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    2008

06.11

「幽霊人命救助隊」高野和明

幽霊人命救助隊 (文春文庫 た 65-1)幽霊人命救助隊 (文春文庫 た 65-1)
(2007/04)
高野 和明

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浪人生の高岡裕一は、奇妙な断崖の上で三人の男女に出会った。スタミナあふれる老ヤクザの八木、気弱な会社経営者の市川、投げやりでプータローの安西美晴。彼らは全員自殺者だった。裕一もまた、首を吊って死んでいた。そこへ神があらわれ、ここは天国と地上の中間点で、馬鹿な死に方をしたために、天国に行きそびれたのだと言う。そして諸君らに天国行きのチャンスを与えてやるから、自殺をしようとする人間の命を救え。地上の時間で七週間。ノルマは百人の命。粗末にした命の償いをしろと命令する。一同がうなずくと、神は出陣じゃと言いながら、彼らの背中を断崖から突き落とし出す。

こうして真っ逆さまに落下して地上に戻った彼らは、まず自分たちの服装が変わっているのに気づいた。蛍光色のオレンジ色のジャンプスーツに、兵隊が履くような黒い編み上げのブーツ。腰に巻かれた作業ベルトには、五つの道具袋が機能的に装着されている。おそろいのユニフォームの背中を見ると、目にも鮮やかな白の抜き文字で、「RESCUE」とあった。レスキュー――それは救援隊の意味だ。再び地上に降りたった幽霊たちが繰り広げる救助作戦が始まった。

自殺者が判断できるゴーグルを付け、救助対象者が見つかると意識に入り込む。モニターすることで彼らの精神の変調、常軌を逸した思考、死の誘惑など、苦しい胸の内をまざまざと見せ付けられる。そして、自殺を思い留まらせようと、言葉を届けるメガホンを通して説得、応援、あらゆる手段を講じていく。この救済方法が、ダサくてアホらしくて良かった。

それに幽霊になった四人の死んだ時期が微妙にずれていて、彼らの死んだ年代のまま、使う言葉も、世間の風潮も、常識も、そこでストップしている。だから年代間によるギャップが生じている。よって彼らの会話の中に、ナウいな、チョベリバ、そんなバナナ、といった死語がぽんぽん飛び出し、それがツボに嵌まってしまって、ときたま吹き出してしまった。

マンガ的な分かりやすさでおもしろい。でもその反面でしんどさもある。救助対象者をモニターして出てくるのは、自殺を思うまでに至った寂しさ、絶望、生きる苦労、イジメ、自己嫌悪、借金苦、鬱などだ。言葉にすると、なんてことないように思うかもしれないが、精神的に狂ってしまった感情のオンパレードで、これら負の心理ばかりを読まされると、さすがにこちらまで気持ちがどん底に落ちてくる。

だけど、そんな苦しい場面も救助隊の必死の攻防で救われる。そしてまた、四人の死語がまじったずれた会話に戻り、新たな救助対象者を見つけようと、人の集まる場所へ行く。そう、これは連作短編の形式をとった長編作品なのだ。約600ページに及ぶ大長編だが、その長さを感じさせることなく、適度な息継ぎを間に挟んで読むことができた。実際のところ、一日で一気に読んでしまった。生きていることを素晴らしい、と感じられる、とてもいい作品だった。

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高野和明
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comments

しんちゃん☆こんばんは
自殺したいと思っている人が益々増えているのは何故なんでしょうねぇ?
救助隊になった4人の説得は、説得力ありすぎ(!?)でしたね。

Roko:2008/06/12(木) 00:30 | URL | [編集]

Rokoさん、こんにちは。
その部分はちょっと考えるよね。
おちゃらけた作品だけど、根っこは高野さんらしいと思いました。

しんちゃん:2008/06/12(木) 11:50 | URL | [編集]

 スピリチュアル作家・高野和明の面目躍如という感じの作品でしょうか。(^^

 個人的には、これまで最も売れた乱歩賞受賞作(らしい)『13階段』のような作品をまた書いて欲しいですが…新作が出ませんね。

higeru:2008/06/13(金) 00:49 | URL | [編集]

higeruさん
ええっ、高野さんってスピリチュアルな作家ですか??
死の印象はありますが、霊的な印象はなかったです。
「13階段」はすごく好きでした。あんなのをまた読みたいですね。

しんちゃん:2008/06/13(金) 10:18 | URL | [編集]

しんちゃんさん、こんばんは。
この作品は笑ったり泣いたりで忙しかったですが、
一気に読めました。
高野作品の中で、かなり好きな一冊です。
TBさせて頂きました。

chika:2008/06/19(木) 23:36 | URL | [編集]

chikaさん、こんにちは。
重い内容に軽いユーモアという、いろんな要素が詰まった作品でしたね。
これは良かったです。そして好きでした。

しんちゃん:2008/06/20(金) 12:36 | URL | [編集]

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×「幽霊人命救助隊」 高野和明 文藝春秋 1680円 2004/4


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「幽霊人命救助隊」 高野和明著


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『幽霊人命救助隊』高野和明


幽霊人命救助隊 (文春文庫 た 65-1) 高野 和明 JUGEMテーマ:読書 2007/4/10文庫化 文春文庫 P.598 ¥720 ★★★★★  救助隊は助けた。命だけを。必死になって打ち消した。死んでしまおうという刹那の気まぐれを。  黙々と働きながら、裕一

2008/06/21(土) 20:13 | ほんだらけ

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