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    2008

05.11

「グラスホッパー」伊坂幸太郎

グラスホッパー (角川文庫 い 59-1)グラスホッパー (角川文庫 い 59-1)
(2007/06)
伊坂 幸太郎

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鈴木は教師という職業を捨て、怪しげな?令嬢?に勤め、何らかの薬物ではないかと思いながらも、一ヶ月もの間それを女性に売り続けたのは、すべて、妻の復讐のためだった。令嬢の社長である寺原の長男に妻を轢き殺されていたのだ。ところが令嬢には、鈴木と同じような目的で潜入してくる人間が多く、ただの社員か、それとも復讐者なのか、それを確かめるためのテストがあった。若いカップルを殺せ。鈴木は幹部社員である比与子からそう命じられた。その鈴木のテストを見届けるために寺原長男がやって来るが、目前で何者かに押されて、車にあっけなく撥ねられて死んでしまう。どうやら押し屋と呼ばれる殺し屋がいるそうだ。その押し屋を追うように比与子から命じられ、鈴木は押し屋を尾行し始める。

身長百九十センチ、体重九十キロの身体から、鯨と呼ばれる殺し屋がいた。彼には変な能力があった。物理的な恐怖ではないのだが、彼を前にしていると、どこか絶望的な気持ちになる。その自殺を強要する能力で、三十三人目の対象者に語りかけ、相手が自ら死を選ぶように仕向けて自殺させる。その後、以前殺した亡霊にささやかれながら室内の確認をしていたところ、窓ガラス越しに偶然、押し屋が寺原長男を殺す場面を目撃する。実は鯨には押し屋に先を越されて対象者を殺されたという過去の負い目があった。その自らの悔恨を清算して、仕事をやめとうと鯨は考える。

みんみんとうるさくしゃべることから蝉と呼ばれるナイフ使いの殺し屋がいた。鯨に殺しを依頼した政治家が、自分が雇った鯨を信頼できなくなり、上司の岩西という男を通して、鯨を始末するように蝉は依頼されていた。その岩西は仕事を引き受けるだけで、労働は蝉ひとり。報酬を搾取された上に、岩西に使われていることを不満に感じていた蝉は、令嬢が組織を挙げて押し屋を捜していることを知り、押し屋を殺した男として名を上げようと考える。

押し屋、自殺屋、ナイフ使いという三人の殺し屋、非合法な組織の令嬢と、悪者ばかりが登場して、とにかく人がたくさん死ぬ。しかし、鯨を除いて、暗さというものをあまり感じなかった。油断だらけでお人好しな鈴木もそうだし、底抜けに明るい蝉もそうだし、あばずれぶりがムカツク比与子にしても、負のイメージが少ない。特に蝉と岩西は、悪者なのにカッコよくまで思えてしまう魅力があり、個人的に彼らはお気に入りのキャラだった。実際にナイフを振り回す若者がいたら怖いけど。それに、鈴木と亡くなった妻との会話も微笑ましいし、健太郎と孝次郎の兄弟も萌えさせる。

三つのストーリーが平行しながら交互に展開していくのもテンポが良く、殺害シーンは綿密すぎる描写でうへーだが、人物たちの会話文が軽妙で、どこか洒落た雰囲気が全体的にあって、すいすい読むことができた。伊坂作品としては異色の部類になる本書だが、こういうスタイリッシュなハードボイルドは好きかも。


作品間リンク
「魔王」:ガブリエル・カッソ
「陽気なギャングの日常と襲撃」:ガブリエル・カッソ
「オーデュポンの祈り」:神様のレシピとカカシ
「フィッシュストーリー」:ジャック・クリスピン

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伊坂幸太郎
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comments

ガブリエル・カッソのリンクって思いだせません。てか、ガブリエル・カッソって何?状態です(汗)。
あと、「魔王」に「グラスホッパー」というカクテルが出てきました。これもリンクでしょうか。

june:2008/05/11(日) 23:48 | URL | [編集]

juneさん
たぶんですが架空の映画監督の名前ですね。
蝉がその監督の映画を観て強い啓示を受ける、という場面がありました。
「グラスホッパー」はわかんない。
雑誌による伊坂特集の受け売りですから(笑)

しんちゃん:2008/05/12(月) 12:17 | URL | [編集]

作品間のリンク、マニアックですね~
そういえば、こういう名前、出てきてたような・・・(記憶があやふや)
伊坂作品のお楽しみプレゼントですね。

EKKO:2008/05/14(水) 07:14 | URL | [編集]

EKKOさん
前もってキーワードをチェックしておかないと見逃してしまう。
そんな細かい遊びが伊坂作品にはありますよね。

しんちゃん:2008/05/14(水) 11:20 | URL | [編集]

健太郎と孝次郎の兄弟良かったですね~。
一服の清涼剤みたいな感覚でした。
個性的で癖のある登場人物がたくさんで印象深かったですが、実際にいたら怖いなぁ~押し屋、自殺屋、ナイフ使い(>_<)
漫画版「魔王」は、「グラスホッパー」の世界と融合しあってるみたいで、どんな展開になるのか個人的に楽しみにしてたりします。

エビノート:2008/05/17(土) 20:55 | URL | [編集]

エビノートさん
その兄弟には萌えました。かわいかったー。
漫画版「魔王」はまったくノーマークでした。
ええっ、これと融合?? 私、気になります。

しんちゃん:2008/05/17(土) 22:52 | URL | [編集]

この作品のテンポの良さは、伊坂作品の中でも上位に来ると思います。
三つのストーリーがそれぞれ動き出し、やがてぶつかっていく様は、伊坂さんの真骨頂ですね☆
押し屋の家族たちが実はスパイだったのにも一杯食わされました^^
トラックバック送らせて頂きます♪

はまかぜ:2008/10/13(月) 08:48 | URL | [編集]

はまかぜさん
さすが伊坂って感じの構成力でしたね。こういった系統の作品は好きです。
ただ、殺害シーンだけは苦手でした。血を見ると貧血するタイプなので^^;

しんちゃん:2008/10/13(月) 19:43 | URL | [編集]

こんにちは。
本当に殺し屋小説でしたね。でも、人間味があふれてる殺し屋で、かなり引き込まれました。
3人が交互に語っていくのも、いい構成だわ~、と思います。

伊坂さんの小説はいろんなところでつながっているみたいですね。キーワード、忘れないようにしなくては!

たかこ:2009/07/04(土) 11:05 | URL | [編集]

たかこさん
殺し屋でもタイプの違いが面白かったですねえ。
作品構成は「ラシュ」に近かったような記憶があります。
こういうパズラーは、最後のピースがはまる瞬間に快感がありますね。

しんちゃん:2009/07/04(土) 18:13 | URL | [編集]

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