「ラ・パティスリー」上田早夕里
2008年03月26日 (水) | 編集 |
ラ・パティスリーラ・パティスリー
(2005/11)
上田 早夕里

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森沢夏織の勤務先・フランス菓子店〈ロワゾ・ドール〉は、駅から徒歩で十分ほどの坂をのぼった場所にあり、喫茶部が併設された中規模程度の個人店である。定休日の火曜日以外は、毎日のように大勢の客が訪れる。土日や祝日には遠方からも客が来て賑わう。関西地方ではよく名前を知られた神戸にある店だ。アルバイトで入り、製菓学校を卒業後、真面目に勤めたのが効いたのか、四月から正規の従業員として採用になった。正式にパティシエとして雇われたのである。

新人職人である夏織の朝一番の仕事は、誰よりも早く出勤し、厨房のオーブンに火を入れることだ。その日も、いつもと同じように厨房に入ると、見覚えのない先客が、作業台に向かって飴細工を作っていた。お菓子の作り方以外はまったく記憶がない謎の菓子職人・市川恭也だった。彼はオーナーに頼み込み、新人パティシエの待遇で、〈ロワゾ・ドール〉で働くことを認められた。

二人の交流を通じて描く洋菓子店の日常と、そこに集うさまざまなお客の人間模様。10年前の懐かしい味を求めてやってくるお客。そんなめずらしい客もいれば、ほとんどの客は気まぐれ。どんなに美味しいケーキでも、そればかり食べ続ければ、やがて飽きてしまう。そこでお店側も新たに工夫する。

そして従業員たちのそれぞれの夢。ある者は独立を目指し、ある者はコンテストで優勝がしたいと言い、東京に店を出したいと夢を語りあう。そして喧嘩別れした親子のこと、恋人未満の二人の関係のこと、市川恭也の失われた過去のこと。彼らの人間ドラマが中々面白く、読み終えたあとは、ほんのりとした幸せな気分に浸ることが出来た。

甘いモノがまったく食べられないおいらだが、ひと欠けぐらいは食べてみたいと思うまでになった。ザ・ケーキ三昧という描写ばかりで、甘いモノに目がない方にはたまらない本だと思う。ストーリーの方は、甘みよりもちょっぴりビター風味で、香りのよい紅茶が似合いそうな本であった。

コメント
この記事へのコメント
こんばんは、しんちゃん。
この本は、甘党なわたしには面白かったですよ。
私も書きましたが、ケーキ好きの人には読んで欲しいです。
以外と、女子の人たちが読んでいないのが、ちょっと残念な気がします。
2008/04/04(Fri) 00:37 | URL  | モンガ #-[ 編集]
モンガさん、こんにちは。
女子の人たちというよりも、読んでるかたが極端に少ないですよね。
新刊はミステリ・フロンティアなので、手に取るかたが多いかも。
そしたらこれも読者が増えるんじゃないでしょうか。
2008/04/04(Fri) 11:55 | URL  | しんちゃん #-[ 編集]
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