2008
![]() | 先生と僕 (2007/12) 坂木 司 商品詳細を見る |
伊藤二葉、十八歳。人が殺される小説は読めない、極度のこわがり屋。大学に入学して最初に出来た友人山田から、推理小説研究会へ誘われ、ついうなずいてしまった。そんな四月の夕暮れ。公演のベンチに腰掛けた僕は、やはりこの類の小説は無理だ、とため息をついて本を閉じた。そこへ少年がアルバイトをしないかと声をかけてきた。それが僕と先生の、運命の出会いだった。
瀬川隼人、十三歳。ただいま家庭教師募集中。ぼくの母さんが、中学に上がったらすぐに塾に通うか家庭教師をつけるか二択を迫ってきた。勉強を教えてもらう気はない。結構勉強ができるので、そんな時間があったら好きな本を読んでいたい。そこで家庭教師のふりをする秘密の契約を、公園で見かけた大学生に持ちかけた。
隼人がミステリマニアだったので、一時間は勉強、残りの一時間はミステリを教えてもらう、という内容で二人の話し合いは決まった。そのミステリが大好きな隼人は、身近で起こる小さな事件に首を突っ込みたがる。そこで二葉の持つ能力、視界を写真に撮るみたいにして記憶できる、というのを生かして次々に謎を解いてゆく。
古典に近い坂木風の連作短編ミステリかな。作品の中にミステリ小説がたくさん出てくるのだが、翻訳ものが多くて未読なものばかりだった。唯一読んでいたのが「ホームズ」だけ。でもこういうので知ると読みたくなってしまうから不思議。でもカタカナが苦手なんだけど。
内容は少しあっさり気味かな。二人が首を突っ込む事件を簡単に書いておきまする。
書店のギャル系雑誌に携帯番号と援助交際希望の付箋が貼られていた。...「先生と僕」
火災のあったビルから消えたと思しき女の子二人。...「消えた歌声」
区民プールで見かけた暗号のようなメモを取る区役所の人。...「逃げ水のいるプール」
ギャラリーで個展を開いている商業っぽさのない女性。...「額縁の裏」
固有名詞がなく値段だけ表示された怪しいペットショップのサイト。...「見えない盗品」
物事を疑いすぎて、しかも悪に精通しすぎの中学生。しかも極端な二面性があって、かなり冷徹な側面を見せる。美少年スマイルで女性をたぶらかすって、タチが悪すぎでないかい。一方の大学生は、極度のビビリ症で恐怖に対する妄想癖がすごいのなんの。そんな二人が、おまえら他に友達はおらんのかい、とツッコミたくなるぐらい、中学生と大学生のコンビが一緒に街へ出かける。そこの部分が出来すぎのように思えたのだが、作品自体は嫌いじゃない。慣れてみるとこれが案外いけるのだが、「額縁の裏」の強引さだけは好きになれなかった。キャラに少し難ありってとこかな。
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