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    2008

04.10

「飯綱颪」仁木英之

飯綱颪―十六夜長屋日月抄 (学研M文庫)飯綱颪―十六夜長屋日月抄 (学研M文庫)
(2006/12)
仁木 英之

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深川の十六夜長屋に住む、泥鰌漁を生業とする甚六が、ある日川べりで行き倒れの男を見つけた。その男は驚くほどの巨体で、剛毛に覆われた体が血と泥に塗れた姿は鬼を思わせた。恐ろしさにかられた甚六だったが、苦しんでいる姿を見て男を長屋へ連れて行く。長屋の住人たちの介抱によって男は体力を回復するが、一切の記憶を失っていた。歴史群像大賞最優秀賞、日本ファンタジーノベル大賞、W受賞の気鋭の著者が贈る、受賞第一作長篇書き下ろし小説。《背表紙より》

これが初めて読む仁木英之作品。おもいっきり取っ掛かる順番を間違えているが、まあ、ご愛嬌ということで。どうも「僕僕先生」とはタイミングがあわないんだよな。

泥鰌獲りの甚六、とみの親娘は、拾ってきたごつい男を、山みたいだから山さんというあだ名をつけて、居候させることにした。彼らの住む長屋には、樽職人をしている太助、弥八、九兵衛の喧嘩早い三兄弟とその妻たち、何やら過去を秘めた浪人で、寺子屋先生をしている藤村忠兵衛、旦那と一人息子を辻斬りに殺され、死ぬに死ねず、自分をどうすることも出来ない未亡人さえ、長屋の鼻つまみ者で、博打打ちの磯次、という面々が住んでいた。

一方、松代藩十万石は、大水害で多額の借財を負い、家老の原八郎五郎の極端な財政再建によって、城下は不穏な空気に包まれていた。その家老の原は、藩のために、どんな手段でもいいから逃げたあの男を連れ帰れと、江戸藩邸の若穂貞光に命じる。その原が邪魔で仕方がない江戸家老の屋代定助は、影働きの海野大桷を使って、あの男の動向を探らせる。

その問題の記憶をなくした男とは、真田忍軍の末裔で、代々真田家のために影働きをしてきた、狩人と呼ばれる集団の若き頭領だった。松代藩を守ってきた凄腕の集団は、かつて見せたその結束力が嘘のように三つに分かれていた。一団は藩主に絶対の忠誠を誓い、もう一団は江戸家老に味方している。そして最後の一団は彼らの頭領が姿を消してからというもの山里に引っ込んでどちらの命令にも従わなかった。その山さんと呼ばれる男を巡った暗躍に、長屋に住む庶民たちが巻き込まれていく。

人情もの、忍者ものと呼ばれる系列作品の定番パターンだろう。江戸っ子のきっぷの良さ、見過ごせない人情、人間離れした躍動。善悪の陰謀が渦巻くなかで、自ら記憶を封じた男。その封印を解いて目覚めさせることを依頼され、引き受けることになった江戸っ子庶民。そのことによって、無害である庶民たちは、狩人たちの獲物になってしまう。

序盤は登場人物が多いこともあって、それら人物を把握しやすいように丁寧に書かれている。物語の主人公は泥鰌の甚六であって、眠れる獅子の山さんではない。だから剣戟ものを期待すると肩透かしを食うかも。派手な活劇はあるものの、その役目を担う者が眠っているから。でも隠れキャラが登場して、楽しませてくれたりもするのだけど。武器を手に取ることがない甚六たち江戸っ子たちが、松代藩の内紛に巻き込まれる主流のストーリーがあり、そこに過去の山さんに関わりがあった人物のストーリーがあり、さらに、寺子屋の藤村先生、未亡人のさえ、仇を持つ若穂貞光などのストーリーが、平行したかたちで展開していく。

時代もの特有の言い回しや用語は抑え目になっている。だから取っ付き難さというものはなかった。それに江戸ばかりが舞台ではなく、長屋の男衆だけで善光寺参りに行ったりと、ひとつ所に留まらない遊び心もあって、読者を飽きさせない工夫もしっかりしている。それに男と男が対峙する美学などもしっかり書かれていて、ほんとに定番というもの、をきっちり詰め込んだ作品だと思った。「僕僕先生」を読んでいないので比較は出来ないが、読んで損なしだと思った。タイトルは「いいづなおろし」と読んでください。

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仁木英之
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comments

こんばんわ☆

時代モノが苦手な人でもとっつきやすく楽しめそうな本ですよね♪
僕僕先生も、まるでライトノベルのようなノリがあって、可愛くてとても読みやすいお話でしたよ♪
なのに、なにげに中国の歴史上で有名な人物の名前が色々出てきたりして、ちょっと勉強も出来てる?なんてお得な気分にもなりました(笑)

マメリ:2008/04/11(金) 00:17 | URL | [編集]

マメリさん、こんばんは。
これぞ時代モノという押しがあまりなかったですね。
その点はあっさりしていて読みやすかったです。
「僕僕先生」をさっそく図書館で借りてきました。
楽しみです。ルンルン♪

しんちゃん:2008/04/11(金) 20:30 | URL | [編集]

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『飯綱颪 -十六夜長屋日月抄-』 仁木 英之


飯綱颪―十六夜長屋日月抄 仁木 英之 甚六は深川の十六夜長屋に娘の とみ と二人で住んでいる。 あるとき、生業の泥鰌漁を終えた甚六は川べりで大男を発見した。そして怪我をして行き倒れているらしい大男を放ってはおけず、長屋までつれて帰ってしまう。 そ

2008/04/11(金) 00:11 | お菓子を片手に、日向で読書♪

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