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    2008

05.06

「モーニング」小路幸也

モーニング Mourningモーニング Mourning
(2008/03/19)
小路 幸也

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慎吾の葬儀が、終わった。涙が、溢れてきた。大声で泣きそうだった。生まれて初めてだ。こんなにも、こんなにも溢れ出してくる嗚咽というものを感じたのは。肩に誰かの大きなぬくもりを感じて顔を上げると、淳平だった。眼を真っ赤にして涙を滲ませながら唇を真一文字に結んでいた。その隣でヒトシが、流れる涙を拭おうともしないで前を見据えながら傍らのワリョウの、今にも膝をつきそうな身体を片手で支えていた。慎吾との最後の別れが、これで終わった。

前を歩くのは私と淳平。その後ろにヒトシとワリョウと、そして慎吾、だった。いつでも皆で歩くときには何故かそういう並びになっていた。大学のキャンパスでも、徹夜で騒いだ後の朝の歩道でも、ライブのときの並び方がそのまま。それが、今日は四人だ。二十年ぶりに揃ったというのに一人足りないんだ――。

四人で一緒に空港から乗ってきたレンタカーを前にして、淳平が言い出した。「俺は一人で、この車で行く。自殺するんだ」と。一体誰が友人の葬儀の帰り道で、その友と同じ時を過ごした友人から自殺するという言葉を聞くなんて想像するだろうか。強引に車に乗り込んだ、かつて四年間を一緒に過ごした仲間たち。これ以上仲間を失いたくない。

淳平はどうしても自殺の理由を言わない。それぞれの帰り場所、金沢と水戸、そして最後に東京に着く前に自殺の理由を言い当てたら、死なないと約束しろ。すると淳平は、言った。「死ぬ理由を思い出してくれたら自殺をやめる」。ということは、オレたちは、その理由を知っていることになる。大学時代の、仲間だ。ひとつ屋根の下、男五人で共同生活した。その四年間を、思い出していく。

この大学時代の回想シーンが抜群にいい。強引に皆を引っ張るヒトシに、場の空気を盛り上げるワリョウ、センスの良さが際立つ淳平に、いるのかいないのかわからない私ことダイ。そして皆にいじられながらも可愛がられる真吾。彼らの一軒家での共同生活。その男五人の暮らしの中に、文字通り咲いた一輪の花のような、淳平が愛した、そして皆が愛したただ一人の女性。当時で二十四歳のOLだった緒川茜さん。彼女を加えた、六人の男女で過ごした青春が素晴らしかった。そこには切なさや残酷さもある。しかし、心底から仲間を思いやる優しさや、共に抱える憤りもある。あえて説明を省くが、中島宏への報復はいけないことだろうが、彼らのしたことを責められないと思った。

しかし、ネタバレを避けて触れるのは難しいが、自殺うんぬんや同級生コンビのあんなことは、別になくても良かったような気がした。このように思ったのは自分だけだろうか。だけど、最後は読んでいて泣きそうになったし、自分の学生時代がとにかく懐かしくなり、友達と馬鹿なことをたくさんしたことを思い出した。ノスタルジックに浸れて、小路ワールドが堪能できた作品だった。

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小路幸也
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comments

私はしょっぱなから、涙腺やられました。
大学時代の回想シーンはいいですよね~。
お花見とか楽しそう!!
でも、ラストの真相にはびっくり。
私も「自殺うんぬんや同級生コンビのあんなこと」
はいらん気がします。

naru:2008/05/06(火) 22:35 | URL | [編集]

naruさん
今回は小路さんらしい作品でしたね。
学生時代の回想シーンは抜群に良かったです。
そこに変な理由が付随するのは、なんだかなーでしたが。

しんちゃん:2008/05/07(水) 10:25 | URL | [編集]

大学時代のエピソードが良かっただけに、もっとうまい使い方?があったような気もしなくはないですね~。
でもそれにしてもあの共同生活も、ロングドライブもうらやましいです!

ちきちき:2008/05/10(土) 20:27 | URL | [編集]

ちきちきさん
ちょっと引っかかる部分がありましたね。
だけど、本来の小路さんらしい作品で満足しました。
こういう共同生活とか仲間って憧れます。

しんちゃん:2008/05/11(日) 11:43 | URL | [編集]

私も、なにもそんな設定に、とは思ったんですよ、最初。でも、よ~く考えると、淳平があんなことを言ってまでみんなで真吾の弔いをしたかった理由が、なるほど!だからか、って納得したので、あまり引っかからなかったんですけど、それよりも茜さんの過去の方がちょいと陳腐な展開だったな~と思ってしまいました。

じゃじゃまま:2008/06/07(土) 22:49 | URL | [編集]

じゃじゃままさん
ちょっと引っかかる部分はありましたが、これは良かったです。
久しぶりに小路さんらしい作品だと思いました。
ところで、茜さんの過去って…、忘れてしまった(汗)

しんちゃん:2008/06/08(日) 11:42 | URL | [編集]

自殺を言い出した動機は、わからなくはないのだけれど
「同級生のあんなこと」は、わたしもなにかもっとほかになかったのかなぁ・・・と思いました。
差別になってしまうのかもしれないけれど、せっかくのいい気分にほんの少しばかり水を指された心地でした。

ふらっと:2008/06/17(火) 06:41 | URL | [編集]

ふらっとさん
ですよねぇ。こういうのは少し気が滅入ります。
それに加えて、自殺うんぬんは大人気ない、と自分は思いました。

しんちゃん:2008/06/17(火) 11:14 | URL | [編集]

学生時代の回想部分が良かったですね~。
私も友だちと今思えばとんでもないことをやらかした思い出とか、自然に浮かんできちゃいました。
ひっかかった部分、同じでした~。同級生のあんなことは、唐突でえ?ってなっちゃいました。

エビノート:2008/06/17(火) 20:57 | URL | [編集]

エビノートさん
夜中に騒いだり、朝まで語りあったりと、あの頃をいっぱい思い出しました。
それと、あそこは引っかかりますよね!あれはもやっとしちゃいますよ。

しんちゃん:2008/06/18(水) 09:39 | URL | [編集]

大学時代ってよかったなあとなつかしくなりました。
中島宏への報復はいけないことでしょうが、友達思いの証であると思いました。

花:2008/07/12(土) 19:02 | URL | [編集]

花さん
こういう仲間でわいわいってありましたよね。
そういうモロモロなことをいっぱい思い出しました。
報復は肯定派でした(笑)

しんちゃん:2008/07/13(日) 11:50 | URL | [編集]

大学時代の生活。すごく楽しそうでしたね。
>同級生コンビのあんなこと
私もこれは全く必要なかったんじゃ…って思いました。

なな:2008/08/07(木) 06:56 | URL | [編集]

ななさん
楽しそうでしたね。こちらまであの頃を思い出しました。
そして、あれはいらんよね。ななさん握手です。^^

しんちゃん:2008/08/07(木) 12:37 | URL | [編集]

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