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    2008

03.16

「オーデュボンの祈り」伊坂幸太郎

オーデュボンの祈り (新潮文庫)オーデュボンの祈り (新潮文庫)
(2003/11)
伊坂 幸太郎

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コンビニ強盗にあっさり失敗した伊藤は、気が狂った警察官の城山に逮捕されてボコられるが、乗っていたパトカーがスピンして、止まった隙になんとか逃げ出した。その後、伊藤は気が付くと見知らぬ島にいた。荻島。仙台の先の牡鹿半島を、ずっと南下したところに位置する、外界とは隔絶した誰も知らない小さな島。本当の孤島らしい。その荻島には、妙な人間ばかりが住んでいた。

島の案内人である日比野、反対のことしか言わない変人画家の園山、唯一島と外を行き来する熊のような轟、地面に横たわり心臓の音を聞く若葉という少女、足に障害を持った小柄な田中、太りすぎて動けなくなった市場のウサギさん、伊藤と同じく外から来たが嫌われ者の曽根川、疑り深いが役立たずな警察官の小山田、郵便局員の草薙青年と奥さんの百合、この島のルールとして人を撃つことを許された桜、人語をしゃべり未来を知っているカカシの優午。

翌朝、伊藤が目を覚ますと、島の状況は一転していた。カカシの優午が殺されたのだ。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を予測できたカカシは、なぜ自分の死を阻止できなかったのか。生前のカカシに勧められた、元彼女の静香に絵葉書を出し続けることによる作用とは。そして、昔から島に言い伝えられている言葉、「ここには大事なものが、はじめから、消えている。だから誰もがからっぽだ。島の外から来た奴が、欠けているものを置いていく」という、言葉の意味するものとは、いったい何なのか。

ローカル・ルールに縛られたお伽の国。そこに紛れ込んだ主人公が、あっちこっちと島中を行ったり来たりして、奇人変人を訪ね歩く。ただそれだけのお話なのだが、これが読ませるのだ。個性的な人物たちのエピソードあり、殺されたカカシの謎あり、島の言い伝えあり、殺害される人物もあり、極悪非道な城山の動きあり、静香に迫る危機あり、といろんなピースが落ちている。主人公がそれらをこつこつ拾って、島の外部でもいろいろあって、それぞれの人物に割り当てられた役割が一つになったとき、この孤島である荻島に、ある奇跡が起こる。

今回は再読なので、結末を知りつつ読んだ。すると中盤あたりで、伊藤がさらっと答えた言葉が、この島に欠けているものの正解だったりすることに気付いた。未読の方はページ数を忘れて頂きたい。既読の方で文庫本をお持ちの方はページを捲って欲しい。文庫版214ページの12行目。278ページの7行目。複線探しの再読はたまにしてみるが、まさか答えが記されているとは思わなかった。恐るべし、伊坂幸太郎の茶目っ気。

再読でも充分に楽しめたし、再読でしか見つけることが出来ない楽しみも味わえた。たまには再読も悪くない。特にミステリでは、作者の綿密な仕掛けが面白いし、読み込みが足りなかった部分が埋められ、新しい発見がある場合もある。しかし、今回気付いた伊坂の豪胆さには、ミステリの驚き以上にびっくりだった。


作品間のリンク
「ラッシュライフ」:伊藤、神様のレシピとカカシ
「グラスホッパー」:神様のレシピとカカシ
「フィッシュストーリー」:伊藤

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伊坂幸太郎
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comments

文庫本持ってないですけど、本屋でチェックしそうですよ~。(笑)
伊坂さんの作品って、すっごい頭の中してるんだろうな~って、ぎっしり詰まってますよね。
ぎゅっと詰まりすぎてて、面白くて一気に読ませるけど、疲れちゃう気がして・・・そういえば最近読んでないです。

じゃじゃまま:2008/03/17(月) 13:06 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
これに気付いたときは、ええーーって感じ。
たぶん気付いてない驚きがまだまだありそう。
この人の本当の凄さは一度読むくらいではわかんないかもね。

しんちゃん:2008/03/17(月) 19:30 | URL | [編集]

しんちゃんの感想を読んで、文庫を引っ張り出して確認。
うひゃぁ~ホントだ!答えが出てきてますねぇ。
何度も何度も問われていて、気になって気になってしょうがなかったのに
ちっとも気付いてなかったです(^_^;)
恐るべし、伊坂幸太郎(笑)

エビノート:2008/03/17(月) 21:52 | URL | [編集]

エビノートさん
でしょ、でしょ。初読では気付かないですよね。
すごいよねー、伊坂幸太郎の嘲笑は。

しんちゃん:2008/03/17(月) 22:31 | URL | [編集]

おーっ本当だ本当だ。ありますね。しかもこんな口ぶりとは。やりますね、伊坂さん。

たまねぎ:2008/03/17(月) 23:11 | URL | [編集]

たまねぎさんも確認されましたか。やってくれるよねー、ほんと。
見つけて嬉しかったので、ある意味ネタバレしちゃった。てへっ。

しんちゃん:2008/03/18(火) 12:48 | URL | [編集]

伊坂幸太郎の作品の中で一番好きです^^
この独特の世界は読んでみないと分かりませんね。伊坂さんの筆にかかると、あり得ないことでも、あ~そういうものなんだ、と納得してしまうすごさ^^;
ページ確認しましたよ。なるほど~ですね^^
私も気づいたこと(深読み?)があるので、よかったらうちの感想もどうぞ~^^TBさせてください。

nekolin:2008/08/22(金) 21:51 | URL | [編集]

nekolinさん、はじめまして。
まるで伊坂版「不思議の国のアリス」でしたね。
この世界観を口で説明するのは難しいです。
そしてあの遊びはすごいでしょ。あれは初読で気づかないよ。
もちろんnekolinさんのところに伺わせてもらいます。では。

しんちゃん:2008/08/22(金) 22:38 | URL | [編集]

こんにちは。
私も先日この作品を読みました。
いくつかの事柄が後半で見事につながっていく伊坂さんのスタイルは、デビュー作のときからあったのだなと思いました。
島に欠けているものも、そういえば伊藤が正解を言っていましたね。
後半になるにつれて盛り上がっていって、面白い作品でした☆
トラックバック送らせて頂きます。

はまかぜ:2008/12/09(火) 12:39 | URL | [編集]

はまかぜさん、こんばんは。
ピースのばら撒きと回収はさすがですよね。
それに伊藤の正解は、初読なら気づかないですよ。
上手くて面白い作品でしたね。

しんちゃん:2008/12/09(火) 20:11 | URL | [編集]

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『オーデュボンの祈り』 伊坂幸太郎


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オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎著。


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