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    2008

04.26

「チルドレン」伊坂幸太郎

チルドレン (講談社文庫 (い111-1))チルドレン (講談社文庫 (い111-1))
(2007/05/15)
伊坂 幸太郎

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「バンク」「チルドレン」「レトリバー」「チルドレン?」「イン」という、五つの短編集のふりをした長編作品。

大学生の鴨井が、友人の陣内と仙台駅東口にある銀行支店に到着した時には、すでに店のシャッターは降り始めていた。しかし陣内はお構いなしだった。閉まりかけのシャッターと地面の隙間に身体を滑り込ませ、店内に入ってしまった。そこへ銃を持った男が二人、銀行内に飛び込んできたのだ。人質は一人ずつロープで巻かれ、アニメのお面を顔に付けられた。やがて鴨井は、隣にいた盲目の青年から、この事件の推移を示唆される。それが永瀬との出会いだった。「バンク」

「バンク」から十二年後、陣内は家裁調査官になっていた。その後輩にあたる武藤は、マンガを万引きして送致されてきた少年の担当になった。保護者である父親とやってきた木原志朗君は、父親を意識しすぎて何も答えてくれない。その父親もしかり。何かわだかまりがあるように見える親子。結局面接が空振りになってしまったので、来週もう一度、再面接をすることにした。そして陣内から事前に持たされていた文庫本、芥川龍之介の「侏儒の言葉」を読むことを宿題にして、今日のところは終わりにしようとした。「チルドレン」

再び過去に戻り、大学卒業を前にした陣内は、家裁調査官を目指して受験勉強のはずが、レンタルビデオ店でバイトする女の子に交際を申し込み、見事に断られてしまった。優子は恋人の永瀬と盲導犬のベスとともに、陣内の失恋によるリハビリに付き合わされ、仙台駅西口前の高架歩道にあるベンチでたむろしていた。そこへ、俺たちがこの場所に座り始めて二時間が経つのに、不機嫌カップル、鞄男、ヘッドフォン男、読書女、と顔ぶれが変わらず、誰も立ち去らない、と陣内がいい出した。「レトリバー」

「チルドレン」の一年後、家事事件担当になった武藤は、たまたま会った陣内に飲みに行こうと誘われた。行き先は試験観察中の少年が働く居酒屋だった。武藤は現在離婚調停中の夫婦を担当していた。その揉めている夫婦について陣内に相談してみるが…。かつて陣内はこう発言していた。少年の健全な育成とか、平和な家庭生活とか、法律の目的なんて全部嘘。俺たちの目的は、奇跡を起こすことだ。その言葉の通り、陣内のバンドが演奏するライブハウスで、奇跡が起こる「チルドレン?」

「バンク」から一年後、永瀬は鴨井の服を一緒に選んだあと、陣内がデパートの屋上でバイトを始めたと聞き、優子とベスとともにデパートの屋上にやってきた。優子が席を外している間に不審な少女が現れ、続いて陣内が隣に座るが、その気配に気づかなかったし、陣内に懐いているはずのベスが、警戒心を解かないことで不安に襲われる。そして折りについて語られていた、陣内の父親とのわだかまりが、ここで吹っ切られる。「イン」

目線となる鴨居や、永瀬、優子、武藤たちにも魅力はあるが、本書はなんといっても陣内の強烈なパワーがすべてだろう。これは誰の目線で語られようが、主人公は陣内で間違いない。いや、たぶん。これまでの作品に出てきた強烈な個性を持った人物たちを、ギュッとまとめたようなへんてこなヤツだ。

お気に入りのエピソードをひとつ挙げると、盲導犬を連れて立っている永瀬に、見知らぬおばさんが、哀れな者を見る顔でやってきて、お金を手渡して去っていく。その話を聞いた陣内は怒る。善意を押しつけてきたことにではなく、何でおまえがもらえて俺がもらえない、どうしておまえだけ特別扱いなんだよ、と真剣に怒る。とにかく思考の飛び方がまともじゃなくて、周りにいる人たちは大変かもしれないが、なんかすげえカッコいいやつだった。

時系列がバラバラになっているのも、そこにちょっとしたマジックがあって、そこの中心にいるのも陣内だ。銀行強盗犯の脱出ミステリ、家裁調査官を生かしたミステリ、日常系のミステリと、ミステリのジャンルも豊富で、中でもサプライズ的な「チルドレン?」が特に面白く読めた。この作品はすっごく好きだなー。非常にスマートに洗練され、なおかつ、アクの強い陣内が素敵な作品だった。面白かったです。


作品間のリンク
「ラッシュライフ」:お面銀行強盗
「陽気なギャング」:4人銀行強盗
「砂漠」:武藤

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伊坂幸太郎
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comments

しんちゃん こんばんは。
私もこの作品、とっても好きです。
理屈屋で無礼千万な陣内は最高です!!(笑)
伊坂作品はキャラがピカイチですよね~。

naru:2008/04/26(土) 21:13 | URL | [編集]

やっぱりなんと言っても陣内ですよね。
盲導犬の話はいまでも印象に残ってます。

なな:2008/04/26(土) 22:09 | URL | [編集]

しんちゃん☆こんばんは
陣内くんは、強烈なキャラですよね!!
ここに砂漠とのリンクがあったとは、もう一度読み直さなくっちゃね。(^^ゞ

Roko:2008/04/26(土) 23:05 | URL | [編集]

naruさん、こんにちは。
この作品、めっちゃ好きでした。
特に味の濃いキャラがピカイチっすね。

しんちゃん:2008/04/27(日) 12:01 | URL | [編集]

ななさん
陣内の魅力にひっぱられて一気読みでした。
陣内のエピソードといえば、盲導犬の話しかないっしょ。
なんかカッコいいんだよなー。

しんちゃん:2008/04/27(日) 12:03 | URL | [編集]

Rokoさん、こんにちは。
そう、「砂漠」に武藤が出てたみたいですよ。
切り取ってるダ・ヴィンチの伊坂特集に載ってました。

しんちゃん:2008/04/27(日) 12:06 | URL | [編集]

この短編のふりの仕方がまた大好きです。伊坂さんの作品の中でたしか2冊目くらいに読んだんですけど、いまだに一番印象に残っています。

たまねぎ:2008/04/27(日) 16:47 | URL | [編集]

陣内いいですよねー。
盲導犬のエピソードも強烈に記憶に残っているし、
「チルドレン?」だったと思うんですが、
親がかっこよければ子供はぐれないっていうようなセリフも
すごく心に残ってます。

june:2008/04/27(日) 21:25 | URL | [編集]

これ、好きでした~。
陣内はとんでもないやつだと思いつつ、のせられちゃいますね。
鴨居が、何ともいえず可愛そうな感じなのも好きでした。
登場人物がそんなにリンクしていたとは気づきませんでした☆

ia.:2008/04/27(日) 22:05 | URL | [編集]

たまねぎさん
短編のふりが上手かったですね。どこを読んでも陣内が出てくる。
まるで金太郎飴のような作品でした。

しんちゃん:2008/04/28(月) 19:32 | URL | [編集]

juneさん
永瀬の冷静さもいいけど、やっぱ陣内ですよね。
彼の名言集としてもすごく面白かったです。
それにカッコいいよねー。

しんちゃん:2008/04/28(月) 19:37 | URL | [編集]

ia.さん
これ良かったよねー。「ラッシュ」と同じくらい好きでした。
トップバッターだった鴨井ですが、読んでるうちに記憶が薄れていきました。
ちょっと可愛そうなキャラでしたね。哀愁、みたいな。
陽気なギャングの噂が出てきたのには、笑ってしまいました。

しんちゃん:2008/04/28(月) 19:44 | URL | [編集]

しんちゃん~こんばんは!
お伺いするのが遅くなってしまいました。
ごめんなさい。

「チルドレン」は大好きです!特に陣内は素晴らしい。
陣内から学ぶことが多々あってそういう意味でも読んで良かった、と思いました。
先日DVD借りたので映像として楽しめるかどうかドキドキです。

リサ:2008/05/08(木) 00:35 | URL | [編集]

リサさん、こんにちはー。
おーっ、もうDVDが出ていたんだ。
それはチェックしないと、ですね。
映像化はどうなんだろう。成功してるといいんだけど。

しんちゃん:2008/05/08(木) 11:55 | URL | [編集]

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