--

--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

スポンサー広告
トラックバック(-)  コメント(-) 

    2008

05.25

「夏の階段」梨屋アリエ

夏の階段 (teens’ best selections 13)夏の階段 (teens’ best selections 13)
(2008/03)
梨屋 アリエ

商品詳細を見る

好きだからこそ、線を引く。嫌われないよう、線を引く。希望に胸ふくらませて入学した高校。でも新しいクラスメイトとは、まだまだ微妙な関係で―――。地方都市の進学校・巴波川高校、通称ウズ高を舞台に、5人の高校生が織りなす、恋と友情、未来への葛藤。ほんのり甘く切ない5つの連作短編集。《出版社より》

「夏の階段」玉木崇音
たくさん勉強していれば、人より多くのことを学び、だれよりも早く大人になれるのだとおれは信じている。おれが早く大人になってしまえば、あの二人は早く親の役目を終えて、安心して離婚できるのではないか、と思っていた。夏期講習からの帰り道、八段ほどの階段と出会った。のぼりつめたところに、あるべきものがなにもなく、まったくの中空なのだ。そこでクラスメイトの遠藤と、階段から見える黄色い家に住むおばあさんと出会う。

「春の電車」緑川千映見
中学を卒業して、高校に入学した。学校に慣れて新しい友達ができるまでは「仮」の友達だから、なにをするにもまずは相手の様子をうかがい合ってしまう。ミーコやキョンちゃんやマサミィと過ごした日々を、懐かしく思い返さずにいられない。まずは、友達を作らねば……。教室内の人間関係が落ち着いてきた頃、わたしは遠藤さんとお昼休みにお弁当を食べる仲になっていた。入学式の日に、玉木くんのことを聞いてきた女の子だ。

「月の望塩」福田和磨
ぼくはクラスメイトの緑川千映見が玉木崇音の横顔を見つめているときの、透明なまっすぐさが好きだった。ぼくから見れば、緑川千映見は確実に、玉木崇音という男に恋を……片思いをしているのだった。ボケナス玉木のほうはまったく視線に気づいていない。ぼくは緑川の視線の先を追い、緑川と同じように玉木の姿を見た。玉木が目で追っていたのは、男子にちょっかいを出している遠藤珠生の姿だった。

「雲の規格」河野健治
小さかった頃、オレは時々スーパーヒーローになっていた。成長とともにオレには友達がいたし、女子にも好まれる容姿だったし、小器用でセンスもよく、勉強もスポーツも苦労なくできた。友人として二人でつるむ福田から緑川にフラレタと聞き、その緑川から相談を持ちかけられた。オレは女子個人ではなく、女子の群が大好きなのだ。福田のように一人の女子を好きになるなんて無理な話。ってことはモテ男のオレは、あいつに負けているのか?

「雨の屋上」遠藤珠生
わたしは誰にでもなれなれしく接する図太さを備えた分、特定の人とべったり深く付き合うことには窒息するのです。好きだからこそ、線を引く。嫌いにならないよう、嫌われないよう、線を引く。緑川さんは何かでそれを察して、この不思議な距離感を保ってくれているのかもしれません。ですます調ではなく、キャピッとしゃべるのは、相手に不愉快な印象を与えないためのハイテンション偽装です。わたしは、みんなに好かれる人間になりたいのです。

同じ時期をリレー方式による五人の目線で語られていく。彼らにはいろんな悩みや葛藤がある。クラスメイトをこんな目線で見ているという内面もある。しかし、目線の人物が変わることで、他の人は誤解や思い込みをしていることが明らかになる、といった皮肉的な面白さがここにある。自分のことをわかってくれない。でも言葉にして伝えることができない。そんな一方で、自分も相手をわかろうとしない。純粋で、不安定で、未熟だけど瑞々しい。そして、繊細さがもどかしさを生む。自分にもこういった年代があったと懐かしさを思い出した。青春の1ページかぁ。

ポチッとお願いします。その一つが励みになります。 にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

梨屋アリエ
トラックバック(2)  コメント(0) 

Next |  Back

comments

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可
trackback
この記事のトラックバックURL

■『夏の階段』(※10代)


“好きだからこそ、線を引く。  嫌いにならないよう、嫌われないよう、線を引く。”  ピュアフル文庫に収録されていた短編を集めたもの。  同じ高校に通うクラスメートの連作短編集になってます。  それぞれが向かう視線ってのがたまりません。  マンガとかアニメ

2008/05/27(火) 00:16 | 本うらら

「夏の階段」梨屋アリエ


夏の階段 (teens’ best selections)クチコミを見る 進学校に通う男子3人と女子2人の5人が語るそれぞれの胸のうち。家族のことや勉強のこと、将来や友達との距離について悩んだりするのが切なかったり痛かったりするのだけれど、それがまた青春だなぁという感じで、...

2009/10/08(木) 19:08 | 本のある生活

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。