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    2008

02.29

「ユングフラウ」芦原すなお

ユングフラウユングフラウ
(2008/01)
芦原 すなお

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学生時代からつづく恋人の優太との距離を感じ始めた編集者の沢井翠、26歳。そんな中、文芸誌から女性誌への出向を命じられる。新たに担当となったエッセイストの厚木には言い寄られ、前から担当の小説家の梨原先生には珍妙な相談を受け、カメラマンの岩下からも言い寄られ、恋人の優太には友達の真美と浮気され、男ってなんで自分勝手なんだと憤慨し、とまどいつつも、仕事に、恋に、自分なりの生き方を模索していく。

まず「ユングフラウ」という聞きなれない名詞だが、アルプス山脈の高峰の名称で、若い女性の意味もあるとのこと。それらを踏まえて表紙のイラストを見てみると、山脈に見えて、実は裸の女性がうつ伏せになっている姿に気付く。こういう凝り方は好きだ。

出版社に勤め出して初めてもらったボーナスで大学時代の友人と旅行して、陽光を受けて銀色に輝くユングフラウの頂を見上げて涙を流し、感動した翠。その時に撮ったユングフラウの写真をパネルにして部屋に飾り、あの感動を糧に日々を送る。時にイライラ、時にくよくよ、そしてイライラ、またもやイライラと、えーい、テメエは情緒不安定か、それとも大人になりきれない女子高生か、とこちらまでイライラする部分はあるが、それ以外は芦原節にぷぷっと笑えてしまう。主人公の脳内妄想にすごくユーモアがあって、これよ、これを期待していたのよ、とテンションが上がるのだ。

主人公の翠が持つ自分勝手な考え方や、すぐに抱かれてしまう尻軽さに、共感できる読者は少ないだろう。それに、恋人の優太、友達の真美、エッセイストの厚木、同僚のさよりと、身勝手で超個性的な人物がたんと登場するので、拒否反応が出る読者がいるかもしれない。しかし、こういう心持ちで読んでみてはどうだろうか。ダメな人は何をしてもダメだな、他人の振り見て我が振り直せではないが、エゴの強い喜劇を観るような大らかな気持ちで読む。そして翠が作中で漏らす、どいつもこいつも、……そして、わたしも……。という言葉の意味そのまま、なんて。

作中に出てくる作家の梨原先生って、自虐した芦原先生本人がモデルのように思えた。この梨原先生が本文の中でこう語っている。若い女性が主人公の作品を書きたいが、そういう女性が身近にいない。だからつき合いもない。だから何を考えているのかさっぱりわからない。しかし著者の芦原先生は、本書で若い女性を主人公に書きあげている。苦労したってことかしら。こういったちょいとしたユーモア部分にも、ぐふふと笑いがこみ上げてくる。そして本書のラストでは…。これだけは言えないか。芦原先生、いい役をあてすぎ。でもこんなのは大好きだ。だから梨原先生のファンになってしまい、翠とのやり取りが出てくるたびに期待して、そして爆笑してしまった。

そういえば、「ミミズクとオリーブ」の作家先生も、芦原先生がモデルだと思ったのだが。またどこかで自虐した芦原先生の影が登場してくれることを期待しつつ、満足してぱたりと本を閉じることが出来ました。面白かったです。

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芦原すなお
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-:2012/05/25(金) 16:55 | | [編集]

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