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    2008

03.17

「負の紋章」ヒキタクニオ

負の紋章負の紋章
(2008/01)
ヒキタ クニオ

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東京を東から西へ横断するJR中央線の阿佐ヶ谷駅を最寄り駅にする場所に、石渡の家はある。周りには建物が密集し、キャラメルの粒のような小さな家が並んで建っている。石渡宗介、45歳。妻・由美子と小学四年生の一人娘の佳奈との三人暮らし。これまで当たり前の日常を生きてきた。そこにあるのは小さな幸せ…。早く帰ってきて、誕生日のプレゼントを渡すから。娘の佳奈の言葉を裏切ってしまった石渡は、翌日の朝、出かける間際の由美子と軽い口喧嘩をしてしまい、微熱のある佳奈をひとり家に残して、意地をはって暑気払いに出かけた。そして夕刻、自宅に帰ってみると、留守番をしていたはずの佳奈の姿がどこにもなかった。

二人は探せる場所はほとんど探した。しかし、佳奈の痕跡さえ見つからない。佳奈は洋服も着替えていない。靴も履かずに、財布もある携帯も置いたまま、いったいどこに。何が起こっているのかわからない二人は、警察に捜索願を出した。四日後、佳奈は井の頭公園で無残な死体で発見された。全身に無数の噛み傷が残る異常な殺害状況だった。

娘を亡くした夫婦の前に、悪意のない悪意は大きな塊となって連日押し寄せて来た。外出すると、必ず労わりと慰めの言葉を掛けられる。そのあとにやってくるのは好奇な視線。それはマスコミの取材であっても、友人知人であっても同じだった。誰も悪意はない。しかし、そんな言葉を聴くと疎ましく感じた。佳奈には美少女という言葉が付けられ、殺害の文字と共に、顔写真が全国を回遊する。

そんな二次被害の大きな渦に、由美子が呑み込まれ実家に帰った。由美子は佳奈の思い出だけを抱き、その他のすべてを忘れ去ることで、納得しようとしているのかもしれない。そして石渡は、犯人を警察よりも早く見つけ、自分の手で殺す。それが自分の考える納得だと思うようになる。そう、復讐という名の己の正義を。

前半部分のやり切れなさや、重たく冷たい雰囲気は、いつものヒキタ作品を感じさせる。その後、頭が固くて古い石渡は、少女への変質的な性欲を安易にロリータ嗜好、つまりオタクと結びつけ、秋葉原へ出かける。そこでフトしたきっかけで、女性警察官のコスプレをするポリ子と名乗る女の子と出会う。それから度々ポリ子が石渡の前に現れ、この手の犯罪は嫌悪している。警察マニアだから捜査の方法も詳しいし、オタクならうってつけなので手伝わせて、と訴え続けて助っ人になる。この軽さは初期のヒキタ作品のノリかと納得するものの、その後の展開はどんどんはちゃめちゃになってゆく。

ポリ子の紹介で、大金持ちでラブドール(高級ダッチワイフ)収集家の木之本、痛みに耐えたり与えたりに快感を覚えるラバーフェチの熱子、新しい犯罪の方法論を考える絵図男、という、ある意味でプロのオタク集団が石渡に協力することになる。この辺りから、内容はとんでも小説になってゆく。違法行為で性犯罪者を探すものの、やっと犯人を見つけたと思ったら、佳奈を殺害した犯人は警察に逮捕されてしまう。その後の展開はあえて書きません。あしからず。

こういう先の読めない変てこな大風呂敷は嫌いじゃない。その後の展開もツッコミを入れればキリがないのだが、前作「不器用な赤」の後味の悪さよりも、本書の悪ノリの方が好みだった。重苦しい雰囲気だと覚悟していた内容とはまったく違うが、読後感もすばらしく良く、また、こういうめちゃくちゃな作品を読みたいと思った。個人的にはありかな。

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ヒキタクニオ
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