン・タイラーをリスペクトしてるそうですよ。
板栗香さんもぜひぜひ!

しんちゃん:2008/02/25(月) 12:04 | URL | [編集]

しんちゃんのストライクゾーンどまんなかだったんですね^^
確かに自分の妹が本当はレズビアンだってことになったらとても動揺しそうです。他人ならそういう生き方もありでしょう~なんてあっさり(でもないけど)受け入れられそうなのに。

しんちゃんのいう
>社会に出て一番大切なのは、どれだけ素敵な人たちと出会えるか、ということかもしれない。

ってのに激しく同感です!

まみみ:2008/03/05(水) 19:08 | URL | [編集]

まみみさん
ずばんっと直球ド真ん中でした。
身内のカミングアウトはおろろですよ。
主人公の葛藤もなんかわかるなー。

このようなステキな出会いがいっぱいあるといいですね。

しんちゃん:2008/03/06(木) 12:11 | URL | [編集]

これは本当に良い作品でしたね~。
『人間として、個人として、顔をあげて生きる』という言葉は、
座右の銘にしたいくらい、グッときてしまいました。

エビノート:2008/04/19(土) 22:52 | URL | [編集]

エビノートさん
これはほんとに良かったですねー。
作品の内容も表紙もタイトルも素晴らしいと思いました。
ああー、いいなー、これ欲しいなー。文庫化までガマンだけど。

しんちゃん:2008/04/20(日) 12:40 | URL | [編集]

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