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    2008

06.18

「ぼっちゃん 魏将・郝昭の戦い」河原谷創次郎

ぼっちゃん

ぼっちゃん―魏将・カク昭の戦い

時は三国時代の中国。多くの功績を挙げながらもその功績を部下たちの手柄とし、昇進とは無縁の生活を送っていた魏の将軍・郝昭。人間としては立派だが世渡りベタの父の姿に、息子・凱は苦々しく思っていた。そんな折、諸葛孔明の侵攻を防げとの大命が郝昭にくだされる。不利な状況のために無理やり押し付けられた役目だったが、これを凌げば大出世は間違いない!凱は父の業績をしっかり伝えるために従軍を申し出た。名将・郝昭と孔明の陳倉城の激突をダイナミックに描いた期待の新人、堂々のデビュー!第13回歴史群像大賞最優秀賞受賞作。

三国志関連の作品では蜀の国、いわゆる劉備と孔明側の立場で書いた作品がほとんどだ。本書は敵国として見られがちな魏側の目線で書いている。しかも、曹操や夏侯惇や夏侯淵、敵になる蜀側の劉備や関羽や張飛といった英雄たちの没後の時代だ。はっきり言って有名人がいない。よって、殺戮マシンたちによる人間離れした活躍があるわけではない。しかし、これが読ませるのだ。

蜀の孔明軍は魏への北伐を五度も行う。その北伐といえば孔明対司馬懿を連想するだろう。しかし、五度とも孔明対司馬懿の対決があったわけではない。その北伐の二度目にあたる陳倉城の攻防では、突然、郝昭(カクショウ)の存在が浮かび上がってくる。後に名将と呼ばれる郝昭だけど、この時点ではまだ有名にはなっていない。

本書では、その郝昭を主人公にするのではなく、その息子である郝凱の目線で書かれている。作品タイトルでわかる通り、ぼっちゃんだ。この奇抜な試みだけでも賞賛に値する。人質として都で育ったぼっちゃんは、父の同僚がどんどん出世していくのを見て育ってきた。それゆえに、立身意欲に欠ける父をはがゆく思っている。そういった中央の動きは知っている。一通りの兵法も学んでいるので知識だけはある。だけど、戦場を一度も体験していない。

この陳倉城の篭城戦で、ぼっちゃんは戦闘というものを初めて経験するわけである。自軍は正規兵千人足らず、民兵もわずか二千足らず。一方の敵軍は二万という大軍。作戦は城を守って、いつくるとも知れない本隊を待つだけ。初陣であるぼっちゃんは怖い。しかし、どんなに不安でも、一人逃げ出すわけにもいかない。父を信じて戦うしかないのだ。

さて、本当の主人公である郝昭だが、金城の湯池将軍(きんじょうのとうちしょうぐん)と呼ばれる篭城線のエキスパートだ。彼の戦いぶりはあえて書かないが、とにかくカッコいい。その父の戦う姿を見て、ぼっちゃんは何を思うのか。シンプルな作品だけど、これがすごく面白かった。文章も気が抜けるほど軽やかで、章割りもさくっと区切られている。それに三国志を知らなくても楽しめる作品だ。これは今後も楽しみな作家が誕生したと思う。

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