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    2008

03.11

「乱暴と待機」本谷有希子

乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス)乱暴と待機 (ダ・ヴィンチブックス)
(2008/02/27)
本谷有希子

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古ぼけたモスグリーンの絨毯に妙にしっくりきているちゃぶ台。それと最小限の家具。砂地の壁には大きな月捲りのカレンダー。異様な存在感をひときわ強く放つ鉄製の二段ベッド。四年近くもの間、六畳間ひとつの古く陰気な借家で同居している三十歳間近の“兄”こと英則と、“妹”、奈々瀬、二十五歳。奈々瀬は上下灰色のくたびれたスェットに丸くて大きなめがねというさえない姿で家に籠もり、「あの日」から笑顔を見せなくなった英則のために日々“笑い”のネタを考えている。保健所で犬の殺処分の仕事をしている英則は、ある日、天井板の一角に隙間を発見したのをきっかけに、天井裏に身を潜めてはこぼれる灯りから、妹の一挙手一投足を覗き続ける。

原因を思い出せないのに復讐を考える英則、お兄ちゃんから復讐されるのを待ち続ける奈々瀬。体に触れてはいけない、もちろんセックスもない、疑うこともない、気づかれていないふりをする、恨む側と恨まれる側という関係も崩してはならない、それら暗黙の決まり事をお互いに守り、他人から見れば異質な同居生活を過ごしていた。そこにイレギュラーな人物が介入してくる。英則の職場の同僚で、なんの罪もない犬を殺しまくる日々に、悪夢を見続けている番上。番上は二人の生活に興味を持ち、彼女であり二人をよく知るあずさにも言い付けて、あの手この手で二人の秘密を聞き出そうと近づく。

無表情で語ることのない傍観者である英則。人に嫌われないように、おどおどびくびくと挙動不審な萌え系の奈々瀬。いらぬ好奇心を持つ、軽薄で馬鹿だが憎めない番上。高慢で自分勝手な考えを持つが、好きな男の言う事は聞いてしまうあずさ。嫌われる事を恐れて訪問を断れない奈々瀬によって、野次馬の二人を引き寄せることになり、「兄妹」二人の世界は少しずつ変容していく。愛情関係よりもずっとずっと確実なつながりを祈るように求め続ける、男と女の物語。

いつもより多めに内容紹介を書いたが、その理由はネタバレなしで感想を書く自信がないから。ここからネタバレありで書きます。ご注意を。

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本谷さんが知恵を絞った精神的なSMの世界。実は家が隣同士だった仲の良い幼なじみという英則と奈々瀬。ある事故がきっかけで、男は右足の神経を失った。二人はニセのお兄ちゃん、ニセの妹を演じる。お互いに嘘だということを触れずに。

その男は、理由が思い出せないが復讐したいと思い続ける。リンゴ、いる?の言葉に、わざとじらし、いらないと返す。今日勉強したお笑いを披露させ、駄目だと突き放す。そして男なら誰もが夢想する変態的願望。それは覗き。その理性のリミッターを外した男は、天井裏に潜み、日々、妹の行動を観察する。そして妹が同僚に迫られ、人に嫌われたくないから頼まれたら断れない、という性格の弱みを突かれ、受け入れてしまった男女の行為を、天井裏から出ることなく見続ける。

一方の女は、私のための壮絶な復讐をお兄ちゃんが考えてくれるまで、ずっと待ち続けている。家を飛び出すことなく、家事をこなし、献身的に接し、おどおどしながらもお兄ちゃんの要望に答えようとする。そして覗かれているのを知ることは絶対あってはいけない。でもお兄ちゃんによく見てもらえるように、二段ベッドの上に馬鹿な男を誘い、体を開く。

そんな二人だけの世界に薄々気づいたもうひとりの女は、関わりたくない、こいつらはおかしい、と恋人に訴える。だが、くたびれたスェットで隠していた美貌に気づいたもうもうひとりの男は、遊んでいるつもりが、実はお兄ちゃんに見せるためだけに利用されている。そんな歪な精神的なSMの世界が、これでもか、というぐらい繰り広げられる。

そんな少し冷めた視線からのエロにぐっときた。この歪んだエロを、面白いと思ったのは危ないことなのだろうか。読んでいると、不可解な動機づけや変態ちっくな思考などは、どうでも良くなっていく。これは本谷有希子の術中に、どっぷりはまったということだろう。そして妹役の女が、萌え系美少女というところがポイント高かった。本谷風ラノベとでも言うのかな。その萌え系美少女の行動からもずっと目が離せなかった。

どうにも嗜好を暴露しているようで書きにくい。こんなヘキがないことだけは理解して欲しいものだ。本書は本谷有希子によるブラックで濃厚な自己愛を描いた作品だ。個人的には大好きな作品だが、好みは別れるかも。

本谷有希子
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comments

私もそういう嗜好はありませんが(わざわざ書くと、いいわけっぽくてやだな 笑)、おもしろかったですよ。
結局私も、英則と一緒に天井から覗かされてたのかななんて思いました。

june:2008/05/06(火) 01:32 | URL | [編集]

juneさん
そう(笑)、いいわけっぽくなるけど、一応書いておかなくちゃねえ。
萌えキャラの奈々瀬が実は…、というところがミソでしたね。

しんちゃん:2008/05/06(火) 12:38 | URL | [編集]

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-:2010/10/15(金) 00:33 | | [編集]

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