--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2008

05.21

「死神の精度」伊坂幸太郎

死神の精度 (文春文庫 (い70-1))死神の精度 (文春文庫 (い70-1))
(2008/02/08)
伊坂 幸太郎

商品詳細を見る

私は、人間の死についてさほど興味がない。人の死には意味がなく、価値もない。どの人間がいつ死のうが関係なかった。けれど、それにもかかわらず、人の死を見定めるためにわざわざ出向いてくる。なぜか? 仕事だからだ。

主人公は千葉と名乗る死神で、調査員として人間の世界に派遣されてきた。その調査とは、対象者となった人間を一週間にわたって観察し、「可」もしくは「見送り」と、「死」を実行するのに適しているかどうかを判断して、担当部署に報告を行う。しかも、その判断基準は個人の裁量に任せられているので、この調査制度は儀式的なものに近く、よほどのことがない限りは「可」の報告をする。

その結果が「可」である場合、その翌日、つまり八日目に、「死」が実行される。その実行を見届けて、仕事を終了したことになる。それが、死神の仕事だ。死神の千葉が関わる「死神の精度」「死神と藤田」「吹雪に死神」「恋愛で死神」「旅路を死神」「死神対老女」の6編を収録。

「死神の精度」
大手電機メーカーの苦情処理を担当しているぱっとしない女性、藤木一恵。負を醸し出す彼女には、自分を指名してまでクレームをしてくる常連クレーマーがいた。そのクレーマーが、彼女に会いたいと言ってきた。

「死神と藤田」
栗木という男を探している任侠の男、ヤクザの藤田。兄貴分を殺されたことに怒る藤田の側には、憧れの藤田を守りたい、だが、上から藤田の監視を命じられていることに揺れている舎弟の阿久津がいた。

「吹雪に死神」
吹雪で閉ざされた洋館で次々と人が死んでいく。招待状によって招かれた宿泊客の何人かは、すでに、同僚によって「可」の報告が出ていた。一緒に来ていた旦那がすでに殺されていた田村聡江が、今回の調査対象者だった。

「恋愛で死神」
八日目、荻原が血を流して無事に死ぬのを見届けた。ブティックで働く荻原は、向かいのマンションに住んでいる古川朝美に片思いをしていた。その恋が始りだした彼女のマンションの部屋内で、荻原は死んだ。

「旅路を死神」
喧嘩の末に人を刺し殺した森岡耕介が、ナイフを見せびらかすようにして、千葉の待つ車に飛び乗ってきた。森岡はその殺人以前に、母親をナイフで傷つけていた。逃走中の殺人者を乗せた車は、北へと向かって走りだす。

「死神対老女」
人間じゃないんでしょ。浜辺で美容室を営む老女にそう語りかけられた。そして老女はこうも言った。わたしが死ぬのを、見に来たんでしょ。その老女に、街の若者を四人くらい見つけて、明後日に店へ来るように声をかけて欲しい、とお願いされた。

これまでの伊坂作品とずいぶん趣の違う作品だ。一言でいうとシュール。苗字が町や市の名前で、CDショップの試聴コーナーから立ち去ろうとせずに、受け答えが微妙にずれていて、素手で人間の身体に触れると人間は気絶してしまう。そして、仕事をするといつも雨に見舞われる。そんな死神に取り憑かれた、六人の人間たちの人生を描いた作品であり、人間とは?といった漠然とした疑問を投げかけた作品だ。

個人的には、兄貴は特別という信仰に燃える舎弟がいい感じの「死神と藤田」、クローズドサークルに死神が挑む「吹雪に死神」、切なくもピュアな想いがあふれる「恋愛で死神」、最後に上手さが光る「死神対老女」が好きだった。この作品は、続編に繋げやすそうに思えた。そう思ったのは自分だけではないはず。この願いが、伊坂幸太郎に届くといいのに。


作品間リンク
「魔王」:千葉
「アヒルと鴨~」:春

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

伊坂幸太郎
トラックバック(13)  コメント(14) 

Next |  Back

comments

伊坂さんが書くと、死神もこんな風になっちゃうんですね。千葉さん絶妙でした。
これ、続編があってもよさそうですよね。でも作品間リンクで、お馴染みのキャラと千葉さんが出会ってしまったりしたら困るんだよなぁ・・。

june:2008/05/21(水) 16:10 | URL | [編集]

juneさん
「魔王」で千葉と出会っちゃいましたね。
たしかに主人公が死ぬのはつらかったです。
だから、リンクなしで続編になってもらわなくては。

しんちゃん:2008/05/22(木) 11:39 | URL | [編集]

そうなんですよね~千葉さんの再登場を願いつつ、単なるリンクだとちょっと複雑な気持ちになっちゃうんです。
これは続編にしてもらわなくっちゃ困っちゃいます。
ずれてるようで、真理をついている千葉の発言がとっても良かったです。

エビノート:2008/05/22(木) 20:34 | URL | [編集]

こんばんは。
千葉のとぼけた感じが大好きでした。
千葉さんなら目の前に現れてくれてもいいかも…
でもって「見送り」にしてくれたらなおいいけど。

なな:2008/05/22(木) 20:43 | URL | [編集]

本当に届いて欲しいです。映画にあわせて文庫化なら、DVDにあわせて続編を。どうでしょう文春さん。

たまねぎ:2008/05/22(木) 22:37 | URL | [編集]

エビノートさん
黒澤と千葉の出会いはバッドですよね。
リンクは嬉しいけれど、千葉だけは複雑~。
やっぱ続編っすよ。絶対に。

しんちゃん:2008/05/23(金) 11:37 | URL | [編集]

ななさん
音楽好きってところが可愛らしかったですね。
噛み合わない会話が大好きでした。
目の前に現れて…、えー!マジすか。

しんちゃん:2008/05/23(金) 11:40 | URL | [編集]

たまねぎさん
「魔王」が続編になるんだから、これもありですよね。
続編にな~れ!

しんちゃん:2008/05/23(金) 11:41 | URL | [編集]

これは映画も気になってたの。
でも小説もひとつひとつ区切りがあるなら
今読めそうだわ!!
買ってみよっかな(^^)

まる:2008/05/27(火) 17:25 | URL | [編集]

まるさん
ひとつひとつが独立した連作短編集です。
だから、忙しくっても読めると思いますよ。
ぜひぜひ。

しんちゃん:2008/05/28(水) 11:42 | URL | [編集]

こんにちは。
この作品はたしかに、シュールな感じですね。
私も「死神と藤田」が印象に残っています。
微妙にずれた受け答えも面白かったです。
続編が出てほしい作品ですね^^
TBさせて頂きます♪

はまかぜ:2009/03/19(木) 12:43 | URL | [編集]

はまかぜさん、こんにちは。
こういうシュールな作品はめずらしいですよね。
死神のズレもツボにはまって楽しかったです。
続編はあって欲しいな~。

しんちゃん:2009/03/20(金) 17:29 | URL | [編集]

こんにちは。
「恋愛で死神」できゅんとして、「死神対老女」でうわぁ!やられた、と思いました。
死神のキャラが好きです~ ^m^

たかこ:2009/07/08(水) 13:55 | URL | [編集]

たかこさん
死神、浮世離れしてましたね~!キャラの造形はさすがって感じでした。
内容は、……よく覚えちゃいない。おい^^;

しんちゃん:2009/07/08(水) 18:29 | URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

死神の精度


死神の精度 伊坂幸太郎 「死神」というキャラクターと伊坂節がマッチしているし、任侠もの、恋愛もの、ロードムービー、本格ミステリー風と、何でもありのバラエティーに富んだ内容で、楽しませてもらいました。おもしろかったです。伊坂さんの語り口とあわせて気持ち...

2008/05/21(水) 16:10 | 本のある生活

伊坂幸太郎【死神の精度】


彼が仕事をするときは必ず雨が降る。仕事の合間にCDショップへ行き、試聴機で大好きな音楽を聴く。 対象者を一週間のあいだ調査し、その死...

2008/05/21(水) 16:23 | ぱんどらの本箱

『死神の精度』 伊坂幸太郎 文藝春秋


死神の精度 死神が主人公という6編の連作短編集。 対象となった人物の死の審査を「可」か「見送り」かを見極めるため、その対象人物ごとに人物設定を変えながらその人物に近づく死神…。 容姿は変えるのに何故か名前はいつも千葉。特に人間の生死にも生き方にも興...

2008/05/21(水) 21:54 | みかんのReading Diary♪

死神の精度  伊坂幸太郎


死神のイメージといえば大きな鎌を持って、黒くてボロボロのコートにフードを深くかぶる。 なんていうのを、恐らく多くの人が真っ先に浮かべるのではないのでしょうか? ところがそれは大きな誤解だったのです。 彼らはそのつど接触する対象に合わせて年齢や容姿を...

2008/05/22(木) 00:35 | 今更なんですがの本の話

○「死神の精度」 伊坂幸太郎 文藝春秋 1500円 2005/6


 長すぎるショートショートというのが第一印象。そして伊坂流伊坂節にもこれといって見所がなく、結論的には物足りない一冊だったのである。  まあ、伊坂幸太郎は、それほど期待の作家だし、普通の作家だったら高評価をもらえる作品でも“物足らない”の一言で評価ラ...

2008/05/22(木) 09:46 | 「本のことども」by聖月

死神の精度〔伊坂幸太郎〕


ある時は恋愛小説風に、ある時はロード・ノベル風に、ある時は本格推理風に…… 様々なスタイルで語られる、死神の見た6つの人間模様。 (紀伊國屋書店HPより)

2008/05/22(木) 20:30 | まったり読書日記

「死神の精度」伊坂幸太郎


死神の精度 主人公は死神。情報部から与えられた名前は「千葉」。7日間対象となる人を観察し「可」もしくは「見送り」を報告する。「可」と判断された人は8日目に亡くなる。 死神の「千葉」が担当する6人のお話。基本は行動をともにして、話を聞き、そして決断...

2008/05/22(木) 20:44 | ナナメモ

死神の精度/伊坂幸太郎


死神の精度 (文春文庫 (い70-1))/伊坂 幸太郎¥550Amazon.co.jp 【死神は雨とともに現れる──彼の7日間の調査で対象者の生死が決まる。 様々なスタイルで語られる6人の人生。人気作家の傑作短篇集 (1)CDショップに入りびたり (2)苗字が町や市の名前

2008/05/27(火) 14:03 | 狭間の広場

『死神の精度』伊坂幸太郎


死神の精度 伊坂 幸太郎 2005年 文藝春秋 ★★★★★ そう言えば、くだんの床屋の主人は、「死ぬのが怖い」と言ったこともあった。私はそれに対して、「生まれてくる前のことを覚えているのか?」と質問をした。「生まれてくる前、怖かったか?痛かったか?」 「い...

2008/06/02(月) 22:39 | ほんだらけ

『死神の精度』伊坂幸太郎


死神の精度 伊坂 幸太郎 2005年 文藝春秋 ★★★★★ そう言えば、くだんの床屋の主人は、「死ぬのが怖い」と言ったこともあった。私はそれに対して、「生まれてくる前のことを覚えているのか?」と質問をした。「生まれてくる前、怖かったか?痛かったか?」 「い...

2008/06/21(土) 20:04 | ほんだらけ

「死神の精度」


今回ご紹介するのは「死神の精度」(著:伊坂幸太郎)です。 -----内容----- ?CDショップに入りびたり ?苗字が町や市の名前であり ?受け答えが微妙にずれていて ?素手で他人に触ろうとしない そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。 一週間の調査ののち、対象...

2009/03/19(木) 12:41 | 読書日和

死神の精度 / 伊坂幸太郎


死神の精度伊坂 幸太郎文藝春秋 2005-06-28売り上げランキング : 47341おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools またしても伊坂さん。今度は死神のお話。一応短編集。 この死神のキャラがすごくいい。人間ばなれした(あたり前?)感覚がとってもいい味を出してい...

2009/07/08(水) 14:04 | たかこの記憶領域

死神の精度<伊坂幸太郎>-本:2010-31-


死神の精度クチコミを見る # 出版社: 文藝春秋 (2005/6/28) # ISBN-10: 4163239804 評価:80点 5年も前の小説とは知らなかった。 しかもラジオドラマ化、映画化(金城武主演)、舞台化までされているなんて。 確かに完ぺきに出来上がった、洗練された構成。 死神と人...

2010/08/29(日) 18:15 | デコ親父はいつも減量中

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。