2008年03月07日 (金) | 編集 |
![]() | ほんじょの鉛筆日和。 (新潮文庫 (ほ-14-2)) (2006/06) 本上 まなみ 商品詳細を見る |
どんよりの曇り、じとじとの雨降り、それがほんじょの鉛筆日和、原稿がはかどる日です。ぴかぴかのお天気の日に見つけた大切なものや、とっておきの話を、しこしこ鉛筆で書きとめます。ずっと使っている水筒のこと、ちょっと迫力のトリガラ相手に冷静にまじめに極上スープを作った経験談、大決心の末おとなのサイフを買ったその後で……心がほんわかあったかくなる素敵なエッセイ集。《背表紙より》
本上まなみさんのエッセイを読むのはこれで二冊目。さて、みなさんは彼女の肩書きを思うとき、頭に何が浮かびますか?? 女優であったり、モデルであったり、タレントであったり、トップランナーの人であったり…、そしてエッセイストであったり。このエッセイスト本上まなみが、中々侮れないのをご存知かな。ぽわん、のほほん、とした人柄や印象を与える彼女ですが、文章もそのままで、えんぴつでこりこり書く、イスにくたんと腰掛ける、などという擬音を多く使い、へもい、へもへもという、イケてないんだけどにくめないことに対する独自の表現で道化てみたり、それが彼女の絶妙な味になっているのだ。これをタレント本と判断して、見向きをしないのはもったいないのである。
そして彼女の感性に、なるほどと感心してしまうあれこれ。例えばで、本文から引用してみると、「サイフってその役目を終えると死んじゃうよね。中身を出した途端に『死体』になる。角は擦り切れ色は剥げ、ぶよんぶよんに伸びてゆがんで、やせ細って。でも存在感がありすぎて、ただのゴミにはできないんだよね、どうしても」という文章に、そうそう、くたくたで本当に死体みたい、と彼女の言葉にはっとしたりする。
トリガラや寄生虫とのギャーと叫びたくなる格闘あり、キャンギャル時代のこれは変というお話あり、初めてのひとり暮らしのわくわくや、料理にまつわるあれこれの日常などに共感し、店先につながれているルスバンイヌを見かけると近付き、道端にいるネコを発見するやおびき寄せ、温度計が二十三度以下なると、いつものTシャツとラクズボンにプラスしてフリーズを着る。コットン素材のゆるゆる靴下をはく。大量に保管された紙袋に、なかなか捨てられないのよ、トホホと嘆く、素の本上まなみさん。彼女のなに気ない感覚や感性にイヤシをもらい、彼女のかざらない日常にステキと憧れる。
本上まなみの、ゆるめで、のんびりは、やはり侮れないのである。
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