2008
![]() | 乳と卵 (2008/02/22) 川上 未映子 商品詳細を見る |
芥川賞受賞作の「乳と卵」と「あなたたちの恋愛は瀕死」の二編を収録。
もうすぐ四十歳になる姉の巻子と、その姉の娘で小学生の緑子が、大阪からわたしの住む東京のアパートにやって来た。姉の頭の中には豊胸手術しかなく、女になることを嫌悪する娘は、そんな母親への激しい反発から口を開かなくなった。言葉にはできない豊胸への思いを持つ母と、会話をスケッチブックにペン書きする娘。そんなおかしな親子を、姉の妹であるわたしの目線で描いた三日間。その合間に、娘の緑子の日記を読む、という作品。
これまでに「わたくし率イン歯ー、または世界」「先端で、さすわさされるわそらええわ」を読んでいるが、これが嘘やん、というぐらい読みやすくなっていた。ネイティブな大阪弁で書かれているのも同じ、句読点の独特な使い方も同じ。ふつうはここで「。」やろというところを「、」で区切り、ここは「、」やろというところに「、」を打たない。そうかと思えば、やたらと「、」で文章をぶった切る。前二作を読んだときは、するすると文章が頭に入ってくるのだが、その一方で、入ってきた文章が脳内に留まらずに、するすると出て行ってしまって、これには困惑してしまった。それが本書では、入ってきた文章がちゃんと留まるではないか。こんなのは当たり前のことなのだろうが、川上未映子の作品では、これは大きな出来事だと思う。
銭湯で行きかう女の胸を舐めるように観察し、己の乳首にコンプレックスを持っている巻子。胸よりも、もっと先に気にすべきことがあると思うわたし。そんなお母さんを大事に思うけれど、なぜそんなに胸を大きくしたいのかわからず、しゃべれば喧嘩になるからと口を開くことをやめた娘。その緑子は、生理について考えてブルーになり、卵子のこと、あたしの中に人を生むもとがあることや、体の変化が憂鬱で、大人になるのが厭だと思っている。女性ならではの悩みや不安なので、これについては答えようがない。だけど、大人になってもコンプレックスはあるし、子供と大人の狭間の年代には、体の変化に怯えた記憶も確かにある。だけど、彼女たちはそこに必死になるので、滑稽だけど切なくもなる。そして、ラストのわけのわからないパワーは、相変わらずすごいと思った。
同時収録の「あなたたちの恋愛は瀕死」は、川上未映子にとって、初の標準語で書かれた作品だ。リズム感は残っているが、まったく雰囲気の違う作品になっている。化粧品店や街中で、たくましく思考想像した女性のあれこれを描いている。そして、ティッシュ配りの男のイライラが、その女性と交錯することで、最後にパワーが破裂してしまう。ページ数の少ない作品だが、ひりひりとした孤独感や、女性ならではの風景、男性からは絶対に見えない世界が面白く読めた作品だ。
芥川賞受賞ですごく売れているみたい。だけど、おいらは図書館で借りたよん。。
TBさせてもらいました。「また楽しからずや!」
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