2008年04月13日 (日) | 編集 |
![]() | 乳と卵 (2008/02/22) 川上 未映子 商品詳細を見る |
芥川賞受賞作の「乳と卵」と「あなたたちの恋愛は瀕死」の二編を収録。
もうすぐ四十歳になる姉の巻子と、その姉の娘で小学生の緑子が、大阪からわたしの住む東京のアパートにやって来た。姉の頭の中には豊胸手術しかなく、女になることを嫌悪する娘は、そんな母親への激しい反発から口を開かなくなった。言葉にはできない豊胸への思いを持つ母と、会話をスケッチブックにペン書きする娘。そんなおかしな親子を、姉の妹であるわたしの目線で描いた三日間。その合間に、娘の緑子の日記を読む、という作品。
これまでに「わたくし率イン歯ー、または世界」「先端で、さすわさされるわそらええわ」を読んでいるが、これが嘘やん、というぐらい読みやすくなっていた。ネイティブな大阪弁で書かれているのも同じ、句読点の独特な使い方も同じ。ふつうはここで「。」やろというところを「、」で区切り、ここは「、」やろというところに「、」を打たない。そうかと思えば、やたらと「、」で文章をぶった切る。前二作を読んだときは、するすると文章が頭に入ってくるのだが、その一方で、入ってきた文章が脳内に留まらずに、するすると出て行ってしまって、これには困惑してしまった。それが本書では、入ってきた文章がちゃんと留まるではないか。こんなのは当たり前のことなのだろうが、川上未映子の作品では、これは大きな出来事だと思う。
銭湯で行きかう女の胸を舐めるように観察し、己の乳首にコンプレックスを持っている巻子。胸よりも、もっと先に気にすべきことがあると思うわたし。そんなお母さんを大事に思うけれど、なぜそんなに胸を大きくしたいのかわからず、しゃべれば喧嘩になるからと口を開くことをやめた娘。その緑子は、生理について考えてブルーになり、卵子のこと、あたしの中に人を生むもとがあることや、体の変化が憂鬱で、大人になるのが厭だと思っている。女性ならではの悩みや不安なので、これについては答えようがない。だけど、大人になってもコンプレックスはあるし、子供と大人の狭間の年代には、体の変化に怯えた記憶も確かにある。だけど、彼女たちはそこに必死になるので、滑稽だけど切なくもなる。そして、ラストのわけのわからないパワーは、相変わらずすごいと思った。
同時収録の「あなたたちの恋愛は瀕死」は、川上未映子にとって、初の標準語で書かれた作品だ。リズム感は残っているが、まったく雰囲気の違う作品になっている。化粧品店や街中で、たくましく思考想像した女性のあれこれを描いている。そして、ティッシュ配りの男のイライラが、その女性と交錯することで、最後にパワーが破裂してしまう。ページ数の少ない作品だが、ひりひりとした孤独感や、女性ならではの風景、男性からは絶対に見えない世界が面白く読めた作品だ。
芥川賞受賞ですごく売れているみたい。だけど、おいらは図書館で借りたよん。。
TBさせてもらいました。「また楽しからずや!」
この記事へのコメント
すいません。私も図書館……ゴホッ。心の成長と体の成長。互いに手を取り合ってが理想なんでしょうけど、バラバラになってしまう時もある。そういう葛藤が興味深く読めました。特に私はいかにも男の子といった感じで何も考えずでかくなった方なんで。
2008/04/14(Mon) 00:54 | URL | たまねぎ #8w8Th2ek[ 編集]
あたしも図書館。しかも、雑誌『文藝春秋』★
雑誌で読むと、受賞インタビューも楽しめますよ(* ̄∇ ̄*)
(やっぱりトラバうまくいかなーーーい)
http://tsutamaru.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_0a36.html
雑誌で読むと、受賞インタビューも楽しめますよ(* ̄∇ ̄*)
(やっぱりトラバうまくいかなーーーい)
http://tsutamaru.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_0a36.html
たまねぎさん
ですよね。単行本はそうそうと買えないですもん。
へんてこな親娘の静かな対立というのでしょうか。
そこがちょいと一風変わっていて面白く読めました。
ですよね。単行本はそうそうと買えないですもん。
へんてこな親娘の静かな対立というのでしょうか。
そこがちょいと一風変わっていて面白く読めました。
つたまるさん、申し訳ないっす。FC2がバカなんで。
どうも雑誌という媒体が、慣れなんだろうけど読みにくいです。
同時収録というおまけがあるし、単行本で読みたかったのですよ。
インタビューや選評は立ち読みしましたけど(笑)
どうも雑誌という媒体が、慣れなんだろうけど読みにくいです。
同時収録というおまけがあるし、単行本で読みたかったのですよ。
インタビューや選評は立ち読みしましたけど(笑)
こんばんは。
著者の作品は初めてだったんですが、以前の作品より読みやすいんですね…
最初はそのうち慣れるやろ、思ってたんですが全く読めないまま終わってしまいました(というか終わらせたというか)。
関西弁やしいけると思ったんですけど…
著者の作品は初めてだったんですが、以前の作品より読みやすいんですね…
最初はそのうち慣れるやろ、思ってたんですが全く読めないまま終わってしまいました(というか終わらせたというか)。
関西弁やしいけると思ったんですけど…
ちきちきさん、こんばんは。
どうやらダメっぽい感触みたいですね。
好き嫌いはあるだろうなと思っていました。
関西弁でありながら、ふにゃふにゃした文章がえんえんと続く。
でも、これが他作品よりも、ぐっとましになってるのだから不思議。
気がつけば、三冊を読んでカテゴリ化してました。
どうやらダメっぽい感触みたいですね。
好き嫌いはあるだろうなと思っていました。
関西弁でありながら、ふにゃふにゃした文章がえんえんと続く。
でも、これが他作品よりも、ぐっとましになってるのだから不思議。
気がつけば、三冊を読んでカテゴリ化してました。
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2008/04/14(Mon) 01:01:49 | 今更なんですがの本の話
乳と卵(2008/02/22)川上 未映子商品詳細を見る第138回芥川賞受賞作品。
豊胸手術を受けようと妹の住む東京へやって来た巻子と、その娘、緑子...
2008/04/14(Mon) 08:51:16 | Sweet*Days**
本作はチチトランと読むらしい。間違ってもチチトタマゴとは読まないでくださいとのことだが、むしろ読者が牛乳と卵を連想することを狙った感さえあるように思われる。
さて、その内容であるが、母の豊胸手術とその子供の生理についての葛藤やら倫理観やら違和感など...
2008/04/14(Mon) 21:59:16 | カイゾーのブログ
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娘の緑子を連れて豊胸手術のために大阪から上京してきた姉の巻子を迎えるわたし。その三日間に痛快に展開される身体と言葉の交錯!
第138回芥川賞受賞作品。文筆歌手を自称、シンガーソングライターとして活動しながら三年ほど前からブログで日記...
2008/04/19(Sat) 19:57:56 | ぼちぼち
「文学界」12月号に掲載されている川上未映子の「乳と卵」を読みました。川上未映子の経歴を見ると、1976年8月29日大阪府生まれ。大阪市立工芸高等学校卒業。日本のミュージシャン、文筆家、小説家。自称「文筆歌手」。「早稲田文学」に掲載された「わたくし率イン歯ー、
2008/04/23(Wed) 23:40:18 | とんとん・にっき
2月10日の朝刊、デカデカと川上未映子の写真と「芥川賞発表受賞作全文掲載」の「文芸春秋」の一面広告が出ていました。毎月10日には必ず「文芸春秋」の広告が出るのですが、それにしても大きい、破格の扱いです。しかも、川上未映子のちょっとエロチックで、アンニュイな
2008/04/23(Wed) 23:40:56 | とんとん・にっき
JUGEMテーマ:読書
読書期間:2008/5/2〜2008/5/3
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2008/05/10(Sat) 10:12:52 | hibidoku〜日々、読書〜
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