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    2008

05.17

「ボトルネック」米澤穂信

ボトルネックボトルネック
(2006/08/30)
米澤 穂信

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兄が死んだと聞いたとき、ぼくは恋したひとを、弔っていた。諏訪ノゾミは二年前に死んだ。ここ東尋坊で、崖から落ちて。ノゾミの事故の原因は、この強風だと聞いていた。そのとき、風に乗って、不意にどこからか、かすれ声が聞こえた(おいで、嵯峨野くん)……その瞬間。強い眩暈がぼくを襲った。天地が逆転したように、平衡感覚が狂う。落ちた、とぼくは思った。

気がつけば見慣れた金沢市内にいる。東尋坊からの復路の切符が残っているのに、自分はどうやら金沢市の浅野川のほとりで、ベンチに横になっていたらしい。ぼくは考える。夢にしてはおかしい。東尋坊に行ったことは間違いないようだ。ところが憶えもないのに金沢に戻っている。不可解な想いを胸に自宅へ戻ると、存在しないはずの「姉」に出迎えられた。

二つの可能世界が交わった。それもどうやら単に合流したわけじゃなくて、ぼくの生まれなかった世界に転がり込んでしまったらしい。天真爛漫で、ちょっと馬鹿っぽいけれど、楽しそうで、おせっかいな「姉」のサキ。「弟」のリョウはサキの提案で、二つの世界の間違い探しをすることになった。

家のリビングルームで。そして不仲の両親のこと。街に出ればアクセサリ屋が残っていたり、うどん屋の爺さんが元気だったり、それから、死んだはずのノゾミが生きていたり――。こちら側とあちら側での違いの理由をたどると、そこには必ずサキがいた。そしてノゾミの死の真相が明らかになって…。

これはすごく面白かった。他のブロガーさんのところで拝見していたので、ラストに問題があることは薄々知っていた。よって、覚悟はしていたけれど、こういう終わり方は個人的に好きだ。ご都合で救済されるよりも、とことんまで突き放してくれると、そこに作者の潔さを感じてしまうのだ。だから、他の方たちのように、重苦しくて辛いとか、気が滅入ったということはなかった。ラストに救いが欲しいとも思わなかった。やってくれたなあ、というのが正直な感想かな。むしろ、最後のメールの一文には、賞賛の言葉をあげたくなってしまった。こういうのはたぶん、極がつくぐらい少数意見だろうけど。

それに、サキの明るさに惹かれたし、リョウの無気力さというかダメさに、妙に共感してしまった。こういった、ネガティブな思考の人物に対して魅力を感じてしまう傾向が、自分にはある。同じようなタイプかと言えば、まったく違って能天気だし、思いつめることもない。だけど、何故かしっくりきてしまう。潜在的になにかあるのかもしれないが。

これまで読んだ米澤先品の中で、マイベストに位置する作品だった。こういうヘンテコな意見があってもいいだろう。人にはお薦めはしにくいが、これは傑作だと思った。この意見に賛同する方って、……少ないだろうなあ。

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米澤穂信
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comments

これを読んで、私は結構長いことどよよんとした気持ちをひきずってしまいました。
それにしてもなるほど、こういう見方もあるのですね・・。たしかにとことんまで突き放してます。
自分にネガティブなところがあるから、嫌なのかも。

june:2008/05/17(土) 21:38 | URL | [編集]

打ちのめされてしまってしばらく立ち直れなかったんです。
でも、こういう作品を書いた作家の潔さという意見にはなるほどなぁと思いました。
とことんまで突き放してるからこそ、いつまでたっても忘れられない一冊になってるんだと思います。

エビノート:2008/05/17(土) 22:09 | URL | [編集]

しんちゃん☆こんばんは
わたしにとっては、この物語はさほど暗い話じゃなかったんです。
それは、ここまでショックを受ければ、きっと彼の人生は変わるだろうって思えたから。
わたしって、楽観的なのかなぁ?

Roko:2008/05/18(日) 00:49 | URL | [編集]

juneさん
多くの方がドン底に落ちたようですね。
自分は黒琴線に触れて最高!ってなりました。
めずらしいタイプなのかも。

しんちゃん:2008/05/18(日) 11:46 | URL | [編集]

エビノートさん
突き放してくれる潔さにあっぱれでした。
受け止め方は違いますが、これは印象に残るよね。
こういうのをまた読みたいと思いました。いらねえって?(笑)

しんちゃん:2008/05/18(日) 11:50 | URL | [編集]

Rokoさん、こんにちは。
えっ、彼の人生は変わったのでしょうか??
あのままダイブしたように自分は受けましたけど。
母に背中を押されてエイって…。違ったのかな。
すでに手元に本がないので確かめることができませんが。

しんちゃん:2008/05/18(日) 11:55 | URL | [編集]

こんばんは。
衝撃的な本ですよね。
こんなんでええのか?って思ってしまいました。
しんちゃんとはちょっと違う見方な気がしますが、私もこのラスト結構好きです。

ちきちき:2008/05/18(日) 21:55 | URL | [編集]

ちきちきさん、こんにちは。
米澤さんにこんな一面があったのですね。
やってくれたー、と大はしゃぎです。
ラストはぞくっときましたね。

しんちゃん:2008/05/19(月) 12:23 | URL | [編集]

読み終わって「うわ~」とは思ったのですが
でも、すごく記憶に残ってる。
そして「ボトルネック」って言葉を聞くたびに
この物語を思い出すんです。

なな:2008/05/19(月) 16:06 | URL | [編集]

ななさん
悪い方のうわ~ですね。賛否があるのはわかります。
でも、こんなのは好きなのよ。ああっ、快感。

しんちゃん:2008/05/20(火) 11:40 | URL | [編集]

しんちゃん~こちらにもTBさせてくださいね。
やっぱりしんちゃんとは好みが似ているようです(*^-^*)
感想がほとんど同じですもの~。
米澤さんだからこそこの作品は衝撃であり、意外であり、そこが賞賛されるべきところなんですよね。
この作品のトーンを考えればあのラストは自然な流れですもの、難なく受け入れました。
傑作です。

リサ:2008/05/20(火) 22:04 | URL | [編集]

リサさん
感想が似てましたか。少数意見だと思っていたので、同じ意見は嬉しいっす。
しかも、思ったことをすべて言ってくれてるし(笑)
早速、伺わせてもらいまーす♪

しんちゃん:2008/05/21(水) 11:27 | URL | [編集]

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