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    2008

06.30

「闇の底」薬丸岳

闇の底闇の底
(2006/09/08)
薬丸 岳

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埼玉県警からの連絡を受けて、日高署の長瀬たちはすぐに現場へ向かった。山道脇の斜面の草むらに牧本加奈は全裸で放置されていた。犯人は七歳の少女を凌辱した挙句に首を絞めて殺害した後、自分の汗や唾液や精液が検出されないよう遺体を洗浄する周到さだ。長瀬は冷たく固まった加奈の遺体を脳裏に焼き付ける。加奈はどんな苦しみを感じたろう。自分にされる行為の意味すらわからない子供をいたぶりながら殺した犯人への憎悪が溢れ出してくる。長瀬は姿の見えない犯人に心の中で言い放った。必ずお前を捕まえてやる。そして、死刑台に送ってやると。長瀬は小学四年生のときに妹を殺された性犯罪被害者の遺族だった。

坂戸中央公園のゴミ箱の中からスーパーの袋に入れられた男性の頭部が発見された。埼玉県警捜査一課の村上が現場へ行くと、その後、レジ袋の中から被害者のものらしき保険証が出てきた。身元確認のためにその住所のマンションを訪ねたところ、上半身裸の首なし死体が浴槽の中にあった。村上は吐き気を堪えながらよく見てみると、男の腹のあたりに刃物か何かで切った縦にも横にも斜めにも不規則に切られた傷跡があった。S……そう読めた。毎日のように起こる陰惨な事件。苦しみ悶える被害者や遺族の姿。とうてい理解できない犯罪者の思考。それらのものと対峙しているうちに、村上は疑問にぶつかっていた。自分がいるこの世界は自分が守るべき価値のあるものなのだろうか。

紗耶を失いたくない。妻の嘆き悲しむ姿は見たくない。男はある計画を思いついた。犯罪をなくすためには恐怖しかない。犯罪を犯すかもしれない者たちの個々に底知れない恐怖を植えつけてやる。しかし、それは同時に、自らも地獄へと導く道だった。紗耶を守るためなら男は自分の身を差し出すことを厭わない。牧本加奈が殺害される事件が起きると、男は行動を開始した。男の手帳には何人かの性犯罪前歴者の名前がある。これから子供が犠牲になる性犯罪が起こるたびに、このリストにある者を殺し続ける。男は警察やマスコミに対して、死体をバラしたときの映像と犯行声明文を送りつけた。サンソンという名前を語って。

これはドキドキだった。そして、すごく面白かった。性犯罪にあった遺族の気持ちと、出所した性犯罪前歴者を守る警察官という立場にいる長瀬の葛藤。その感情を表に出さない長瀬を見守るベテラン刑事の村上。それに加え、サンソンと名乗る男の計画。その三視点によってストーリーは展開していく。ミステリとしては、中盤あたりで帰結が想像できたが、それを差し引いても読み応えがあった。安易に長瀬に共感したとか、マスコミに煽られた一般市民のようにサンソンに同調したとか、そういったことはまったくなかったが、とにかく、薬丸岳はすごい、ということだけは分かった。行き着くところが見えているのにドキドキする。緊張して手に汗握る。もう痺れまくった。

これまで作品を読まなかったことが悔やまれる。新刊の「虚夢」もすでに手に入れてあるので、デビュー作ともども読んで行きたい。今後も追いかけて行きたい作家に出会ってしまった。

サイン本に、むふふ。

薬丸


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薬丸岳
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comments

この本は読んでいたけど、内容があんまり思い出せない・・・。「天使のナイフ」の方が私は印象深い本だったなー。あちらの方が面白かった。
しんちゃんの感想はどうかな??
新刊の感想も楽しみにしてるよ(^^)

まる:2008/06/30(月) 19:26 | URL | [編集]

まるさん
そっかそっか~。「天使のナイフ」は良かったんだ。
益々「天使のナイフ」を読むのが楽しみになりました。
この作家さんは好きそうな匂いがぷんぷんします。

しんちゃん:2008/06/30(月) 21:59 | URL | [編集]

わたしも「天使のナイフ」おススメです。
それにしても、この作品もサイン本ですね~。
発売からだいぶ経っているのに、羨ましいです。

エビノート:2008/07/01(火) 19:57 | URL | [編集]

エビノートさん
またもやお薦めをもらっちゃいました。
「天使のナイフ」はぜひとも読まねばです。
新刊の「虚夢」もサイン本だったりして。

しんちゃん:2008/07/02(水) 10:10 | URL | [編集]

薬丸さんは久々に新刊が出たんですね。調べてみたら心身喪失をテーマにした作品のようで、これまた今社会的に関心の高い問題ですし、楽しみになってきました。

たまねぎ:2008/07/05(土) 00:26 | URL | [編集]

 私も『天使のナイフ』ではまった一人です。
 まだ新人なのに(しかも乱歩賞に「応募するために」脱サラしたのに)こんなのんびりしたペースで食って行けんのか~、と余計な心配をしてましたが、三作目(予約中)も楽しみです。

higeru:2008/07/05(土) 12:44 | URL | [編集]

たまねぎさん
テーマがあってガツンと読ませる作品は好きです。
いい作家さんと出会えました。そして、新刊も面白そうですよね。

しんちゃん:2008/07/05(土) 19:34 | URL | [編集]

higeruさん
乱歩賞はスカが続いていたのでノーマークでした。
チッ、もっと早くに読めば良かった。天使も読むよ!

しんちゃん:2008/07/05(土) 19:36 | URL | [編集]

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【闇の底】 薬丸 岳 著


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闇の底 〔薬丸岳〕


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闇の底  薬丸岳


ある日、一人の少女を狙った残虐な事件が起きてしまった。かつて幼き妹を同じように殺された警察官・長瀬は、激しい怒りとともに犯人逮捕に向けて駆けずり回っていた。 時を同じくして、過去に少女を暴行、殺害した前科のある男達が殺された。小さな娘を持つ村上は複雑...

2008/07/04(金) 23:42 | 今更なんですがの本の話

【薬丸岳】闇の底


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2008/07/05(土) 12:39 | higeruの大活字読書録

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