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    2008

04.20

「For You」五十嵐貴久

For YouFor You
(2008/03)
五十嵐 貴久

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冬子叔母が倒れた。彼女は私の母の妹に当たる。私を産んですぐ亡くなった母の代わりに、幼い私を育ててくれたのが叔母だった。母も叔母も身内の縁が薄い人で、冬子叔母自身も独身だったため、血縁で言えば、姉の子である私が最も近いことになる。私は急ぎ病院に駆けつけたが、叔母は四十四歳という若さで帰らぬ人になった。それが、ひと月前の出来事だった。

映画雑誌ジョイ・シネマ編集部で働く佐伯朝美は、謎に包まれた若手韓流スター、フィル・ウォンへのインタビューの質問事項に頭を悩ませていた。そしてつきあっている彼とも微妙ながら関係が続いている。バツイチ、子持ち、十二歳も年上で、しかも収入の安定しないフリーのカメラマン。その彼との関係について、冬子叔母と大きなケンカをし、それが彼女との最後の会話になってしまった。そんな後悔を思いだしながら遺品整理をしていると、三十年ほど前に書かれた叔母の日記帳を見つけてしまう。その日記には、叔母の高校二年生の頃からの純粋でまぶしいほどの青春の日々と、たった一度の恋が綴られていた。

高校二年生の吉野冬子が、Uこと柴田裕子、みかりん、ピータン、ナオら仲良しグループで、アイドルの話やファッションの話、現実に交際している人たちの噂で盛り上がる日々を過ごしていた。そんなある日、季節外れの転校生がやって来た。背が高く、低くてよく通る声。運動神経がよく、成績はトップクラス。無口で、静かな男の子。それが藤城篤志だった――。三十年前のいきいきとした冬子と、その冬子の一途な想いがこもった日記を読みながら、仕事に一生懸命になる佐伯朝美。そして…。

これはネタバレなしでは肝心な部分が書けない。ストーリーは、韓流スターのフィル・ウォンへのインタビューは難しい、というのが定評のインタビューを成功させようとする朝美と、八十年代を生きる冬子の青春が、交互に書かれている。片思いにしろ、仕事ものとしても、王道をそのままいく作品だ。とにかくすべてがベタな展開で、一昔前の少女マンガのようだった。読んだことないけど。

すべてが控えめで、今では考えられないような奥ゆかしい叔母の恋。日没を気にしたり、一緒に喫茶店に入ることが特別だった時代。視線が合うだけでドキドキし、グループデートにウキウキするが、二人きりになれば何を話してよいかわからない。このような一昔前の地方都市で過ごす純朴な高校生の青春だから、純粋さが漂っていて、ちょっとした出来事で甘さが匂い立つ。これにキュンとなるのだ。

一方で、現代に生きる朝美は過酷ともいえる忙しい毎日を送っている。そんな彼女が、叔母の日記と、自分の仕事を通して到達するラストは、まさにミラクルだった。出来すぎだとか、展開が唐突すぎるとか、そのように言うかたがいるかもしれない。だけどあえて言おう。とてもいい話だった。最高に面白かった。溢れる幸福感がどっと押し寄せてきて、気持ちよく本を閉じることができた。ベタ甘、最高! お薦めの一冊です。


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五十嵐貴久
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comments

ベタだろうと、冬子さんの恋にはこちらまでキュンとなって、
切なさとか思いのひたむきさとかにグッときてしまいました。
朝美のパートも、爽やかで気持ちの良い読後感でしたね♪

エビノート:2008/04/20(日) 20:52 | URL | [編集]

エビノートさん
ベタは大歓迎でした。このじれったさにキュンときます。
それに今はなき純粋さにキュン。甘酸っぱさにキュン。
冬子さんの青春はいいよね。つうか甘い青春に飢えてるのかも。
朝美のなぜ急に上手く行くんだーというお仕事も、わくわくでした。
これ最高!

しんちゃん:2008/04/20(日) 23:11 | URL | [編集]

こんばんは。
80年代の高校生活を楽しく読んでいたら……、冬子さんと藤城の恋が意外な展開を見せたので、えっ?って思いながら読みました。。
過去と現在がみごとにつながるところも五十嵐さんらしくて、うまいなぁと思いました。
出来すぎだとか、展開が唐突すぎるとか言われるかもしれないけど(笑)、でも、冬子さんと藤城の恋が切なくて、いい話でしたよね。

五十嵐さんのサイン本、ゲットしたんですね。いいなぁ。

mint:2008/04/21(月) 21:10 | URL | [編集]

mintさん、こんにちは。
80年代ならこういうのがあったかもしれませんね。
ああいう差別が根強かっただろうし。
ミラクルは個人的に好きでした。でも少数意見なのかなー。

読んだあとでゲットです。だから未読の本(笑)

しんちゃん:2008/04/22(火) 13:08 | URL | [編集]

 むふふ、べたでしたね。べたべたでした。でも良かったです。(^^

higeru:2008/04/29(火) 22:56 | URL | [編集]

higeruさん
このべたべたがたまんない。
やべえ、よだれが出そう^^;

しんちゃん:2008/04/30(水) 10:56 | URL | [編集]

こんばんは。
お!サイン本じゃないですか。

冬子さんの恋、日常生活は楽しく読めました。
今じゃない昔の、ケータイとかない時代の恋ってなんだかいいですよね。
現在パートがあんまり好きじゃなくって、ミラクルのほうはちょっと引っかかりましたけど…(^_^;)

ちきちき:2008/05/01(木) 20:58 | URL | [編集]

はじめまして。
ベタ大歓迎です。控えめで、じれったいような感じすらしますが、切なくて、なんとも言えずいいですね。
個人的にはこの80年代が舞台というのもよかったです。
伏線が見事に回収されるミラクルも決まって、うまく着地していました。
サイン本、いいですね。羨ましいです。

トラバさせていただきました。よろしくお願いします。

shiba_moto:2008/05/02(金) 11:54 | URL | [編集]

ちきちきさん、こんにちは。
冬子さんのピュアなじれったさに酔いました。
こういうのってキュンとくるんだ。乙女のように(笑)

ミラクルはそういう方がいると想像できました。
辻褄あわせでかなりバタバタしてましたからね。

しんちゃん:2008/05/02(金) 12:21 | URL | [編集]

shiba_motoさん、はじめまして。
おーーっ、ほとんど同じ意見のようですね。
語り合ったら、同じところで意気投合しそう。
早速、shiba_motoさんとこに伺わせてもらいます。

しんちゃん:2008/05/02(金) 12:26 | URL | [編集]

しんちゃん、ヨダレたらしてる(笑)
でも、読んだ後幸福感につつまれる物語でしたね。
冬子さんの物語はあぁ、あの頃ってそういう恋愛だったなぁって懐かしさいっぱい。

なな:2008/06/08(日) 09:13 | URL | [編集]

ななさん
純愛っていいですね。おもわずヨダレがでてしまった。
携帯が普及したから、こういうのってもうないのかな。
甘酸っぱさはいつでもカモンですけど(笑)

しんちゃん:2008/06/08(日) 11:52 | URL | [編集]

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