2008年03月15日 (土) | 編集 |
![]() | セ・シ・ボン (2008/01) 平 安寿子 商品詳細を見る |
笑う留学物語。生き迷っていた若いタイコが、留学先のパリで出会った、風変わりな人物、おかしな出来事。笑って、あきれて、やがてしみじみとする、調子っぱずれの留学物語。
《出版社より》
広告会社に就職したのはいいが、要求されることができない無能さに気付かされて、悄然と退職。心を入れ替えて、普通のOLに鞍替えしたが、二年で飽きた。結婚願望は、全然ない。したいことがない。できそうなことも、ない。でも、フランス語はちょっとだけ、できた。一言で言えば、見栄。プラス、輝ける将来を約束する何かに遭遇するのではという根拠のない期待。二十六歳のタイコはパリでホームステイを始めた。
「大きな欠点のある男」
ホームステイでお世話になるマンソー家のレナート、四十二歳。彼女が語る単身赴任中の夫フィリップのこと。出会いから馴れ初め、結婚までの過程に、女の黄金時代は三十代と人生の教訓まで熱弁。でも結局はお惚気なのかも。
「人生はトラブルとアクシデントで出来ている」
語学学校でクラスメイトになったアメリカン・ガールのプリシラ、三十二歳。彼女はキャリアウーマンで頑張り屋。そして人妻なのに性は自由奔放。そっちまで頑張らなくても、と情の深さにヒイテしまった。これがアメリカンなのか。いや偏見か。
「典型的な英国男」
どこか取り澄ました雰囲気のある、親しみにくい下宿メイトのグラハム、三十六歳。イギリス人らしい傲慢さで人を見下す高慢チキ。まったく打ち解けないのだが、食べられないものが一致する場面は微笑ましかった。
「根性曲がりのブルーアイズ」
語学留学と称して外国に行き、遊んでばかりいるアホンダラのバルゲ、二十二歳。世間知らずのノルウェー人で、他人を攻撃的に揶揄する。一部の人にはウケが良いが、主人公と同じくうんざりなヤツ。殴ってやりたいと思う反面、憎めなさもある。
「坊やなんて言うな!」
生意気な青二才だが、どこか惹かれるドイツ人のヘルマン、二十歳。文学的で頭がよく、彼の本質がわかってしまえばかわいらしいヤツ。ラストで彼に仕返しをするタイコににやり笑い。意外とタイコも人が悪いな。
「帰れない国は美しく」
祖国を離れて八年になるイラン人のアーマッド、三十三歳。イスラム革命に揺れる当時の世界だが、彼の愛国心はまったく揺れない。天性のモテぶりはやっかむところが、ちょいとカッコいい大人でもある。
「謎の日本人」
何もかもがうさんくさい日本人のヤスコ、年齢不詳。皇室に連なる家系で、結婚が嫌で外国を転々と逃げ回っているという。ばればれの嘘を平気でつき、疲れるし友達になりたくない女。しかし、こういうタイプの人間はどこにでもいる。
「典型的な英国男と旅すれば」
ホストのマンソー夫婦が旅行に出かけることになり、二人の下宿人は、ベルギーのブリュッセルにあるアパルトマンまでドライブすることになった。プライドの高いグラハムと方向音痴のヤスコ、貞淑な大和撫子のヤスコとホモセクシャルのイギリス人の、噛み合わないやり取りが笑いを誘う。
「アンブラッセ!アンブラッセ!!アンブラッセ!!!」
ユーロセンター三ヶ月コース、最終の日。フランス式別れの挨拶、アンブラッセ大会が開催。軽く抱き合って、頬に空気のキスをする。タイコの大和撫子ぶりがかわいらしく愛おしい。彼女はそのとき何を思うのか。
「想い出はセ・シ・ボン」
その後日談と、パリをどう思っているのかを綴ったエピローグ。
エッセイは生の声がストレートに伝わるので、感情の押しつけが強すぎて苦手なのだが、本書はジャンルでいえば私小説。だから主人公のタイコと共に、なにコイツ、やっぱそう思うか、それはヒクよね、おまえはガキか、などと共感しまくりで楽しむことが出来た。それに文章が読みやすく、国によっての考え方の違いや、個性ある人物たちの良いところ悪いところに、適度な感情の運動をすることができた。
日本人が優れているとは思わないし、劣っているとも思わない。でも、この作品を読むと、そんなに捨てたものじゃないと思えてくる。しょせんは個人のモラルかとも思う。何が正しくて何がいけないことかは人それぞれの価値観だが、タイコさんとはお友達になれそう、いや、なれると感じた。
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セ・シ・ボン
平 安寿子
筑摩書房
1979年
生き迷っていたわたしは
一言で言えば見栄で
三ヶ月間パリに語学留学した。
下宿先は19区にあるマンソー家。
ドイツ人でフリーで翻訳と通訳の仕事をしているレナートと
一つ年下のフランス人の夫フィリップ...
2008/03/15(Sat) 23:07:41 | ナカムラのおばちゃんの読んだん
セ・シ・ボン
平 安寿子
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