--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2008

03.20

「ラットマン」道尾秀介

ラットマンラットマン
(2008/01/22)
道尾 秀介

商品詳細を見る

主人公の姫川亮は三十歳で、アマチュアロックバンドのギタリスト。幼いころに姉と父を、奇妙な状況の中で亡くしていた。高校時代の同級生で結成されたバンドは結成十四年を経て、デビューを目指すでもなく、解散するでもなく、細々と今も活動中。メンバーは、ベーシストの谷尾、ボーカリストの竹内。二年前にドラムスだけが、姫川の恋人、ひかりからその妹の桂に交代していた。姫川とひかりの関係には僅かな軋みが存在していた。ひかりの倦んだ態度に、姫川は猜疑心を抑えられない。そんななか、事件は姫川たちが練習中のスタジオ「ストラト・ガイ」で起こった。そのスタジオで起こった事件が、姫川の過去の記憶を呼び覚ます。

あーーーっ、またやられた。あいつが怪しい、いや、こいつだ、まてまて、こっちだ。などと犯人探しをしてみるが、結局は道尾秀介のミスリードに踊らされ、やっぱりね、と油断していたら、またもや、ものの見事にひっくり反された。さらにその後にも。少し疲れた。だけどこれは心地良い疲れだ。そして読み終えて思うこと、それは抜群に上手いということ。

「ラットマン」とは、心理学の絵に由来するもので、同じ絵柄であっても、横に並ぶ絵が違っていると全く別なものに見えてしまう、という心理的錯視を示すもの。つまり視覚が与える錯覚、思い込みのようなもの。これを練りこんだ手腕は、ほんとに凄かった。圧巻というやつ。

それに加えて、文章による引っかけや、エピソードの並べ方、違う人物での一人称なども、ラットマンの絵さながらの錯覚を読者に与えてゆく。そしてコピーというキーの使い方が巧みだった。エアロスミスのコピーバンドを、ただのコピーだと卑下し、実際の行動もコピー…。おっと、これはやばいか。

現在の姫川が遭遇する事件と、過去の事件の謎が、まるでシンクロしているかのように描かれ、やがて驚くべき真相が浮かび上がってくる。もう思う存分、道尾秀介にやられちゃって下さい。そしてタイトルの「ラットマン」の意味を噛み締めて欲しい。すごく面白く、すごくよく出来たミステリであった。


おまけ。
作中に出てきたエアロスミスの「Toys in the Attic」という曲が聞きたい方は、このあとの「Toys in the Attic」をクリック後、左サイドのディスコグラフィの中から、上から11番目の「闇夜のヘヴィ・ロック」を選び、1曲目を視聴して下さい。

クリック→「Toys in the Attic」

ちなみに「エアロスミス濃縮極極ベスト」の4曲目、「Walk This Way」は踊る御殿の曲。16曲目は映画「アルマゲドン」の主題歌。

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

道尾秀介
トラックバック(14)  コメント(16) 

Next |  Back

comments

本当に上手くキーワードを使い、きれいに騙されました。
これだけクオリティがあるミステリーをずっと作り続けている道尾さんの
凄さを改めて感じました。

リベ:2008/03/20(木) 20:50 | URL | [編集]

りべさん
読み終えて、キーワードの使い方には感心しました。
少ない容疑者で、こんなにも揺さぶる道尾さんはすごいですね。
今後も益々、目が離せない作家になりました。

しんちゃん:2008/03/20(木) 23:15 | URL | [編集]

こんにちは。
私もみごとにだまされました。(笑)
姫川の少年時代の事件とスタジオでの事件がシンクロするように描かれていて、じわじわとくる怖さでした。
キーワードの使い方、ホントに上手でしたね。

mint:2008/03/21(金) 11:27 | URL | [編集]

mintさん、こんにちは。
これはやられるよね。謎解きなんて無理!
シンクロもさすがに上手かったですね。
これで一杯食わされるとは思わなかったです。

しんちゃん:2008/03/21(金) 11:43 | URL | [編集]

毎回騙されまくりなんだけど、
今回はずるい!ってとこもなく(苦笑)
読み終えてただただ、スゴイなぁ~となっちゃいました。

エビノート:2008/03/21(金) 20:18 | URL | [編集]

エビノートさん
盛り上がり度は別にして、ミステリはすごかったですよね。
これで派手な演出がさらにあれば、もっと化けると思いました。
もう一つ上に行って欲しいっすね。

しんちゃん:2008/03/21(金) 22:35 | URL | [編集]

作を重ねれば重ねるほど、読み手のこちらも疑い深くなるのに、それでも騙し続けるなんて凄いですよね。
EAT THE RICHのタイラーに挑戦して舌を噛むという青春時代を送った自分に、エアロはツボすぎでした。

たまねぎ:2008/03/22(土) 00:01 | URL | [編集]

たまねぎさん
何かあるとわかっているのに、やられてしまうよね。
いやー、すごいです。
ロック好きにはツボでしたよね。

しんちゃん:2008/03/22(土) 11:53 | URL | [編集]

面白かったです。そしてやられた!
今回は構成とか綺麗にいってた気がします。
できれば、次は道尾作品って思わずに力を抜いて読みたいんですが…

ちきちき:2008/03/26(水) 19:28 | URL | [編集]

ちきちきさん
力を抜いて読みたいですよね。でも解けそうな気がするのです。
結果的にいうと、解けるわけがないのですが。これも道尾の罠ですよね。

しんちゃん:2008/03/27(木) 11:45 | URL | [編集]

思い込みってこわいですね。
日常でも、思い込みによって失敗していることって意外と多いのかもしれません。

花:2008/05/25(日) 16:37 | URL | [編集]

花さん
思い込みのドミノでしたね。これは上手いとしか言いようがなかった。日常の思い込みによる失敗は多いです。
ふと思い出したのはモータープール。いつプールじゃないって気がついたのか、憶えていませんが。

しんちゃん:2008/05/25(日) 20:10 | URL | [編集]

本当、思い込みのドミノでしたね!!!
私なんてその思い込みばかりで、いつも不幸のループから抜け出せません。(爆)
なんだか途中で、自分が騙されてる自覚もなしに、騙されて終わってたって感じ。

じゃじゃまま:2008/05/31(土) 17:19 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
人間の深層心理を上手くついていましたね。
それがこうドミノのようにバタバタと連鎖するのはさすがでした。
道尾さんも安定感が出てきて、安心して読めるようになりました。
最後には気持ちよくやられますし。

しんちゃん:2008/06/01(日) 13:10 | URL | [編集]

これ図書館で予約したよ!!
113人待ちだって。
結構来なそうだよ~。

まる:2008/06/02(月) 20:07 | URL | [編集]

まるさん
新居の図書館は読書家が多いのかな。
どの本も予約数がすごいですね。
借りられるまでの間に、他の道尾作品を読むってどう??

しんちゃん:2008/06/02(月) 20:23 | URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

ラットマン (道尾秀介)


(本の内容) 姫川はアマチュアバンドのギタリストだ。 高校時代に同級生3人とともに結成、デビューを目指すでもなく、 解散するでもなく、細々と続けて14年になり、メンバーのほとんどは 30歳を超え、姫川の恋人・ひかりが叩いていたドラムだけが、 彼女の妹・桂に

2008/03/20(木) 20:44 | 今夜も読書を

「ラットマン」道尾秀介


ラットマン 道尾 秀介 JUGEMテーマ:読書 姫川は30歳。アマチュアバンドでギターを担当している。幼いころに姉と父を奇妙な状況の中で亡くし、それ以降母とも疎遠になっている。高校時代に同級生と始めたバンドは結成14年目。バンドのメンバーはベースの谷尾、ヴ...

2008/03/20(木) 21:12 | ナナメモ

ラットマン-道尾 秀介


ラットマン(2008/01/22)道尾 秀介商品詳細を見る 『ラットマン』とは、ネズミとも人の顔とも見えるトリックアートのことである。 アメリカ、バッ...

2008/03/21(金) 10:41 | 趣味は読書(自称)

『ラットマン』


今日読んだ本は、道尾秀介さんの『ラットマン』です。

2008/03/21(金) 11:17 | いつか どこかで

ラットマン 〔道尾 秀介〕


ラットマン道尾 秀介 光文社 2008-01-22売り上げランキング : 1004おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools ≪内容≫ 注目を集めてきた新鋭が、ついに到達した最高傑作。 焦燥。倦怠。狂おしい嫉妬。猜疑。謎に包まれた死。 ようこそ。ここが、青春の終わりだ。...

2008/03/21(金) 20:12 | まったり読書日記

ラットマン  道尾秀介


なるほど『ラットマン』。これは道尾さんの書く小説を象徴するような言葉ですね。それだけで見れば、ネズミにもオジサンにも見える絵。それが他の動物の絵と並べばもうネズミにしか見えないし、人の顔と並べばもうオジサンにしか見えない。まさに、人の思い込みを巧みに利...

2008/03/21(金) 22:59 | 今更なんですがの本の話

ラットマン


JUGEMテーマ:読書 姫川はアマチュアバンドのギタリストだ。高校時代に同級生3人とともに結成、デビューを目指すでもなく、解散するでもなく、細々と続けて14年になり、メンバーのほとんどは30歳を超え、姫川の恋人・ひかりが叩いていたドラムだけが、彼女の妹・桂に交代...

2008/03/26(水) 19:29 | ぼちぼち

【ラットマン】 道尾秀介 著


何か、思い違いをしていたんじゃないのかい?  道尾秀介さん、お初の方である… 姫川はアマチュアバンドのギタリストだ。高校時代に同級生3人とともに結成、デビューを目指すでもなく、解散するでもなく、細々と続けて14年になり、メンバーのほとんどは30歳...

2008/04/09(水) 15:19 | じゅずじの旦那

本「ラットマン」


ラットマン 道尾秀介 光文社 2008年1月 高校時代より14年、姫川亮、竹内耕太、谷尾瑛士の3人に小野ひかりが加わり、エアロスミスのコピーバンド「Sundowner(サウダナー)を編成し、野際の経営するストライト・ガイで演奏活動を続けていた。2年前、ド

2008/05/25(日) 16:36 | <花>の本と映画の感想

ラットマン 道尾秀介著。


≪★★★≫ ミスター伏線なので、裏を考えながら読んでたんだけど、だんだんそんなこと考えるのも面倒になったのでそのまま読んだ。 確かに、人間ってそう思い込んで物事を見ると、そうとしか思えないもんだよね。 それがテーマっすね、今回。 たくさんの思い込みがあって...

2008/05/31(土) 17:00 | じゃじゃままブックレビュー

ラットマン*道尾秀介


ラットマン(2008/01/22)道尾 秀介商品詳細を見る ようこそ。ここが、青春の終わりだ。結成14年のアマチュアロックバンドが、練習中のスタジオ...

2008/09/06(土) 07:50 | +++ こんな一冊 +++

ラットマン


ラットマン 道尾 秀介 心理学の用語「ラットマン」を標題にした本作は、どんな感じのものなんだろうと少し興味を持っていた。 人間が何かを認識するときに、その前後の情報が大きく影響するということ。 途中までは、この標題と書かれている内容との関係がつかめな

2008/10/14(火) 13:01 | 読書三昧

道尾秀介  ラットマン


今頃やっと道尾作品デビューしました。(^^;ゞ 前々から気にはなっていたのですが、デビュー作がホラーサスペンス大賞特別賞ということで、超ビビリでホラーが大の苦手な私はずっと避けていたのです。けれども最近の作品は、ホラー色が薄れてきたというのと年末のミステリ...

2009/02/19(木) 20:45 | マロンカフェ ~のんびり読書~

「ラットマン」道尾秀介


ラットマンクチコミを見る 今度こそだまされないぞ!と思いながら読んだのですが、どうもするすると読めてしまうのです。自分は確実にミスリードされてる・・・と思いつつも、伏線もわからないし、まさかこれが真相?!と思ったら、やっぱりだまされました。どんでん返...

2009/11/16(月) 20:45 | 本のある生活

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。