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    2008

04.15

「アヒルと鴨のコインロッカー」伊坂幸太郎

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)
(2006/12/21)
伊坂 幸太郎

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大学入学のため関東から東北に引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは尻尾の曲がった猫、次が全身黒ずくめの長身の青年。その悪魔めいた河崎は、初対面だというのに、同じアパートに住む外国人が塞ぎこんで殻に閉じこもっているので、彼を元気づけたいと言う。だから?一緒に本屋を襲わないか″と持ちかけてきた。ターゲットは、厚くて立派な広辞苑。そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか決行の夜、僕こと椎名はモデルガンを持って、はたきの似合いそうな小さな書店の裏口に立ってしまった。

その二年前、ペットショップで働くわたしこと琴美は、同棲中のブータン人留学生ドルジと、行方不明になった店の売れ残り犬、クロシバを探していた。そこに轢き逃げにあった無残な猫の死体と出会い、その猫を埋めてあげようと、立ち入り禁止の立て看板がある公園に侵入した。そこで最近市内で連続して発生しているペット殺しの犯人グループらしい、若い男女三人組と遭遇してしまう。二年の歳月を隔てた二つの物語が、交互に語られてゆく、第二十五回吉川英治文学新人賞受賞作。

これってネタバレなしでは書きにくい。まあ、頑張ってみるけど、抽象的なことばかりになるかもしれない。琴美は以前、河崎と一ヶ月ほど付き合っていたことがあり、琴美、ドルジ、河崎による不思議な三角関係を作っていた。その彼ら三人の物語に、椎名が飛び込み参加してしまうという構図の作品になっている。目線は椎名と琴美だけど、作品の中心にいたのは河崎であり、ドルジなのかもしれないと思った。

その河崎が吐く暴言だが、いたく惹かれてしまったセリフを一つ。「目に見えないものは信じないことにしている。どこかの半島で食料がなくて餓死する子供が何百人いようと、見知らぬ大陸の森で動物の大虐殺が行われていようと、それを見ない限りは信じない。いや、信じないことにしている。目で見るまでは、何も存在していないのと同じだ。俺はそう思う」 このセリフがカッコよくて、ちょっと極論だけど、このような妙に心に残る言葉が出てくるのも、伊坂作品の特徴だと思う。

それと、琴美が勤めているペットショップの店長の麗子さんもカッコよすぎ。蝋人形のように無表情で色白美人だけど、痴漢に啖呵をきったり、気に入らない客を殴ったり、ちょいと気持ちがいいオトコ前だった。それと行方知れずになったクロシバだけど、切ないラストを緩和させてくれるあたりが、伊坂のカッコよさだとも思った。

遊びでペット殺しをする若者は許せないし、外国人だということで偏見を持つことも問題だと思う。作中に書かれていたが、ペット殺しと名付けた瞬間に、ひどく表層的で罪の軽いものに感じられるとあった。援交やニートにも同じことが言える。実際は売春や引きこもりなのに、変にネーミングをすることで、本質をぼかしているようで、こういった世間の風潮、メディアの躍らせ方に、自分は嫌悪している。伊坂作品を読んでいると、こういった社会への警笛が数多く書かれている。そこの部分にも共感できて、よく言ってくれたと、益々伊坂が好きになるのである。

作品の感想というよりも、伊坂論のようになってしまった。だけどネタバレなしではほんとに無理。そして今回もリンクがあったので、最後に記しておく。


作品間のリンク
「重力ピエロ」:春、田村蕎麦主人
「陽気なギャング」:響野祥子
「死神の制度」:春

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伊坂幸太郎
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comments

>伊坂作品を読んでいると、こういった社会への警笛が数多く書かれている。
本当にそう思います。
毎回、さすがだなぁと思うんですよね。

なな:2008/04/15(火) 21:20 | URL | [編集]

ななさん
ですよねー。こういうのをさらっと書く伊坂はカッコいい。
おっとこ前やな、と読むたびにつくづく思います。

しんちゃん:2008/04/16(水) 12:43 | URL | [編集]

最近伊坂作品を読んでないんですけど、この作品、読み終わった後寂しくなっちゃったんですよね。
それに、怖い。あの若者たち。遭遇したくない人種ですね。

じゃじゃまま:2008/04/17(木) 22:51 | URL | [編集]

しんちゃん☆こんばんは
この間読んだ「絆の話」によると、伊坂さんが学生時代に、家族でブータンへ旅行したことがあるんですって。
遠い国なのに不思議ですよね、日本人とそっくりの顔をした人たちが住んでいるって。
もう一度読みたくなっちゃいました。

Roko:2008/04/17(木) 23:16 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
買ってためていた本を消化してやろうと、今年になってめっちゃ読んでます。
来月にはコンプできそうな勢いっすよ。
ヤな若者たちでしたね。その内の二人は呆気なかったけど。

しんちゃん:2008/04/18(金) 12:18 | URL | [編集]

Rokoさん、こんにちは。
へー、実際にブータンに行ってたんだ。
どれぐらいそっくりなのか知りませんが、そういう類似って面白いですね。
そういえば、以前読んだ伊坂作品にもクロマニョン人とか出ていましたね。
こういうルーツみたいなのにも伊坂は興味があるのかな。

しんちゃん:2008/04/18(金) 12:23 | URL | [編集]

伊坂さんの小説にはかっこいいセリフ、結構でてきますよね。
極論でも、読むと妙に納得したりすっきりしたりしてしまいます。
ところでこれ映画になってるんですよね。
どんなふうに撮ってるのかすごく気になってたのに、
まだ見てなかったのを思い出しました。

june:2008/04/19(土) 13:15 | URL | [編集]

juneさん
極論だけど好きだ、などと読むたびに毎回書いています。
今日読み終えた「チルドレン」もカッコよかったー。
そうそう。映画ではあのひっかけがどうなってるのか、わたし気になります。

しんちゃん:2008/04/19(土) 19:56 | URL | [編集]

ネタバレしないで感想書くの難しいですよね。
これをどう映画化したのか、私も気になってたのに、
そういえばまだ観てませんでした~(^_^;)
DVD借りてこなきゃ。

エビノート:2008/04/19(土) 20:12 | URL | [編集]

エビノートさん
すごく気をつかいすぎて萎縮しちゃいます。
映像のほうも気になりますよね。
あれとかこれとかどうなっているんだろう。
映像化に成功してりゃいいけど…。

しんちゃん:2008/04/20(日) 12:35 | URL | [編集]

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