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    2008

04.17

「世界は密室でできている。」舞城王太郎

世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫)世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS (講談社文庫)
(2005/04)
舞城 王太郎

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僕こと西村友紀夫が十三歳で、隣に住む親友のルンババこと番場潤二郎が十二歳のとき、ルンババの姉の涼ちゃんが、番場家の二階の屋根からひょいと飛び降りて、二日間生き延びて死んだ。遠方への家出癖があり、父親の番場耕治氏はくり返しくり返し涼ちゃんを家に閉じ込め、涼ちゃんの脱獄と逃亡と捕縛と再収容の果てしないくり返しがのんびりと続いていた。その涼ちゃんが自分の家の屋根から飛び下りた。あの時涼ちゃんはどこを目指したのだろうか。名探偵と呼ばれることになるルンババが始めたのは、姉の死の真相の解明だった。

月日が経ち、中三の修学旅行で東京へ行った僕は、都庁の前でのんびり鳩に餌をやっていると、不倫関係で揉めている美人とおっさんが、派手な殴り合いを始めた。こりゃ止めなければとそばに行って声をかけると、振り向いた彼女の拳が飛んできた。その女の人のパンチ一発で僕はノックアウトされてしまった。気がつけば僕は埼玉に上陸していた。なぜか彼女の家にラチられていたのだ。こうして僕は、都庁観光課に勤める姉のツバキさん(椿)と、高校をサボりがちな妹のエノキという風変わりな井上姉妹と知り合った。

その井上ツバキとエノキの姉妹が、埼玉からここ福井にやって来ると突然の電話があった。ツバキと不倫中だった谷川徹がストーカーになって行方不明だし、その谷口の妻の万里江さんは子供たちと一緒に殺されてしまってるし、万里江さんのお腹にいた三朗君は犯人に連れ去られたままだし。僕らの冒険がこうして始まった。待ち受ける密室事件の数々にルンババと僕は立ち向かう。

とかく人をナメたような密室殺人ばかりが起こってしまう本書だが、正統派ミステリーというのとは少し違う。名探偵であるルンババによって謎は解かれるけれど、けっして何もかもお見通しの完璧な探偵ではない。常識ではありえないくだらない考えを真剣に検討し、そして一瞬の飛躍によって解決をしてみせる。これら謎に読者がチャレンジするような作品ではなく、本質はもっと別のところにあると思った。

冒頭でルンババの姉がショックな死に方をする。その出来事がきっかけでルンババは名探偵の道を進むことになるが、その隣にはいつも主人公の僕がいる。ここで何かジョークをいって笑わせようとするが、単に笑わせようとするのではなく、必死に友を励まそうとする主人公がいるのだ。そして、ずっと姉の死が心の引っかかりになっているルンババの心の密室を、主人公が一緒になって乗り越えさせようとする青春小説になっている。

ルンババの影になりがちな主人公だけど、エノキという強烈な個性を持ったヒロインが登場することで、若者らしい煩悩を見せてくれる。何も取り柄がないふつう人の息吹を組み込むことで、無茶苦茶に暴走した世界観を、こちら側に引き寄せているのは上手いと思った。また、ぶっ飛んでいるエノキだけど、ふっと見せる弱さがかわいらしくて、守ってやりたい的な男心をくすぐるくすぐる。

ページいっぱいに埋まった字の羅刹は相変わらずだが、舞城の持ち味であるスピード感、グルーブ感、疾走感は健在で、ぐいぐい読ませながらも、時にブラックなユーモアでぷっと笑わせてくれる。読んでいる方が少ない舞城だが、こやつからは目が離せないと思った。おもしろかった。

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舞城王太郎
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